高砂熱学工業とispaceは12月13日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のコーポレートパートナー契約を締結し、月面環境での水素/酸素生成の実証実験に挑むことを明らかにした。

月における"水"の存在は長年にわたって議論されてきた問題だが、まだ確定した情報などは出てきていない。しかし、近年の研究では、存在する可能性が高いとされており、将来の宇宙開発の推進のために、月の水を電気分解により酸素と水素を生成し、ロケットや燃料自動車の燃料や動力として適用できるのではないかという期待が高まってきている。

高砂熱学工業は、すでに地球上における再生可能エネルギーとしての利用に向け、水電解・燃料電池一体型セルを開発しており、今回の協業では、この技術をベースに、2023年の月面探査ミッションにおける月面着陸船(ランダー)に搭載した水の電気分解装置を用いた水電解技術の実証実験に向けた検討を進める予定。ランダーの月面輸送、月面着陸後のランダー上での水の電気分解を経て、世界初の月面環境での水素ガスと酸素ガスの生成に挑むとしている。

なお、高砂熱学工業とHAKUTO-Rは、月面での実証実験を通じて、あらゆる環境下における水素エネルギー有効化の実証と、さらなる地球上での水電解テクノロジーの発展による資源有効活用、事前環境配慮、持続可能な社会の構築を目指していくとしている。

  • HAKUTO-R

    民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のランダーとローバーが月面にて活動するイメージ (出所:ispace Webサイト)