日本電気(NEC)は6月20日、新興国における新生児の生体認証基盤の実現に向け、ケニア共和国にて生後1年未満の新生児・乳児を対象とした指紋撮像・認証技術の実証実験を行い、生後2時間を含む出生当日の新生児におけるエラー率0.3%での指紋認証に成功したことを発表した。

  • 出生日の新生児指紋撮像作業風景と指紋撮像機

    出生日の新生児指紋撮像作業風景と指紋撮像機

今回NECは、新生児用の指紋撮像技術など、出生後数時間の新生児にも負担の少ない方法を採用。これらの技術と、2016年から継続的に行っている調査結果の蓄積により、生後2時間の新生児から指紋を撮像する手法を開発し、高精度な認証に成功したという。

出生後、早期に生体情報の採取と認証が行えることで、出生証明・登録、退院時の本人確認、ワクチン接種記録等が可能になり、法的身分証明の提供をもとにした新生児の健康や安全の大幅な改善が期待できるとしている。

出生直後の新生児の指紋を採取するには、20μm未満の谷線幅を撮像する必要があり、高分解能を持つ10μmの撮像素子を搭載した高解像度イメージセンサーを採用するとともに、紋様を強調する特殊ガラスを組み合わせることで、高精細な画像撮像を可能にしたという。

また、撮像時における新生児の指の動きによるブレを解消するために、フレームレートをこれまでの2fpsから7fpsへ高速化し、ブレ防止機能をセンサー部に持たせた。さらに、作業者が対象者のやわらかい指を必要以上に撮像面へ押し付けないための形状と撮影対象の指の撮像方向を統一するためのガイド等、新生児用の特殊なデザインを採用したということだ。