NTTドコモは4月12日、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室、文学部心理学研究室、東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センターと、スマートフォンの日常的な使い方から持ち主の集中力を推定できる技術を開発したと発表した。

  • 新技術の概要

    新技術の概要

今回、スマートフォン利用における各種データとGo/NoGo課題(Goの例として指定の文字P、Q、Tに対しできる限り早く反応する、NoGoの例として指定の文字Xでは反応を抑制するの2つの反応を判断する課題であり、この課題を行うことで認知的コントロール機能を数値化)データを同一利用者から取得し、AIで集中力を推定するモデルを構築した。

同技術は、スマートフォン上の加速度などのセンサデータ、位置情報データ、アプリの利用履歴データなど、スマートフォンの日常的な使い方から得られるデータから、人の行動やスマートフォンの使い方を約250種類の特徴量として数値化。

その上で、AIが特徴量から持ち主の集中力を推定し、例えば集中力が低下しているときは傾向として持ち主の身体の動きが多くなったり、普段よりもスマートフォンの画面を見る回数が増加したりしやすく、こういった行動の変化を観察することで集中力を推定することができるという。

同技術により、例えばトラックやバスの運転手の前日までのスマートフォンの使い方から、当日の集中力が低下する可能性が高いことがわかった場合、運転手自身が適切に休憩を取ることで業務パフォーマンスの向上が図れることが可能になるとしている。

また、企業が働き方改革を推進する一環として、就業者が自身の集中力を可視化し理解することで、意識改革や非効率な勤務状況の見直しへの活用が期待できるという。

さらに、適度なストレスは集中力を高める効果があることが知られていることから、昨年に開発したストレス推定技術と組み合わせ、ストレスと集中力の状態から人にかかるストレスが適切なものなのか否かを読み解くことができる技術の開発を目指す。