毎日新聞社とサードウェーブが主催する「第1回全国高校eスポーツ選手権」のオフライン決勝大会が幕張メッセで開催されている。1日目は「ロケットリーグ」の準決勝と決勝が行われ、佐賀県立鹿島高校の「OLPiXと愉快な仲間たち」が優勝した。

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    全国高校eスポーツ選手権のロケットリーグ部門で優勝した。佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」

全国高校eスポーツ選手権は、eスポーツの裾野を広げることを目的として、毎日新聞とサードウェーブが主催するeスポーツ大会。今回が初めての開催となる。競技タイトルとして「ロケットリーグ」と「League of Legends」が採用された。

  • 第1回全国高校eスポーツ選手権は、3月23日と24日の2日間にわたって、幕張メッセ1ホールで開催されている

「ロケットリーグ」は、プレイヤーが「バトルカー」と呼ばれる車を操作して、相手のゴールにボールを入れる……つまり車でサッカーをするというもの。基本的なルールはサッカーと同じなので、分かりやすいが、壁や天井を使ったプレイや車を浮かせる空中戦など、普通のサッカーにはない見どころもある。

  • ロケットリーグ。サッカーがベースなので、初めての人でもプレイや観戦が楽しめる

「ロケットリーグ」部門では、全国から60チームがエントリー。オンライン予選を勝ち抜いた上位4チームが決勝大会に臨んだ。準決勝は2本先取、決勝戦は3本先取で行われた。

準決勝1回戦は横浜清風高校vs佐賀県立鹿島高校

準決勝1回戦は神奈川県の横浜清風高校「Charlotte」と佐賀県の佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」が対戦。「Charlotte」のキャプテンであるMilla選手はプロチームに所属していることもあって、優勝候補の一角とみられていた。

  • 横浜清風高校「Charlotte」のメンバー。左からToki選手、Milla選手、popiaki選手

  • 佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」のメンバー。左からRon-nex選手、Hiziry選手、OLPiX選手、Dora選手、Peipei選手。Ron-nex選手とOLPiX選手を軸に準決勝はDora選手、決勝はHiziry選手が試合に出場した

第1戦目は「OLPiXと愉快な仲間たち」のエースであるRon-nex選手が先制点を決めるものの、Milla選手がすぐさま2点を取り返し、「Charlotte」が2-1で勝利した。

  • 会場中央のスクリーンでは、ゲーム画面と選手の表情が映し出される

  • 得点が決まると、応援席では光るバルーンを手に持って歓声が上がる

続く2戦目は両チームなかなか点が取れない接戦となったが、試合中盤でキャプテンのOLPiX選手が運んだボールをRon-nex選手が決めてまたもや先制。今度はそのままリードを保って1-0でOLPiXと愉快な仲間たちが勝ち、勝負は3戦目に持ち越された。

3戦目もOLPiXと愉快な仲間たちが好調を維持。OLPiX選手とRon-nex選手の連携で得点を重ねるほか、守備のローテーションもかみ合う。一方のCharlotteはボールに複数プレイヤーが向かう「被り」などミスも増え、4-1でOLPiXと愉快な仲間たちが勝ち、準決勝1回戦を突破した。

勝利したチームキャプテンのOLPiX選手は「1戦目は緊張したが、2戦目以降はいつものプレイができた」とコメント。敗退したCharlotteのMilla選手は「後半は疲れが目立った」と振り返り、「ミスがなければ勝てた試合だった」と悔しさをにじませた。

  • 佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」が勝利

準決勝2回戦は阿南工業高等専門学校vs大分県立鶴崎工業高校

準決勝2回戦は、徳島県の阿南工業高等専門学校「Kamase dogs」と大分県の大分県立鶴崎工業高校「雷切」が対戦した。1戦目は雷切が試合を支配し、チームメンバー全員がゴールを決める。特にキャプテンでエースのAroDra選手が見事な空中制御を見せ活躍。5-0の大差で雷切が勝利した。

  • 阿南工業高等専門学校「Kamase dogs」のメンバー。左からどうのつるぎ選手、こんぼう選手、どうのつるぎ選手

  • 大分県立鶴崎工業高校「雷切」のメンバー。左からGORIRA選手、mcRENTO1111選手、AroDra選手、イソR選手。準決勝ではGORIRA選手、決勝ではイソR選手が出場。普段からこの4人にもう1人加えた5人でロケットリーグに限らず、PUBGやTom Clancy's Rainbow Six Siegeなどのゲームを一緒にプレイしているそうだ

2戦目は打って変わってこう着状態が続く。試合時間残り44秒でAroDra選手が角度のないポジションから華麗にゴールを決め、そのまま1-0で雷切が勝ち、決勝に駒を進めた。

試合後のインタビューで「Kamase dogs」のメンバーは「緊張していた」と振り返った。キャプテンのこんぼう選手は「あたまでおもっているように手がついていかなかった」とコメント。またもともとディフェンス重視の作戦だったが、メンバーがいつも以上に低いポジションでのプレイになってしまったそうだ。

  • 準決勝第2試合は、雷切のAroDra選手が活躍

「緊張」というキーワードはすべてのチームが挙げていた。いつもはオンラインでのプレイだが、今回はオフライン、しかも幕張メッセのような会場で観客の前というまったく異なる環境だ。こうした場でいつもと同じような力を出す難しさを感じさせた。

決勝は佐賀県立鹿島高校vs大分県立鶴崎工業高校

決勝は佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」と大分県立鶴崎工業高校「雷切」で争われた。3本先取したチームが優勝となる。ここでもOLPiX選手とRon-nex選手の連携が冴える。1戦目から得点を重ね、盤石の試合運びで雷切を圧倒。6-1、3-0、4-2のストレートで勝利。第1回全国高校eスポーツ選手権「ロケットリーグ」部門の覇者となった。

  • 決勝戦の「OLPiXと愉快な仲間たち」は、OLPiX選手とRon-nex選手の連携に加えて、交代で入ったHiziry選手も活躍

  • 盤石の試合運びで「OLPiXと愉快な仲間たち」が優勝

優勝したOLPiXと愉快な仲間たちのキャプテンであるOLPiX選手は、勝因として「練習量の多さ」を挙げた。だいたい週4日、1日2時間くらいを目途に練習を重ねた。オンラインで対戦相手を募ったり、ほかの大会にも参加するなど、チームとしてしっかりと準備していた点が勝利につながった。

さて、第1回全国高校eスポーツ選手権のロケットリーグ部門は佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」の優勝で幕を閉じたが、参加したすべてのチームに「gg」(good gameの意)を贈りたい。

今回の大会に限らないが、真剣に自分たちの技量やチームワークを競う選手たちをみると「eスポーツはスポーツか」という議論が本当に無意味に感じられる。いまは海外はもとより、日本国内でもLoLのプロリーグ、あるいは先日行われたEVO JAPANなど、eスポーツの大会が数多く開催されているし、Webでも試合が配信されている。1度でもいいので、こうした試合を観戦して「いまのeスポーツ」を体感してほしい。

2日目となる24日は「League of Legends」の決勝大会も行われる。こちらにもいいゲームを期待したい。

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