北九州市と日立製作所(以下、日立)は2月27日、「地方公共団体事務の利便性向上に係るパブリッククラウド利用の検討及び事務アプリケーション共同利用化に向けた実証実験」を、F/S(feasibility study:実現の可能性を探る調査)として、共同で開始することを発表した。実証期間は2019年3月1日~3月31日。

  • LGWANとインターネットにまたがるパブリッククラウド、庁内システムの安全な接続・利用を検証

    LGWANとインターネットにまたがるパブリッククラウド、庁内システムの安全な接続・利用を検証

この実証は、北九州市の「パブリッククラウド利用検討プロジェクト」と「文書事務見直しプロジェクト」のふたつのプロジェクトを推進するもの。具体的には、北九州市のLGWAN接続系業務システム環境と、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のIaaSやPaaS環境へのセキュアな接続とその有効性の検証を行う。

同実証では、「LGWANとインターネットにまたがるパブリッククラウド、庁内システムの安全な接続・利用の検証」と、「文書事務効率化のためのOCRやRPA、AIの活用検討に向けた効果検証」を行う。

前者では、日立のLGWAN-ASPサービス「地域IoT連携クラウドサービス」を通じて、情報セキュリティ要件(コンピュータウイルス、不正アクセス、情報漏洩などの防止)を満たした安全・安心なデータの送受信が行えることを検証する。

また、北九州市の文書管理システムから目録データを抽出して、AWSをベースとする仮想プライベートクラウド上に構築した行政文書目録公開システムへ、LGWAN経由でデータを登録し、利用者がインターネット経由でスムーズに閲覧できることを確認するという。

  • 文書事務効率化のためのOCRやRPA、AIの活用検討に向けた効果検証

    文書事務効率化のためのOCRやRPA、AIの活用検討に向けた効果検証

一方、「文書事務効率化のためのOCRやRPA、AIの活用検討に向けた効果検証」では、従来、紙で保管している文書を、OCRやAI、RPAを活用し、紙文書の属性情報を自動抽出して電子化するほか、AWSの仮想プライベートクラウド上に新たに構築する文書検索閲覧システムにLGWAN経由で登録・管理可能とし、文書事務の効率化に向けた取り組みを行うということだ。

北九州市はこの実証結果をもとに、パブリッククラウド活用の技術的課題の整理を行うとともに、文書事務の効率化とペーパーレスの推進及び市民サービスの向上を図るとしている。また、近隣の地方公共団体とのアプリケーションの共同利用化に向けた取り組みを推進するということだ。