説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「ユニバーサルクリップボード」ってどういう仕組みですか?』という質問に答えます。

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ユニバーサルクリップボードは、iOS 10の新機能のひとつです。同じiOS 10がインストールされたiPhone/iPad、または9月21日に公開されたMacの新OS「macOS Sierra」を利用していると、クリップボード(コピーしたデータの一時保管場所)の共有が可能になります。

この機能は、iOS/macOSのクリップボードを拡張し、他のiOSデバイス(iPhone/iPad)とMacで共有できるようにすることで実現されました。通信相手をBLEで確認し、同じApple IDかどうかをチェックしたうえで、Wi-Fi経由でデータを直接送信します。データそのものがiCloudにアップロードされることはなく、モバイル回線がなくても動作します。ただし、ネットワークを経由する以上、1台で処理が完結する通常のコピー&ペーストに比べると、動作レスポンスは低下します。

使いかたはかんたん、対象のハードウェア/システムを準備してiCloudにサインイン、Wi-FiとBluetoothを有効にすればOKです。ただし、MacはBluetooth Low Energy(BLE)に対応した機種であること(2012年中盤以降のモデル)、同じApple IDでサインインしていることが必要です。

データの受け渡しはiOSデバイス(iPhone/iPad)とMacのほか、iOSデバイス間やMac間でも利用できます。iOSデバイスでコピーしたデータをMacでペースト、その反対にMacでコピーしたデータをiOSデバイスでペーストすることも可能です。テキストデータのほか、写真やビデオを含む各種ファイルも対象になります。コピー&ペーストの操作そのものも、ふだんiOS/macOSで行うときとなんら変わりはありません。

ただし、データの保持期間は2分に制限されています。最後のコピーから2分を過ぎるとデータは破棄され、通常のクリップボードとしての機能に戻ります。つまり、コピーからペーストまでの一連の作業は2分以内に完了させなければなりません。

iPhoneとMac、iPadの間で相互にコピー&ペーストできる「ユニバーサルクリップボード」が登場しました