NTTドコモは29日、2016年度第1四半期 決算説明会を開催。対前年同期比で、増収増益となることが報告された。好調な業績内容とともに、説明会で頻繁に話題に上ったのはスマートフォン向けゲームアプリ「Pokemon GO」に関することだった。

NTTドコモは29日、2016年度第1四半期 決算説明会を開催。対前年同期比で、増収増益となることが報告された。写真右は同社代表取締役社長の吉澤和弘氏

危険です、歩きスマホ

Pokemon GOについて、改めて説明しておこう。スマートフォン向けのゲームアプリで、ポケモンと呼ばれるキャラクターを捕まえ育て、交換し、戦わせながらゲームを進行させていく。「位置情報」と「拡張現実(AR)」技術を組み合わせることで、日常の現実世界がゲームの舞台に変わる。公開直後から爆発的にユーザーを増やし、あらゆるメディアでも特集が組まれるほどの人気だ。

一方で、ゲームの特性上、歩きながらスマートフォンを操作するユーザーが増えた(アプリ側では、歩きスマホをしなくてもいい仕組みも用意している)こともあり、社会問題化しつつある。

NTTドコモの吉澤和弘社長は、決算説明の最後に約2分ほどの時間を割き、歩きスマホに関する注意喚起を行った。「プレイにあたっては歩きスマホ、また自転車などに乗りながらプレイしないよう、ご注意いただけるようお願いしている。ドコモでは様々な機会をとらえて、こうした注意喚起を行っていきたい」と吉澤社長。ドコモでは、かねてから「危険です、歩きスマホ。」というフレーズで利用者のマナー向上を呼びかけてきたが、今回の件を受けて、その思いを新たにしている。

2016年度第1四半期 決算説明会に登壇する吉澤社長(右)。ちなみに、社長就任後、初の決算説明会となった。業績としては、前年同期と比べ増収増益となり順調な滑り出しであることを強調した

メガネ型デバイスでAR分野へ

質疑応答では、記者団からも様々な質問が寄せられた。Pokemon GOの話題に関連して、ドコモでは位置情報を使ったサービスの開発や、AR分野への投資を今後どのように行っていくのか、と聞かれた吉澤氏は「ドコモでは、従来からグラス(メガネ)型のデバイスを研究している。商品化を目指し、さらに開発を進めていきたい。2020年の東京オリンピック、パラリンピックで来日した外国人を、ARで案内するというような使い方を想定している。ドコモとしても、そこに向けてしっかりと開発していきたい」と回答。

それは、かつてドコモが発表したインテリジェントグラスのことか、いつ商品化されるのか、という質問には「その延長線上にあるデバイス。Pokemon GOがブームになったのをきっかけに、再びARが話題になっている。ドコモとしても2020年を目標に開発を進めているが、商品化の時期については答えられない。非常に関心を持って進めている、とだけお伝えしたい」と話した。

ポケGOしたさに機種変

フィーチャーフォンや、古いスマートフォンの中にはPokemon GOがプレイできない機種がある。こうしたことから、ゲームをするために機種変更をする動きがあるという。そのことについて聞かれると「認識している。どのくらいの利用者が機種変更するか、具体的な数についてはデータをとっていないので分からない」と回答。今回のPokemon GOブームが、最終的にドコモにどのような影響をもたらすかについては「明らかになるまで時間がかかる」との見方を示した。

Pokemon GOによるトラフィックへの影響については「ゲームにより、トラフィックが目立って増えているという事実はない。ただ、かなりのお客さんが同時に利用されるケースがある。特定のエリアにおけるトラフィックが、若干の影響を受けることはある。ただこれも、基地局の容量に影響を与えるところまでは至っていない」と説明している。

フィルタリング導入も検討

ドコモの技術で歩きスマホを防止することはできないのか、という質問には「画面の角度などから、歩きスマホをしていると認識できるセンサー技術は持っている。それに対応するアプリもある。でも、いますぐ有効に活用できるものにはなっていない」とコメント。これに続けて「小、中、高校生に対しては、フィルタリングで対処することも合わせて考えていきたい。(特定のゲームやアプリにではなく、一般的な話として)取り組みの整備をあらためて考え、何らかの抑止策を提供していく必要があるのではないか」との認識を示した。

Pokemon GOは、アプリ内で「周りをよく見て、常に注意しながらプレイしてください」と呼びかけている