2015年度は収益構造が改善され、連結営業利益・最終利益がともに高かったため、第2次中期経営計画の初年度としては、よいスタートが切れた。連結営業利益は2,942億円を達成。平井社長は要因として「ソニーブランドを冠したコンシューマエレクトロニクス事業の復活」をあげる。10年間赤字が続いたテレビ事業や2014年度に大きな減損を計上したモバイルなど、コンシューマエレクトロニクス事業は苦戦が続いていたが、構造改革やコスト最適化への取り組み、高付加価値モデルによって顧客ニーズをしっかりと捉え、最適なマーケティングや販売体制で届けるという基本動作を徹底した成果であるとした。

テレビ事業とモバイル・コミュニケーション分野の損益が改善

平井社長は「2010年の社長就任以来、コンシューマエレクトロニクスの復活には、商品力の強化が不可欠で、成果が出るには一定の時間がかかると述べてきた。2015年度は製品の力が顧客に受け入れられ、それが2015年度の収益を改善する基盤となった。2016年度は、コンシューマエレクトロニクスの全事業で黒字を達成する計画を打ち出す」とした。ソニーは、2016年度の営業利益目標として、2015年度とほぼ同等規模である3,000億円を目指しており、これを弾みにして2017年度に5,000億円以上まで引き上げる考えだ。

ゲーム&ネットワークサービス分野ではPS4が成功

10月にはPS VRも発売される

平井社長が、「ソニーの成長を牽引する最大のドライバー」になると位置づけているのが、ゲーム&ネットワークサービス分野だ。今年5月に累計出荷4,000万台を突破したPlayStation 4 (PS4)が引き続き好調であること、ソフトウェアやネットワークサービスを含めたプラットフォーム全体が市場から評価されていることで、期待を上回る利益成長を実現している。とくにネットワークサービスは、2015年度の売上高が前年比5割増という伸びをみせており、さらなる成長に向けた投資を継続的に行っていくとした。

2016年10月には、PlayStation VR(PS VR)を日本、北米、欧州、アジアで発売。「未知な領域を多く含むインタフェースだが、開発者とともに新たな市場を盛り上げたい。将来的にはゲームのみならず、ソニーグループのカメラ技術、コンテンツ制作力、豊富なエンタテインメント資産をフルに生かすことができる領域であり、新たな事業ドメインに育てたい」と語った。

もうひとつの成長けん引領域とするのが、映画や音楽などエンタテインメント事業だ。音楽に関しては「有料ストリーミングサービスの立ち上がりによって縮小がようやく底を打ち、反転の兆しが見られる。この機会を捉えて、戦略投資を実行していく」と語り、こうした変化はソニーにとって大きなチャンスであると位置づけた。