――デバイス連携と言えば、発表時にもシャープの家電製品との連携が注目を集めました

中村氏:シャープのともだち家電は、親和性が高いと考えています。独自のココロエンジンをお持ちですし、センシング技術や音声認識技術など、Webとの融合が図られています。

もちろん、大手の家電メーカーに限らず、さまざまなメーカーさんとお話する中で、Webを介した連携に対するニーズはかなり感じています。話をする中で共通するポイントは「プロダクト1個1個と(Webサービス)の連携は難しい」という話です。myThingsでは、そうした障壁がなく、プラットフォームを介すことで簡単に接続できるので、そこに魅力を感じ、話を進めていただいています。

――myThingsで人気のサービスの組み合わせはありますか?

横田さん:サービスを"チャンネル"化して、それぞれのチャンネルを組み合わせて利用するのですが、オススメの特集以外にもかなりユーザーさんがそれぞれ独自の好みの組み合わせを利用されていますね。

Twitter連携では、ハッシュタグ「#mythings」で検索していただくとわかりますが、アクティビティのログを流す方、Yahoo!天気の情報を流す方が多いようです。

また、位置情報の組み合わせも人気で、特定の場所に到着したら、自動的に「行ってきます」とつぶやいたり、家族にメールを送信したりといった形ですね。社内で言えば、エンジニアがSlack(ビジネスSNSサービス)に担当サービスのエゴサーチを載せたり、共同でコードの編集作業を行う場合は、特定の場所に資料が上がってきたら通知したりする、といった具合です。

最近のトレンドに合わせた使い方で言えば、Instagramでいつもおいしそうな料理の写真をアップしている方がいますよね。そうした特定のアカウントの画像を、画像収集サービスのPinterestに転送するといった使い方です。すべて自動化できるので、簡単に好みのフォトブックが出来あがるようなイメージで楽しいですよね。

簡単に連携でき、共有もお手軽

もちろん、myThingsのメリットであるデバイスとの連携も大きなポイントです。ネットにつながる体重計が登場していますが、体重計でベスト体重を超えてしまったら「太ったよ」とツイートするようなチャンネルの組み合わせは効果絶大です。記録していくこともさることながら、外部に公開することで「頑張らなきゃ」という気持ちにもなれます(笑)。

――サービス説明会から「IoT」というキーワードを盛んに口にされている以上、やはりハードウェアの連携は気になるところです

中村氏:ユーザーの方に価値あるものを、という逆算的な発想でやっています。(ソフトウェア連携、ハードウェア連携の)どちらに寄るかは意識していません。間口は広く開いているつもりですし、実際にmyThingsのWebサイトにチャンネル化の申請フォームを用意しています。いただいた問い合わせから進んだ案件、事例も実際に出始めています。

ハードウェアとネットの接続は、一個一個、個別でソフト面を作っていてはできない価値があると思うんです。その実現できない価値を生み出すプラットフォームにしたいなと考えています。アクティビティ管理のJawboneで言えば、普段の生活をトラッキング、ロギングして管理するデバイスで、能動的かつアクティブにデータを管理するデバイスと思われがちですが、おじいちゃんやおばあちゃんに付けてもらって、遠隔でそうした情報を自動的に自分の手元に送れるようにすることでコミュニケーションにつながると思うんです。

また、Cerevoさんが提供されている「Hackey」という製品は、鍵をひねるだけでWebサービスのトリガーとなるんです。デバイスにはLEDも付いているので、玄関に置いておいて「雨なら光る」といった設定にしておけば、わざわざ天気サイトまで見に行かなくていいですよね。今は自分で意思を持って、頭で考えていることが、こうしたデバイスによるインタフェースが増えることで、"体験"を受動化できるんです。ユーザー体験がまったく変わっていく、そうした間にmyThingsが介在している環境になればと思っています。

Hackey(左)を使った例。AmazonのDash Buttonが一時期話題となったが、同様の使い方がHackeyで実現できる(写真はヤフーのショッピングサービス「LOHACO」と連携)