東京大学は、NTTドコモとの協同で、脈の揺らぎを管理し、記録するiPhoneアプリ「HearTily(ハーティリー)」を公開し、臨床研究を開始した。アプリはApp Storeより無料でダウンロードできる。

「HearTily(ハーティリー)」

同アプリでは、iPhoneのカメラを活用して脈を検知し、脈拍を定期的に収集することによって脈の揺らぎを簡単に測定することができる。

一般的に初期の不整脈は短い時間しか生じず、また数日に一回しか生じないため、健康診断時の心電図では捉えることが難しいものも多く存在するが、本研究では、参加者に脈の揺らぎを自己管理できるアプリを提供することで、不整脈と生活習慣病の関連性を調べることができるようになる。継続的に記録された脈拍の情報とiPhone内の運動量などの生活情報を組み合わせたデータを解析することによって、不整脈の発生を予測することへの応用に役立てていくとのことだ。開発にあたっては、Appleが医学・医療研究および健康リサーチ向けに設計したオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を利用している。

本臨床研究は研究参加に同意した20歳以上の日本在住者が対象で、1年間継続して自身のデータを記録する。参加者はアプリを用いて利用開始時と終了時に身長・体重などの基本情報と高血圧の有無などの既往歴や症状などを入力し1日1回(1分程度)脈拍を記録、1~2週間ごとに動悸の有無等の質問に回答していく。また、iPhone標準の「ヘルスケア」アプリを経由して計算された歩数などのデータを記録するが、測定とデータの記録は参加者の任意となっている。

研究発表は、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座の藤生克仁特任助教と、同院 循環器内科の小室一成教授が担当する。

本臨床研究と同時に、潜在的な不整脈検知が有効であるかを検証することを目的として、「hitoe」を活用し、これまで計測が困難であった長時間にわたる心拍と心電位計測を行う小規模研究も実施する。

機能素材「hitoe」を活用した長時間心電図モニタリング

「hitoe」は、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材で、これを活用したウェア「C3fit IN-pulse(シースリーフィットインパルス)」をNTTドコモグループに勤務する男性社員が着用して研究が進められる。