Swiftオープンソース化で目指す方向性

とはいえ、Swift開発者のblogを見る限り、以下のような方針となっているようだ。

  • Swift 2のソースコードは「OSI-approved permissive license」で公開される

「OSI-approved」とは、OSI(Opensource Software Initiative)によりオープンソースの条件を満たしているという承認を得ているということ、「permissive」は「コピーレフトではない」(著作権を放棄していない)ことを表す。つまり、ソースコードは公開されるし、改変や再配布も可能だが、その成果物からプロプライエタリな商用製品を開発することも許可するものだ。

おそらくライセンス自体は、すでにDarwinなどで使われてきた「Apple Public Source License 2.0」(APSL-2.0)か、APSLに批判が集まったあとのApple製オープンソースプロジェクトでよく使われてきた「Apache License 2.0」になるのではないだろうか。

  • コミュニティからの改良に関する貢献は許可(推奨)されている

Swiftコミュニティは積極的に開発やバグフィクスに関与できるということ。

  • 配信段階ではOS X、iOS、Linux用のポートが用意される

これは基調講演で発表された通り。

  • ソースコードにはSwiftコンパイラと標準ライブラリが含まれる

基本的な関数などは提供され、実行可能なアプリを組んでみることは可能だということ。

  • Swiftがさまざまなプラットフォームに移植されることが期待されている

WindowsやAndroidアプリを開発できるSwiftが登場する可能性もある。

開発者blogでもまだはっきりした情報は公開されておらず、公開に向けてまだ紆余曲折あることが想像される

気がかりなのは、Swiftで開発する上で必要なCocoa Touchフレームワークの公開がはっきりしていない点だ。Swiftは実行時にObjective-CのランタイムやCocoaフレームワークなどの実行環境が必要になる。Linuxにも移植されるということは最低限の実行環境もLinuxに提供されるということだろうが、Cocoaフレームワークを構成するFoundationフレームワークが公開されるのか、Dawrinの一部であるCore Foundationを移植するのか、GNUstepのような別のフレームワークを必要とするのか、どうも定かではない。アプリの移植性を左右する部分だけにはっきりしてほしいところだ。