イノベーションに必要な3人

栄藤氏は、イノベーティブな製品・サービスを開発するためには、3人の人材が必要だと言う。曰く、コードを書く「ハッカー(プログラマー)」と、ユーザー体験まで設計できる「デザイナー」と、社長役であり資金を調達する「ハスラー」だ。ドコモ内には「ハッカー」はいるが、「デザイナー」と「ハスラー」はまずいないと、栄藤氏は自虐する。「いたとしても、とっくにやめているかも(笑)」(同氏)。

ハッカーとデザイナーとハスラーが必要

イノベーションに必要なポイント

さらに栄藤氏は、大企業がイノベーションを起こす条件として、初島会議2014の議論から、いくつかのポイントを挙げる。

大企業がイノベーションを起こす条件

まず、人材や才能、技術、知的財産、文化やブランドなど、大企業が持つ「資産」を利用することだ。その上でイノベーションの軸を「最上位の企業理念に合致」させる。ドコモの場合は、「モバイルで生活を豊かにする」ことがそれにあたる。

さらに、機能を「本社・本業から隔離」する。「トップの支援」を取り付け、「権限移譲」することでスピードを重視し、「法制度未整備リスクに挑戦する」のである。これはつまり、ドコモ内部にスタートアップ企業をつくる"企業内起業"だ。

すでに、栄藤氏は社内にスタートアップ環境を生み出している。それが、「39works」というプロジェクトだ。

7月からスターとした新たな試み

社内に仮想スタートアップ環境を生み出す

同プロジェクトは、栄藤氏が述べたイノベーションを起こす条件を備えた試みだ。7月にスタートし、すでにいくつかのサービスをリリース済み。ドコモのアセット(資産)は活用するが、ドコモのブランドを冠するとスピード感が落ちることから、あえて39worksの名前でリリースしているという。