携帯電話の主要3キャリアは、それぞれ今夏より新料金プランを導入している。すでに、NTTドコモが6月より、ソフトバンクモバイルが7月より新料金プランをスタートしたほか、KDDI(au)も8月13日より新料金プランの提供を開始する。

各社の新料金プランは、国内の音声通話を定額とする基本プランと、データ容量を選択できるデータ定額サービスを組み合わせた構成で、料金面を含めて似ている部分も多いが、細かいところで各社それぞれの独自性を打ち出している。しかし、新料金プランで最も大きな差が出るのが、各社の割引サービスであり、よりお得に利用するためには、割引サービスのチェックは必須と言える。

本稿では、各社の割引サービスに着目しながら、ドコモ、au、ソフトバンクの新料金プランをシミュレーションして比較していきたい。

家族3人利用時の各社新料金シミュレーション

まずは、家族3人で利用する際の料金プランをシミュレーションしてみよう。ここでは、父と母、学生の子どもという構成で、父と子がスマートフォン、母がフィーチャーフォンを使っている家族を想定してみた。

各社の割引サービスの中でも、家族で利用する際の割引額がとくに大きくなるのが、auの固定回線とのセット割である「auスマートバリュー」だ。自宅の固定回線として、auまたは提携事業者の通信サービスを利用している場合に適用でき、家族全員が2年間最大1,410円/月の割引を受けられる。

au新料金プランの家族3人利用時シミュレーション

なお、割引額はデータ定額サービスのプランによって異なり、今回のシミュレーションでは、月間5GBのプランの父が1,410円/月の割引、フィーチャーフォン向けプランの母と月間2GBのプランの子どもが、それぞれ934円/月の割引を受けられる。ちなみに、利用年数16年の父は「長期優待データギフト」の対象となり、2GBが増量されて合計で月間7GBのデータ量を利用可能。余ったデータ量は、「データギフト」として子どもに贈ることができるため、実質的に2人で月間9GBのデータ量を使える計算だ。

ドコモとソフトバンクの場合、auのようなデータギフト型ではなく、データシェア型で家族でデータ量を分け合えるため、シェア可能なプランとして最小サイズの月間10GBを3人で分け合うパターンで料金をシミュレーションした。

ドコモ新料金プランの家族3人利用時シミュレーション

ドコモとソフトバンクでは、25歳以下のユーザーを対象とした割引サービスとして、「U25応援割」「U25ボーナス」をそれぞれ提供しており、適用されると、500円/月の割引を受けられるほか、利用可能なデータ量が1GB増量される。

ソフトバンク新料金プランの家族3人利用時シミュレーション

また、ドコモでは、データ定額サービスを契約しているユーザーのみ長期者優遇割引の「ずっとドコモ割」の対象となり、シミュレーションの利用年数16年で10GBのプランを契約しているケースでは、1,000円/月の割引となる。

以上のシミュレーションで、家族3人の世帯合計の料金を比較すると、auが月額17,222円で最も割安となり、次いでドコモが月額17,500円、ソフトバンクが最も高く月額18,500円という結果になった。なお、データ量については、auではフィーチャーフォンを除く2人で月間9GBを分け合うことになり、ドコモとソフトバンクではフィーチャーフォンを含めた3人で月間11GBを分け合うことになり若干異なるが、いずれも通常の使い方であれば必要十分なデータ量と言えるだろう。

単身利用時の各社新料金シミュレーション

次に、単身で利用する際の各社の料金をシミュレーションしてみよう。ここでは、利用年数16年の会社員と、25歳以下の学生という両方のパターンで、各社の月間5GBのプランに加入したケースを見ていきたい。

単身ユーザーの場合でも、各社の割引サービスのうち割引額がとくに大きいのは、auスマートバリューだ。データ定額サービスとして、月間5GBのプランに加入した場合、会社員も学生も割引額は1,410円/月となる。また、このシミュレーションの会社員の場合、16年という利用年数に応じて、長期優遇データギフトとして月間2GBのデータ量が増量される。

au新料金プランの単身利用時シミュレーション

一方、ドコモの場合、シミュレーションの利用年数16年の会社員であれば、ずっとドコモ割が適用され、800円/月が割引される。また、25歳以下の学生のケースでは、U25応援割が適用され、500円/月が割引されるとともに、利用可能なデータ量が月間1GB増量される。

ドコモ新料金プランの単身利用時シミュレーション

ソフトバンクでは、利用年数に応じた割引サービスはないため、このシミュレーションの会社員の場合、割引は適用されない。ただし、家族データ量をシェアする場合は利用できない「データくりこし」が適用可能で、余ったデータ量を翌月に繰り越すことができる。また、25歳以下の学生のケースでは、ドコモと同様に、U25ボーナスによって500円/月の割引が受けられ、データ量が月間1GB増量される。なお、U25ボーナスはデータくりこしとは併用不可となっている。

ソフトバンク新料金プランの単身利用時シミュレーション

各社の料金を比較すると、今回のケースでは、auが会社員、学生ともに月額6,590円となり最安。ドコモは会社員が月額7,200円、学生が月額7,500円となっており、ソフトバンクは会社員が月額8,000円、学生が月額7,500円となった。単身利用時でも、auスマートバリューがお得さを発揮する結果になったと言える。

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主要3キャリアの新料金プランについて、各社の割引サービスに着目しながらシミュレーションしてみた。家族と単身どちらで利用する際も、割引額が大きくなるのはauの「auスマートバリュー」であり、年齢や利用年数に関係なく、家族全員が割引対象になるのがポイントと言える。新料金プランの契約に合わせて、家族全員でキャリアをひとつにまとめる際には、自宅の固定回線の利用状況なども踏まえて、料金が最もお得になるキャリアを選ぶとよいだろう。