PCベンダーのLenovoがスマートフォンに本腰を入れる。これまで地元中国を中心に東南アジアなどに低価格のスマートフォンを展開してきた同社だが、今年に入りGoogleからMotorola Mobilityを買収することを発表。今後は成長国市場向けのハイエンドも積極展開していくという。Lenovoでビジネスグループ担当ローンチマーケティング・ディレクターを務めるKeith Liu氏にLenovoのスマートフォン戦略について話を聞いた。

Lenovoのビジネスグループ担当ローンチマーケティング・ディレクター、Keith Liu氏。MWC(Mobile World Congress) 2014で話を聞いた

―― Motorola買収を発表したが、LenovoにとってMotorola獲得は何を意味するのか? 買収後もMotorolaブランドを維持するのか?

Motorolaの取引にとてもワクワクしており、規制当局の承認を得て取引を完了させるための手続きを進めている。Motorolaは世界的に歴史ある携帯電話メーカーであり、いまだに尊敬されているビックブランドだ。研究開発のノウハウ、特許、スキルなどもある。

西欧州や米国などの成長市場でMotorolaが持つオペレーターや小売チャネルとの関係は、われわれにとってとても魅力的だ。この関係を活用してLenovoのスマートフォン事業を地理的に拡大していきたい。ブランディングという点では、まだ取引は完了していないので詳細な計画は公開できない。

―― 成長市場に拡大していくということだが、具体的にはどこになるのか? 日本は含まれているのか

西欧州、米国、日本、オーストラリア・ニュージーランド、シンガポールなどだ。Lenovoは現在25市場で展開しており、東南アジア、東欧など途上国市場が中心で、世界の半分の人口をカバーしている。人口という点では拡大できたが、今後は成長市場を狙っていく。

―― ハイエンドモデルはApple、Samsung、HTCなどと競合することになる。ここでの展開で重視していることは何か

ハイエンドでは2013年11月にVibeブランドをローンチし、「Vibe x」を提供。第2機種目の「Vibe z」を1月のCESで発表した。価格としては400ドル以上のプレミアムブランドになる。

LenovoはローエンドのAシリーズ、ミッドレンジのMシリーズ、ハイエンドのVibeの3ブランドで展開していく。

Lenovoがハイエンドといえる端末を初めてリリースしたのは2013年に発売した「K900」だ。価格は500ドル以上で、Intelのチップを搭載し、5.5インチの画面を持つ。世界で発売し、予想を上回る結果となった。このようなこともあり、ハイエンド市場に自信を持っている。

品質、仕様、信頼性、スタイル、デザインという点でブランドは大きな影響力を持つ。スマートフォンではハードウェア仕様、デザイン、ソフトウェア体験の3つが最も重要だと考えている。これに加えて、価格が購入決定に大きな影響を与える。これらをすべて満たす必要があり、Vibeはそれを実現していく。Vibeはユーザーの嗜好やパーソナリティを表現するもので、ネーミングもこだわったいる。

技術面ではたとえば5メガピクセルのフロントカメラを搭載した。撮影した写真を加工するソフトウェアも用意しており、小顔にしたり、目を大きくするなどの機能も備える。

ソフトウェアでは「DOit」を提供する。そのひとつであるSHAREitは、WiFiを利用したファイル共有機能で、オフラインでも動画などの大容量のファイルを簡単に転送できる。DOitにはこのほか、同期機能「SYNCit」、セキュリティ「SECUREit」など合計5種類の機能を備える。Android向けスマートフォンであればLenovo端末でなくてもGoogle Playからダウンロード可能だ。

―― OS戦略はどうか? 現在スマートフォンではAndroidのみだが、他のOSを採用する計画はあるか

Androidを利用するということ以外は、公式にはなにも発表していない。現在社内でWindows Phoneを検討しており、可能性を調べているところだ。だが、ロードマップや計画を立てている段階ではない。

―― Firefox OSなどの新しいOSはどうか? 途上国向けとしてZTEやHuaweiなどの中国勢が参加している。Ubuntuでは中国のMeizuが提携した。

常に新しいOSの動向に注目している。検討にあたって、顧客をはじめ市場の需要、コスト、ユーザビリティなどが基準となる。だが、現時点で発表できることはない。Androidのエコシステムはすばらしい。他のOSが同等のエコシステムを構築できるかどうかも注目している。

―― これまで急ピッチでシェアを増やしてきた。目標は?

現在、世界市場ではSamsung、Apple、LGに次いで4位、中国市場ではSamsungに次いで2位だ。PCで数年前にCEOが"ナンバー1を目指す"といったとき、多くの人が実現不可能だと思った。現在、LenovoはPCで1位になった。

経営陣は"コネクテッドデバイスでナンバー1"を目指している。PC、タブレット、スマホを含む分野で、IDCの調査では現在われわれは3位だ。到達時期は明らかにしていないが、ここで1位になるのが目標だ。