家電は基本的に、単独、単体で使うのが普通だった。それが、ビデオやゲーム機の登場で組み合わせて使う家電が出始め、最近の家電では「ネットワーク」がキーワードになっている。

家電にパソコンやスマートフォンのようなネットワーク機能を搭載し、家庭内でLANに接続して新しい機能を実現しようというのが家電のネットワーク対応で、一時期は「ネット家電」といった言い方もあったが、わざわざ「ネット」という言葉をつけなくても、ネットワーク対応はすっかり一般的になっている。

家電がネットワークに対応することによるメリットはいくつかある。外出先からリモート操作できるようになるのもその1つだろうし、インターネットから情報を取得して、家電の機能を拡張できるというのもメリットだろう。

ネットワーク対応家電にはさまざまなものがある。家電関連の見本市「International CES」などを見ていると、テレビ、レコーダー、オーディオから、冷蔵庫、エアコン、時計、メガネ、ドレス、照明、車、玄関のロック……と、「家電」とは言えないものもあるが、家庭内のあらゆるものがネットワーク化しようとしている。いわゆるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)だが、以前は「ユビキタス」と言っていたものと、要は同じ話ではある。

違うのは、さまざまな技術の発展で、それが現実味を帯びてきたということ。その1つが、コントロールする側のインタフェースの存在だろう。つまり、ネット家電というかIoTの製品を、どうコントロールするか、スマートフォンやタブレットの登場でそれが可能になったのだ。

テレビのように単独で操作できるものはともかく、操作部を本体に内蔵しづらい機器もある。そうした機器も、低価格化し、小型化・省電力化した無線LANチップを内蔵すれば、スマートフォンと接続してコントロールができるようになる。これが、IoT発展の1つの契機となっている。

というわけで、そうしたスマートフォンやタブレットと連携する家電製品について、今後いろいろと研究していきたいと思う。

連携させて使うタブレット

タブレットを世に普及させるきっかけとなった(写真は、2013年に発売された「iPad mini Retinaディスプレイモデル」)

前置きが長くなったが、家電とスマートフォン、タブレットの連携について考えていこう。スマートフォンというより、家電とタブレットの連携が、本稿のテーマである。

タブレット市場は、それなりに活性化してきている。その端緒となったのはiPadだが、その後Androidタブレットのラインナップが充実し、さらにWindowsタブレットも登場。携帯キャリアがタブレットを使ったサービスを強化しているといった要因も手伝って、事業者である携帯キャリアが「思ったよりは売れている」というほど。

もちろん、スマートフォンやPCのように一家に1台、一人に1台というレベルになるかというと、まだそこまではいかない。PCを持っているから不要という人もいるし、スマートフォンで十分という人も多いだろう。とはいえ、タブレットが便利なシーンというのはけっこうあるものだ。