説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『どうして「次のiPhone」は800MHz帯対応が鍵なの?』という質問に答えます。

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移動通信端末は、300MHzから3GHzにわたる極超短波の周波数帯域を利用して無線通信を実現しています。ここ日本では、700MHz~900MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯が携帯電話用に割り当てられています。

そのうち700MHz~900MHz帯は減衰が少ないため遠くまで届くため、比較的少ない基地局で広いエリアをカバーできます。そのうえ壁や山など障害物の周囲に回り込める特性もあるので、携帯電話の通信インフラに適しています。他の周波数帯域と比べて価値が高いことから、「プラチナバンド」と呼ばれることもあります。

そのうち800MHz帯は、NTTドコモとau/KDDIの2社に割り当てられてきました。しかし、2011年7月地上波アナログ放送(UHF)の停波により700MHz帯が空き、それまでバラバラに携帯電話各社へ割り当てられきた800MHz帯の整理が検討された結果、700~900MHz帯の再編が決定されました。

その後900MHzは、電波監理審議会(総務省の諮問機関)の判断によってソフトバンクに割り当てられました。iPhoneは900MHz帯に対応した端末のため、ソフトバンクは基地局を増やして(主に)iPhone用に「プラチナバンド」を充実させることができたのです。

しかし、iPhone 5はハードウェアの仕様により800MHz帯のLTEに対応していません。au/KDDIは800MHz帯を中心にエリア整備を続けてきましたが、iPhone 5ではその充実した通信網を生かすことができませんでした。au/KDDIが扱うAndroid端末は800MHz帯のLTEに対応しており、実人口カバー率は8月時点で97%という高さです。次のiPhoneが800MHz帯に対応すれば……という話は、au/KDDI版iPhoneのLTE環境が大幅に改善される、だから通信速度やつながりやすさが向上するだろう、という見通しなのです。

写真で解説

au/KDDIは、つながりやすい800MHz帯をベースにLTE通信網を構築しているので、次のiPhoneが800MHz帯に対応すると有利だといわれています