いまやスマートフォンひとつで簡単に高音質の録音が行える時代になった。そこで、スマホの録音機能を利用して多重録音をしてみよう、というのが本稿の趣旨。

前編では、スマホとあわせて使用したBEHRINGER製のオーディオインターフェイス「U-PHONO UFO202」の仕様や搭載機能や録音前に必要な下準備について解説した。後編では、実際に多重録音の手順について説明していく。

手前の機器がU-PHONO UFO202

本レビュー記事は、Android情報を専門に取り扱う僚誌「AndroWire」の連載『自腹ガジェット道場』を再構成したものです。

前編でスマートフォンに「集音マイク」アプリをインストールするなどの下準備を行ったが、PC側でも準備しておくことが2つほどある。まず、U-PHONO UFO202のドライバー「USB Audio Driver(USB-ASIO-Driver)」をインストールすること。ファイルはBEHRINGERのWebサイトからダウンロードできる。次に、2種類のフリーソフトをインストールすること。デスクトップ上に流れたあらゆる音を録音できる「Audacity」と、複数の音楽トラックを合成できる「RadioLine Free」だ。両ソフトとも高機能ながらユーザーインターフェイスが単純化されており、PCに詳しくない人にも扱いやすい。いずれもWeb上に無料で公開されている。

USB Audio Driverのインストールに成功したら、コントロールパネルのサウンド→録音から、ライン入力(BEHRINGER USB WDM AUDIO)を選択しよう(写真右)

製品に同梱されるCDにも、便利な音楽編集ソフトが収録されている。そちらを使って編集しても良いだろう(写真左)。写真右は、AudacityとRadioLine Freeのイメージ

本稿の末には、演奏を補助してくれるお役立ちアプリの紹介をしている。興味のある方はそちらも読んでもらいたい。

演奏+合成作業にとりかかろう

前置きが長くなったが、準備が整ったら実際に演奏を録音してみよう。スマートフォンのイヤホン端子と、U-PHONO UFO202のRCA入力端子を市販のケーブルでつなぎ、UFO202のUSB端子をPCに接続する。スマートフォンでは集音マイクアプリを起動させ、PCではAudacityの録音ボタンをクリックする。これで録音が開始されたはずだ。録音が終了したら、ファイルから「別名で書き出し」を選択し、WAVファイルとして保存する。これを繰り返し、必要なパートが全て揃ったらRadioLine Freeにドラッグ&ドロップしてトラックを追加しよう。RadioLine Freeでは、不必要な余白をマウスでドラッグして反転させ、Deleteキーで削除することができる。この便利な機能を利用して各トラックの頭を揃えれば、多重音声トラックの完成である。

Audacity(写真左)とRadioLine Free(写真右)の操作画面。高機能ながらパソコン初心者にも扱える分かりやすいUIが特長だ

従来、こうしたサウンドカード・ユニットは一部のオーディオマニア向けの商品で、価格も高価なものばかりだった。U-PHONO UFO202のような、安価で気軽に使える製品が出てきたのは素晴らしいことだ。

演奏補助アプリの紹介

録音の際に気を付けたいのは、演奏のテンポを一定にするということ。そうしないと、別パートの録音と合成できなくなってしまう。Androidアプリのマーケットにはメトロノームアプリも多数アップされているが、音や振動でテンポを刻むものは録音の妨げになるので使えない。したがって市販のメトロノームにイヤホンを挿して使用するのが無難だ。しかしメトロノームを持っていないという人は、とりあえず「懐中電灯」アプリを使ってみるのも手かも知れない。同アプリにはスマートフォン背面のフラッシュを一定のリズムで明滅する機能があり、集音マイクアプリと併用できる。これをメトロノームの代わりにするのだ。

やはり市販のメトロノームを使うのが無難(写真左)。懐中電灯アプリのように、明滅の間隔を調整できるアプリを使うのもひとつの方法ではある

演奏する楽器、あるいは演奏する楽曲にもよるが、別パートを他人に演奏してもらいたいときもある。「テンポ60で、拡張子wavにして送って」など事情を説明して録音を送ってもらえるなら話は単純だが、それができない場合はアプリに演奏させてみるのも良い。例えば無料のアプリ「アンド頼太」は楽譜に音符を入力していくことで電子音で再生できる機能をもっている。選べる楽器の種類が豊富で、同時に複数のトラックを使って音符を入力できるので、空きパートはこれで補完してはいかがだろうか。

アンド頼太の利用イメージ。簡単に音符の入力/編集ができる機能を搭載する

実はこれで原稿を終わる予定だったのだが、担当編集から「実際に多重録音をやってみた結果がほしい」ということを言われ、急遽、筆者のヘタなチェロの腕前を人前にさらすはめになってしまった。曲目はユリアス・クレンゲルという人の書いた「Zwei Stücke für Violoncelli」という、チェロ奏者4人で演奏する曲である。4パートとも筆者が演奏してる。


しかし大人になっても、やっていることが小学三年生の頃と変わらないというのはどういうことだろうか。三つ子の魂百まで、ということだろうか。精神年齢が成長していないのか。今回、レビューを執筆してて悩んでしまった点だ。

(記事提供: AndroWire編集部)