次世代のAndroidリファレンス機「GALAXY Nexus」が10月19日(香港時間)、香港で開催されたGoogleとSamsungの共催イベントで発表された。既報の通り、日本では「GALAXY NEXUS SC-04D」の名称でNTTドコモから11月での販売が予告されている。また日本以外のアジア地域や米国、欧州でも11月中の提供開始が発表されている。ここでは発表会の模様を簡単に紹介しつつ、スペックや機能面からGALAXY Nexusについてもう少し掘り下げていこう。

GoogleのAndroidチームトップのAndy Rubin氏とSamsung Mobile CommunicationsプレジデントのJK Shin氏。手に持つのはGALAXY Nexus

GALAXY Nexusの最大のセールスポイントは「Android 4.0 "Ice Cream Sandwich"」を初めて搭載したスマートフォン端末という点にある。直前の予測レポートにも示したように、他を圧倒するレベルのハイエンドというわけではないが、4.65インチという大画面に1.2GHzのデュアルコアプロセッサ、LTE標準搭載、NFC対応と、およそAndroid 4.0 (ICS)の新機能をすべてくまなく網羅し、開発者がその能力を活かせるように作られた、ある意味で"非常に尖った"作りの端末となっている。最も顕著なのは本体正面のタッチスクリーン面からすべてのハードウェアキーを排除した点で、これはICSの特徴である「ボタンはソフトウェアで実装」という設計思想をそのまま反映したものとなる。

スペック的な特徴は下記の通りだ。基本はHSPA+とEDGEをサポートしたグローバル端末となるようで、LTEを利用できるかは地域によるという。ただし、このLTEが提供されるエリアがどの地域にあたり、11月のいつごろ提供されるかについては明かされていない。現在、具体的な提供キャリアがアナウンスされているのは世界でもNTTドコモだけだ。ただ、NTTドコモがLTE内蔵タイプではないグローバル端末をあえて選んだのは、国内への最新グローバル端末の持ち込みを優先したからだとみられ、LTE対応地域は米国だけなど非常に限定的だと考えるのが適当だろう。筆者の予想だが、現時点で米国でLTEサービスを提供している事業者はVerizon Wirelessだけのため(AT&Tは全米展開できていない)、LTE + CDMA方式の端末が11月に米国向けに投入される可能性が高いといえる。この場合、この端末では通信方式が異なるという事情からNTTドコモでは利用できないため、あえてLTE版GALAXY Nexus投入を諦めたと考えられる。

ネットワーク HSPA+ 21Mbps/HSUPA 5.76Mbps 850/900/1900/1700/2100、EDGE/GPRS 850/900/1800/1900 (LTE利用の可否は地域による)
プロセッサ 1.2GHz デュアルコア
ディスプレイ 4.65インチ 1280×720ピクセル HD Super AMOLED
OS Android 4.0 (Ice Cream Sandwich)
カメラ LEDフラッシュつき500万画素(背面)、130万画素(前面)
動画コーデック MPEG4/H.263/H.264
ビデオ録画/再生 1080p (30fps)
オーディオコーデック MP3/AAC/AAC+/eAAC+
インターフェイス Bluetooth v3.0/ USB 2.0/ IEEE802.11 a/b/g/n (2.4/5GHz)/ NFC/ 3.5mmイヤフォンジャック
センサー 加速度/コンパス/ジャイロ/光/近接/バロメーター(気圧計)
メモリ 1GB RAM + 16GB or 32GB内蔵ROM
サイズ 125.5×67.94×8.94mm / 135g
バッテリ Li-on 1750mAh

各種センサーやインターフェイスを余すところなく積んでおり、カメラのスペックが若干見劣りするという点はあるものの、ほぼリファレンス機としてハイエンドユーザーの心を掴むのに十分な機能は持ち合わせているといえるだろう。内蔵ストレージは16GBまたは32GBの2種類のコンフィグレーションが用意されており、とかく2.x世代で問題となった内蔵ストレージの少なさと、それによるアプリのインストール制限で悩まされるケースはなくなったといえる。以下、発表会でのハイライトを写真ギャラリーで紹介するので参考にしてほしい。Nexusシリーズの魅力は、なんといっても「全端末で最初にAndroidアップデートが配布」され、Googleの最新アプリやサービスを誰よりも早く楽しめる点にある。とにかく最先端を体験したいというユーザーはチェックしてみるといいだろう。

全機種にLTEまたはHSPA+と、いわゆる4Gと呼ばれる世代の技術を搭載して高速通信に対応したのが特徴

ディスプレイは4.65インチに、1280×720ピクセルの16:9のHD表示をサポート。シネマサイズを表現できるのが特徴という

Nexus S同様、本体スクリーンはわずかに曲面カーブを描く形状になっている

Face Unlockと呼ばれる、顔認識でスクリーンロックを解除する機能。だが会場で行われたデモでは画面のメッセージを見てもわかるように、一度も成功しなかった。まだ発展途上の機能だといえる

GALAXY Nexusで比較的フィーチャーされていたのがカメラ機能だ。ソフトウェア部分が改良されており、カメラ起動までの時間や連射におけるレスポンスも非常に速くなったことが強調されている(「ゼロ・シャッターラグ」と呼ばれている)。先日のiPhone 4Sでのカメラ機能をフィーチャーしたプレゼンテーションに触発された部分もあるだろう。とにかく連射やフォーカスの速さ、撮影した写真のフィルタやトリミング、回転による加工など、数々の機能がデモストレーションされた

パノラマモードも新機能の1つ。画面下部にガイドラインが表示され、パノラマ写真の撮影進行状況がわかるようになっている。最後のサンプルは撮影されたパノラマ写真をアルバムで見たところ。拡大してもディテールがほとんど潰れていないことがわかる

1080p撮影にも対応したムービー機能もトピックの1つだ。GALAXY Nexusをセットして一定スピードで横方向へと移動するレール式装置を使って、スクロールしながらサンフランシスコの河口付近の水の流れを撮影したところ。この手の撮影手法では、携帯カメラだと撮影が追いつかずに画像が乱れる傾向があるが、サンプルを見る限りはきれいに撮影が行われているようだ

NFCを使った新機能のAndroid Beam。例えば片方の端末であるWebページを開いた状態で、両端末の背面を合わせると……このように、もう片方の端末でWebブラウザが起動し、Webページの情報がコピーされて表示される。地図であれば地図が、写真であれば写真が、閲覧中のムービーであればその状態で当該のムービーが相手側の端末でそのまま見られる。もし対になるアプリが存在しない場合、Android Marketへと自動的に接続される

(提供:AndroWire編集部)