同社初のAndroid向けセキュリティ製品「カスペルスキー モバイルセキュリティ9 for Android」

セキュリティベンダーのカスペルスキーは14日、Android搭載端末向けのセキュリティアプリ「カスペルスキー モバイルセキュリティ9 for Android」を発表、同社サイトからのダウンロード提供を開始した。現在は1カ月の試用版として無償提供され、その後の販売方法などは今後改めて発表するという。対応OSはAndroid 1.6~2.2。

モバイルセキュリティ9は、PC向けセキュリティソフトで培ったウイルス対策などの技術を盛り込んだAndroid搭載端末向けのセキュリティアプリ。同社ではSymbian搭載端末やWindows Mobile搭載端末といったモバイル端末向けにセキュリティアプリを提供している。そのため今回の製品はバージョン9となっているが、Android向けとしては最初の製品で、今回、初めて日本語版もリリースした。

PC並みの使われ方をしているスマートフォン

PCセキュリティでは、当初は自己顕示のためのマルウェア作者や愉快犯が多かったが、最近はブラックマーケットが発達して金銭にかかわるネット犯罪が増えている。モバイル向けの攻撃では、愉快犯などもなく、いきなりネット犯罪が出てくる危険性がある

2004年ごろに発見されたSymbian向けマルウェアを皮切りに、モバイル向けのマルウェアは急増している(累積)

毎月現れるモバイル向けマルウェアの数も増えてきている

攻撃の例。正規版のアプリに悪意のあるコードを追加して海賊版として配布されていたり、正規のAndroid Marketでも配布されたこともある

搭載されている機能は、マルウェア対策、プライバシー保護、盗難・紛失対策、着信拒否の4種類。マルウェア対策は、内部・外部メモリをスキャンしてマルウェアを検査し、検知した場合は駆除、削除が可能。アプリのインストール時、または定義ファイル更新時や手動スキャン時にはすでにインストールされているアプリも検査される。通常のデータも検査される。リアルタイムスキャンに加え、手動スキャン、スケジュールスキャンにも対応している。

マルウェア対策機能

プライバシー保護機能

定義ファイルを使ったマルウェアの検出で、デフォルトでは1日1回、定義ファイルの更新を行い、更新があればアップデートする仕組みだ。プライバシー保護機能は、連絡先、SMS履歴、受信SMS、通話履歴、着信履歴の5つの項目をパスワード保護して、他人が閲覧できないようにする機能。

盗難・紛失対策では、リモートによる端末ロック機能、GPS追跡機能、SIM差し替え監視機能、リモートワイプ機能を提供。登録された番号から、特定の文字列を加えたSMSを送信することで、端末の画面ロックをしたり、端末位置情報を返してGoogleマップ上に表示したり、SIMカードが差し替えられるとそれを通知したり、フォルダ単位でデータを削除したりできる。リモートによる端末ロック機能を利用すると、本体のハードウェアボタンも操作できなくなり、実質的にはモバイルセキュリティのアンインストールもできなくなる。

国内のSMSは、現時点では仕様上同じキャリア同士でしか送受信できないため、同キャリアからSMSを送信する必要がある。SMS受信でこれらの機能が動作するのは、現在はNTTドコモのGALAXY S、LINX 3D、REGZA Phone、GALAXY Tab、auのIS03、ソフトバンクモバイルのGALAPAGOS(003SH)のみ。送信側の端末は同じキャリアであればどれでも送れる。

着信拒否機能は、電話の着信とSMSの受信をフィルタリングする機能で、迷惑SMSなどで利用できる。ブラックリスト方式、ホワイトリスト方式の登録方法があり、ブラックリストにない番号とSMSをすべて許可するか、ホワイトリストに登録された番号とSMSのみを許可するかを選べる。動作モードとして「ハイブリッド」を選べば、ホワイトリストの番号とSMSを許可し、ブラックリストの番号とSMSを拒否した上で、リストにない番号やSMSの場合はポップアップからリストに1タッチで登録できるようになっている。

盗難・紛失対策

着信拒否機能

配布方法は、同社の特設サイトからのダウンロードのみ。すでにAndroid Marketでは英語版の同製品が有償でリリースされており、今後の配布方法が未定のため、Marketからは配布されない。そのため、同社サイトからのインストール時には端末の設定から「提供元不明のアプリ」のインストールを許可する必要がある。インストールをしたあとは、同設定はオフにし直すべきだ。

スクリーンショット。アプリの操作には暗証番号が必要。アプリサイズは1.3MBと軽量で、軽快に動作するようにしているという

特設サイトからダウンロード可能で、1カ月の体験版として無償で提供される

川合林太郎氏

当初は30日間の利用期間が限定された体験版の扱いで無償提供する。同社の代表取締役社長COOの川合林太郎氏は、30日後に使用期限が来た場合も「まず(有料での)販売はしない」と明言。使用期限を延長して、商用版として改めてリリースするかどうかは今後決定するという。さらに川合氏は、「1カ月後には新たなキャンペーンも発表したい」と話している。

川合氏は、「モバイル端末のセキュリティが危ない状況になってきているので、まずは無料で配布し、利用してもらう」ことを目的とし、しばらくは無償で利用してもらい、年内に100万ダウンロードを目指す。「Androidのセキュリティは任せて欲しいという意味合い」(川合氏)を込めたそうだ。各社からAndroid向けセキュリティアプリが登場しているが、同社では3割程度のシェアの確保を目指す。現在はAndroid OS 1.6~2.2までの対応だが、今後Android 2.3/3.0への対応も進めるほか、SMS対応機種も増やす予定だ。

同社の代表取締役会長の加賀山進氏は、コンシューマ/コーポレート向けをあわせて国内第7位のセキュリティベンダーであるカスペルスキーにとって、「ブランド認知度を高めるインフラを作るのが目標」と指摘。成長著しいAndroid端末向けのセキュリティアプリを無償提供することで、全体としての認知度向上を図り、主力製品のPC向けセキュリティ製品の販売増を狙う。現在は同社サイトからの提供だが、キャリアやメーカーとの協業をして製品を提供していくことも検討していく。

カスペルスキーは、グローバルでの組織変更によって、従来の日本部門を100%子会社化して、本社との資本関係を強化。ロシアKaspersky LabsのCEOであるユージン・カスペルスキー氏は、「日本市場を重視している」と強調しており、日本向け製品の品質向上・サポート強化のためR&D部門を日本支社にも設置するなど、ビジネスを強化していく考えだ。

加賀山進氏

ユージン・カスペルスキー氏

なお、Kaspersky Labsは、3月に発生した東日本大震災において、2,000万円以上の義援金を日本赤十字社に拠出。マッチング・ギフト制度を使い、全世界の社員から集めた義援金の2倍の額をKasperskyが追加して提供する。被災地への物資輸送に対する資本援助、被災地のユーザーに対する無償ライセンスの再発行、5,000台のガイガーカウンターの無償提供といった支援を実施。加賀山氏によれば、カスペルスキー氏は震災発生後すぐに、会社の資金を使って子供がいる社員の家族を大阪に避難させるよう指示を出したそうだ。