使い勝手の良いインターフェースで機能性も高い

Wikipedia閲覧アプリは数多くあるが、「Articles - The Wikipedia App」はiPhone標準搭載のwebブラウザである「Safari」とよく似たインターフェースを採用しているのが特徴だ。起動すると、最初に「検索バーをタッチして始めよう…」というメッセージが現れ、ステータスバーの検索窓にキーワードを入れると候補が表示される。その際、「タイトルのみ」で表示するのか「記事全体」で表示するのかを選べるようになっている。たとえば、「Roger Taylor」という人物を調べたいと思ったとして文字を入力すると、「タイトルのみ」では同名異人が6人表示されてしまうが、「記事全体」では内容をあわせて表示してくれるので、調べたい事柄へ間違えずに辿り着ける。この機能を上手く使い分けられると、情報により早くアクセスできるようになるはずだ。

新規検索画面。「検索バー」をタップすると検索窓が現れる

「タイトルのみ」で表示するか「記事全体」で表示するか選べる。言語の切り替えもここで行える

真ん中のボタンをタップすると表示されるメニュー

ブラウザ画面下、真ん中のボタンをタップすると、調べた項目をブックマークに追加したり、リンクをメールで送信、コピーできる。このボタン、形状からメールを送信するためのものなのだろうなと推測できるが、その中にブックマークを追加する機能が含まれてるのに少し違和感を覚える。その右隣にはいかにもブックマークでございますという形状のボタンが配置されているからだ。

そのブックマークボタンをタップするとリストが表示される。基本的にブックマークの内容を格納、整理するための機能でフォルダーを作成することも可能だ。中味を見てみると、絵画方面の項目がフォルダー含んで幾つかデフォルトで登録されているが、特別な機能も用意されているのでチェックしていこう。「付近」をタップすると、現在の場所周辺の地図とWikipediaに情報が登録されている項目の位置がピンで表示される。ピンをタップしてポップアップした事項のボタンをタップすると、Wikipediaの登録内容が表示されるというわけだ。「ランダム!」は文字通りの機能で、タップすると調べたくもないWikipediaの記事をデタラメに表示する。この機能は結果が表示された状態でiPhoneを振ることでも作動する(内蔵のセンサーと連動しているようだ)。振って振って振りまくって、無駄な知識をどんどん蓄積しよう。「履歴」も文字通りの機能。選択消去できるようになると便利かなと思った。

「ブックマーク」内のリスト。「新規フォルダー」を作成して整理できる

「付近」ではポップアップした事項の青いボタンを押すとリンクが開く

「履歴」からは再検索が可能。「消去」を押すと、アラートは現れるが、実行すると内容が全部消えてしまうので注意

引き続いてブックマークの機能を紹介するが、今回のアップデートで搭載された「後に読む」、これが少し曲者であった。項目をタップすると解説が現れたのだが、「文のリンクがこのリストに加わるように、どちらも文のリンクをタップして押さえつけて、*後で読む*を選びます。」とさっぱり意味が分からない。これは現在表示しているページのリンクをタップ&ホールドで保存して、オフラインで読めるという機能なのだが、本アプリ、こういった機能解説のローカライズが正直言って雑である。試しにブラウザ画面でステータスバーのツリー表示のボタンをタップして御覧頂きたい。「…またはダブル(タップ&ホールド)記事の表示をすばやく、記事全体の上に脱脂する。」……これならドイツ語(作者はドイツの方)で読むほうがまだ分かる。

「後に読む」の解説。そもそも「後に」でなく「後で」のほうが適当な気がするが……

「後に読む」に格納されたリンクのリスト。読むと自動的にリストから削除される

ステータスバーからのツリー表示。タップすると項目全体をざっと見られるという意味らしい

ブラウザ画面での機能紹介に戻ろう。画面右下のボタンをタップすると新しいタブが開く。タブは最大で9つで、Safariより1つ多い。 矢印ボタンは結果の前後の移動に使用する。リンクをタップ&ホールドすると、メニューが表示され、リンク先を表示するか、新規ページで開くか、リンクをコピーするか、オフラインで読む(前述)かを選択できる。また文字列をタップ&ホールドすると、選択範囲がポップアップし、コピーするか、ページ内で見出し語検索が可能となる。ピンチイン/アウトで表示の拡大と縮小が可能。画像をタップするとズームして表示する。縦横の表示は自動で切り替わるが、画面全体タップ&ホールドして下方にスクロールすると画面上部にメッセージが現れ、表示を固定することができる。ステータスバーはページの先頭に表示されたままなので、ツリー表示や言語の切り替えをしたいという場合、一番上までスクロールで戻らなければならない。これにはストレスを感じたので、アップデートで、常にフローティングしているか、またはタップ一発で呼び出せるような仕様にして頂きたいところだ。

最大で9つ開くタブは、複数の事項を同時に調べるのにとても便利

リンクのタップ&ホールドで表示されるメニュー

文字列をタップ&ホールドするとページ内の検索語句を指定できる

画像をタップすると別画面でズーム表示できる。戻るには「完了」をタップ

表示方向を固定する機能。画面ロックできないiPhone 3Gユーザーには嬉しい

少々厳しいことも書いたが、全体的な機能性は高く、インターフェースのデザインも綺麗にまとまっている。Safariの代わりに使う専用ブラウザと位置づけるならば、かなり使い勝手は良いという印象だ。

対応モデルは、 iPhone、iPod touchおよびiPad互換、OSはiOS 4.0以降、ジャンルはレファレンス、アプリサイズは3.4MB、対応言語は 日本語、オランダ、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、スペイン語、執筆時のバージョンは2.0。