米Dellのスマートフォン市場参入の噂を巡り、海外メディアでの報道がここのところ活発になっている。完成したプロトタイプが携帯キャリアに受け入れられずに再度プロジェクトが振り出しに戻ったという報道に加え、さらに直近では米Palmの買収観測まで出つつあるようだ。

以前にレポートしたように、元Motorolaの携帯部門トップだったRon Garriques氏を中心に進行しているDellのスマートフォン計画では、2種類のプロトタイプが用意されていると言われていた。だが3月20日にKaufman Bros.のアナリストShaw Wu氏が発表したレポートによれば「携帯キャリアの興味を引くことができなかった」ことを理由に事実上の失敗、現在ではふりだしに戻っている状態だという。一方でネットブックのセット販売などでこれらキャリアとは引き続き提携関係にあり、今後も製品ラインナップの強化で対応していくことになりそうだ。24日には米Dell CEOのMichael Dell氏が来日して記者会見を開いているが、「ネットブックの新製品」「新市場の参入には差別化が必要」といった会見中のコメントは、頓挫したと言われるスマートフォン計画の今後についてのヒントになるかもしれない。

またこうした状況下で、DellがPalmを買収するのではないのかという観測が出始めた。英Reutersの23日付の記事によれば、3人のアナリストが「DellがPalmを買収してスマートフォン市場に参入するのは理にかなっている」と述べている。この3人のうちの1人には前述のWu氏の名前も含まれており、プロトタイプの開発に事実上失敗したDellが買収を足掛かりに同市場に進出する可能性を指摘する。Palmは経営危機が叫ばれる一方でPalm Preのような魅力的な製品を発表しており、財務的に余裕のあり、同分野に興味を持つDellがそれを支援するのは自然な流れという考えだ。