スポーツの代表チームは、どんなデータを分析しているのか - Watson Summit 2017

[2017/06/07 12:30]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

データ分析

ブラジルW杯、ドイツはボール保持時間短縮で体力温存

モニタリングは試合の戦略にもつながる。ブラジルワールドカップで優勝したドイツ代表のレーヴ監督は「ブラジル北部の暑さでは、動けば動くほど体力が消耗する」との想定のもと、ボール保持時間を最小化する戦略でトレーニングを積んだ。

実際、2006年の監督就任時に2.8だったボール保持時間のKPIは、2008年に1.8へ、2010年に1.1へ、優勝した2014年には0.9へと3分の1にまで短縮した。保持期間を短くするために、ボールの認知、判断、トラップスキル、位置取りなどを高速化するトレーニングを行ったという。

ブラジルW杯、優勝国ドイツの戦略とKPI

卓球は手作業でレポート作成、徹夜になることも

以上のような取り組みで課題になってくるのがデータの収集だ。これはパフォーマンス分析が未だに手作業に頼っているという2つめの課題につながる。

データ収集の方法として伝統的に用いられてきたものに、コンディションチェックシートがある。睡眠時間、睡眠状況、食欲、疲労感、痛みの部位、身体症状、身体コンディション、体重などを日々記録し、チェックするものだ。

コンディションチェックシートの例

ただ、紙の用紙に手書きするケースもまだまだ多く、実施漏れや記入漏れも起こっているという。また、データを取得することはどのチームも行うが、相互の関連性がどうなっているかまで分析して活用できているところは少ないという。

競技スポーツのデータ活用

「特にゲーム分析は手作業に頼っています。最近、テニスやサッカーなどでトラッキングデータが表示されるようになりましたが、あのデータは主催者側でとっているもの。実際に戦っているチームはビデオカメラを1台しか持ち込めないといった制約のなかで分析スタッフがほとんど手作業でデータを整理しています」(河合氏)

たとえば、卓球では分析スタッフがビデオを見ながら一球一球の記録を入力し、翌朝のミーティングまでに徹夜してデータを処理してレポートを作成するという。

もっとも、最近は、テクノロジーの進化で取得できるデータが膨大になってきた。ラグビーやサッカーチームのなかには、モニタリング機器を使って日々のトレーニングのデータを収集・分析する取り組みも進んできている。

収集できるデータは膨大に

AIがデータ活用を促進

とはいえ、全体としてみれば、3つめの課題に挙げたように、分析に精通した監督・コーチが一握りであり、データの活用がまだまだ進んでいないのが現状だ。

「そんな中AIなどの最新テクノロジーを使ったアナリティクスに期待が集まっています。

自分のチームしか分析できなかったものが、対戦相手も同時に分析できるようになったり、ボールを持っている人だけでなく、ボールを持っていない人の動きを分析したりできるようになる。

しかも、それを自動的に実行できるようにすることで、これまでにない競技スポーツのアナリティクスが実現すると思っています」(河合氏)

日本IBMと筑波大学は現在、河合氏が挙げた3つの課題を解消できるようなソリューションを共同で開発することに取り組んでいる。

具体的には、1つめの課題については「人間ドック型から日常のモニタリングへ」をモットーに長期シーズンに適応した評価サイクルの開発を進める。2つめの課題については、テクノロジーの活用で自動化と新たな知見獲得を目指し、定形分析の省力化と新しい分析を進める。また、3つめの課題については、専門家の育成と成功事例を積み上げることで、監督/コーチを支援できる人材を増やす。

最後に、河合氏は、2020年の東京オリンピックに向けて実現が望まれる技術として、簡易で正確なトラッキング、疲労やストレスの定量化、障害予兆発見の3つを挙げ、「技術でやれることは広がってきています。ただ、スポーツの現場や学問領域だけにいると広がりに気づかないことも多い。いろいろな面で協力しあっていくことが必要です」と、スポーツ分野においても、産学が連携して取り組みを進めていくことの重要性を訴えた。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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