既報の通りRaptor Lake RefreshことIntel Core 14th Genの6製品が10月16日に発表され、既に秋葉原などでも発売が開始されている。またこのIntel Core 14th Genを搭載したPCも各社から発売開始されている。このCore 14th Gen、性能の速報ベンチは笠原氏にお願いしたが、フルバージョンのデータをやっと取り終わったのでご紹介したい。

  • Raptor Lake Refreshを試す【詳報版】 - 第14世代Core i9-14900K/i5-14600Kの性能を徹底検証

    Raptor Lake RefreshことIntel Core 14th Genのベンチマークテスト、今回はフルバージョンとしてお届けする

余談だが、この世代から製品の呼び方が変わっている。Raptor Lake世代だとGen 13 Coreだったのが、Raptor Lake RefreshではCore 14th Genである。これはMeteor Lake世代がCore Ultraブランドで導入されることに向けての変更である。日本語でも同様に、Raptor Lakeは「第13世代Coreプロセッサ」だったのがRaptor Lake Refreshでは「Coreプロセッサ(第14世代)」に変更されている。ここからすると、Meteor LakeはCore Ultraプロセッサだが、続くArrow Lakeは「Core Ultraプロセッサ(第2世代)」とかになるのかもしれない。

製品紹介そのものは開封の儀や先の笠原氏のレビューで紹介されているので割愛する。最初に一つ最初にお断りしておくと、今回はCore i9-14900K/KFの目玉であるIntel Application Performance Optimizerのテストは行っていないというか、うまく動作せず行えなかった。笠原氏の記事にもあるように、Intel Application Performance Optimizerを利用するためには

  • BIOSでIntel Dynamic Tuning Technologyを有効にする(Photo01)
  • Intel Dynamic Tuning Technologyのドライバをインストールする

の2つが前準備として必要である。

今回ASUSのPrime Z690-Aを利用したが、こちらのページのChipsetを展開すると、Intel DTT 9.0.11401.38310が用意されているので、これをインストールして再起動する。これが済んだらMicrosoft Storeで"Intel Application Optimizer"をダウンロード、インストールする形になる。余談ながら、BIOSでDynamic Tuning Technologyを無効化したままだと、ダウンロードに失敗するという謎の振る舞いをする。まぁそれはいいのだが、起動するとこんな感じである(Photo03)。残念ながら「なぜ動かないか」を調べられるほど時間が無かったので、今回はApplication Performance Optimizerの利用は見送りとさせて頂いた。申し訳ないがご了承頂きたい。

  • Photo01: ASUSの場合、Advanced→Thermal Configurationメニューにこれが存在する。

  • Photo02: せめてもう少し判るエラーメッセージにしてほしかった。ちなみに"Intel Application Optimizer"のページにもあるが、今のところIntelのDownload centerからは入手できないので、Microsoft Storeから入手する事になる。

  • Photo03: CPU-ZでCore i9-14900Kが動作している事は明らかで、デバイスマネージャでもIntel DTTのドライバがロードされている事が示されているにも関わらず、これである。

もう一つお断りしておくと、今回はCore i7-14700Kの比較はない。本当はE-Coreが4つ増強されたこのCore i7-14700Kが一番性能差が出る製品なのだが、何しろ回ってこなかったからどうしようもない。ということでテスト環境は表1の通りである。

■表1
CPU ・Core i5-13600K
・Core i5-14600K
・Core i9-13900K
・Core i9-14900K
・Ryzen 5 7600X
・Ryzen 7 7800X3D
・Ryzen 9 7950X
・Ryzen 9 7950X3D
M/B ASUS Prime Z690-A ASUS TUF Gaming X670E-PLUS
BIOS Version 2802 Version 1809
Memory Corsair emgeance CMK32GX5M2D6000Z36
DDR5-5000 CL42
Vide ASUS TUF Gaming Radeon RX 7900 XT OC Edition 20GB
Radeon Software Adrenalin Edition 23.10.2
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 22H2 Build 22621.2428

グラフ中の表記は

RX 7800 XT:AMD Radeon RX 7800 XT Reference
RTX 4070 :ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4070

Core i5-13600K :i5-13600K
Core i5-14600K :i5-14600K
Core i9-13900K :i9-13900K
Core i9-14900K :i9-14900K
Ryzen 5 7600X :R5 7600X
Ryzen 7 7800X3D:R7 7800X3D
Ryzen 9 7950X :R9 7950X
Ryzen 9 7950X3D:R9 7950X3D

となっている。また解像度表記も何時もの通り

2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

としている。

◆CineBench R23(グラフ1)

CineBench R23
Maxon
https://www.maxon.net/ja/cinebench

  • グラフ1

最近は結果がインフレ気味となっているCineBench R23。それもあってCineBench R24では大幅に負荷が増えるものになり、数字も穏当なレベルに収まるようになったが、とは言えR23も広範に使われてきたので、一応示してみた。結果は御覧の通りで、Core i5-14600KはCore i5-13600Kと、Core i9-14900KはCore i9-14900Kと比べてMulti/Single共にそれぞれ3~4%の性能向上が示されている。特にCore i9-14900Kは結果としてRyzen 9 7950Xを抜いている訳で、性能競争のためのベンチマークという観点では重要な結果ではあるとは思う。それが実アプリケーションでどこまで効いてくるのか、というのはまた別問題ではあるのだが(もっともAMDもこのCineBench R23の結果を声高にアピールしているあたりは、どっちもどっちというべきか)。

◆CineBench R24(グラフ2)

CineBench R24
Maxon
https://www.maxon.net/ja/cinebench

  • グラフ2

そのCineBenchのMaxonが先日リリースしたのがCineBench R24。測定方法も変わり、一定期間(デフォルトでは10分)の間ひたすらレンダリングを行い、その間の平均レンダリング性能を計測する形になっている。なので、R23までは複数回測定を行ってその平均値を示していたが、R24では1回の測定のみにしている。またCineBench R24では久々にGPU Renderingも復活しているが、GPUが同一だと性能差が無い(実際試してみたが差が無かった)ので、こちらの結果は省いている。

結果はグラフ2に示す通りで、概ねR23と同傾向(スコアそのものは1桁少なくなった)になっている。とりあえずCore i9-14900KはRyzen 9 7950Xを上回るスコアを出しているし、Core i5-14600KもCore i5-13600Kを僅かながら上回る性能なので、それなりに意味はある製品更新というべきだろうか。

◆PCMark 10 v2.1.2636(グラフ3~8)

PCMark 10 v2.1.2636
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ3

  • グラフ4

  • グラフ5

  • グラフ6

  • グラフ7

  • グラフ8

おなじみPCMark 10であるが、Overall(グラフ3)を見る限り基本多少凸凹はあるもののほぼ同等レベルであって、ここであれこれ差が出るとは言い難い。Test Group(グラフ4)を見ると、Essential/Productivity/Digital Contents Creationでは差が無いに等しく(Digital Contents CreationではPOV-Rayを実施している関係で、コア数が多いほど有利なのはまぁ仕方がない)、差が明確にあるのはGaming程度。ただこれはGame Benchmarkで判断すべき項目であり、こちらで判断するのはどうかと思う(そういう意味でも、PCMark 10 Extended ScoreよりもPCMark 10 Scoreで判断すべきなのだろう)。細かく見て言っても、多少差があるのはProductivity(グラフ6)のSpreadsheetsとDigital Contents Creation(グラフ7)のRendering&VisualizationとPhoto Editing、それとApplications(グラフ8)のExcel程度で、後は大同小異といったところ。つまり普通に使う限りにおいては、コア数が性能に直結する一部のアプリケーションを除くと今回比較した8つのCPUでどれも差が無い、ということになる。