アイロボットジャパンは9月12日、ロボット掃除機最上位機「ルンバ コンボ j9+」を含めた「ルンバ j9」シリーズ(4モデル)や、アイロボット初となる空気清浄機「Klaara p7 Pro」を発表しました。

プレス向けの新製品発表会では、アイロボット会長兼最高経営責任者のコリン・アングル氏が3年ぶりに来日。新製品に詰め込んだ技術や、空気清浄機を開発して新市場へ参入した理由について語りました。

  • 3年ぶりの来日となる、アイロボット会長兼最高経営責任者のコリン・アングル氏とロボット掃除機最上位機「ルンバ コンボ j9+」

  • アイロボット初となる空気清浄機「Klaara p7 Pro」も発表。カラーはグリーングレー(左)、ブラック(中央)、ウォームホワイト(右)の3色を用意します

約3年ぶりの最上位機「コンボ j9+」

まずはルンバ新シリーズのラインナップ紹介から。j9シリーズは、水拭き機能の有無や付属する充電ドックの差によって、「ルンバ コンボ j9+」「ルンバ コンボ j9+ SD」「ルンバ j9+」「ルンバ j9」の4モデルを用意します(以下、製品名の「ルンバ」はすべて省略)。発売日とアイロボット公式ストアでの価格は以下の通り。

  • 「コンボ j9+」 199,800円(9月22日発売)
  • 「コンボ j9+ SD」 169,800円(9月29日発売)
  • 「j9+」 139,800円(9月22日発売)
  • 「j9」 109,800円(9月22日発売)
  • 一番左が「コンボ j9+ SD」、中央の二つが「コンボ j9+」(左がドック収納時、右が本体のみ)、一番右が「j9+」

j9シリーズは、製品名に“コンボ”が入った水拭き機能付きの「コンボ j9」2モデルと、吸引掃除のみの「j9」2モデルという構成。

水拭き機能を備えたコンボ j9+とコンボ j9+ SDの差は、付属するクリーンベース(自動ゴミ収集機能付きの充電ドック)。コンボ j9+ SDには、自動ゴミ収集機能のみのクリーンベースが付属し、コンボ j9+には、ゴミ収集に加えて「スマート給水機能」を搭載した新開発のクリーンベースが同梱します。

スマート給水機能は、クリーンベース内の水補充タンク(容量3L)から、水拭き掃除用の水をルンバ本体に自動補充する機能。掃除中に水や充電が不足すると自動でクリーンベースに戻り、残りの清掃に必要な分のみ補充して、中断した場所から掃除を再開します。

水拭き機能のない2種類は、コンボ j9+ SDと同じ自動ゴミ収集機能付きクリーンベースが付属するj9+と、充電機能のみのホームベースが同梱するj9の2モデルです。

  • コンボ j9+。付属するクリーンベースは高機能なだけあって大型です

  • 吸引掃除のみのj9+。コンボ j9+と比べると、天面が茶色がかっています

  • コンボ j9+に付属するクリーンベースは前面が開く設計(天面は開きません)。中央にゴミを収集する紙パック、上部に水補充タンクを配置します

  • コンボ j9+のクリーンベース天板は木目調のプレート。扉の取っ手には革を使い、デザインにこだわっています

  • コンボ j9+のクリーンベースは、天板に小物を置いてサイドテーブルとして使えます

ルンバ史上「最もパワフルで、最も賢い」

続いて、ロボット掃除機本体の進化した点について。今回のj9シリーズは、コリン・アングル氏が「最もパワフルで、最も賢い」と強調する通り、吸引力や水拭き性能、ソフトウェアの「iRobot OS」がすべて強化されています。

吸引力は、これまでの「ルンバ i」シリーズや「ルンバ j7」と比較して最大2倍までパワーアップ。よりしっかり清掃したいときに重宝する、縦横の向きを変えて2回走行・清掃するモードも備えています。

  • カーペット上に差し掛かると、自動で吸引力がアップします

水拭き掃除は、「スマートスクラブ」という新しい清掃パターンを取り入れたことで、通常の床拭きモードと比べて床を2倍キレイできるようになりました。スマートスクラブは、“人が雑巾がけするように”細かく前後に動くことで、床をゴシゴシと磨く水拭きモード。

スマートスクラブを有効にすると、水拭きにかかる時間が通常モードの約2倍かかりますが、汚れやすい一部のエリアのみスマートスクラブを有効にするといった使い方も可能です。

  • 水拭きパッドはメインブラシの後方に配置。カーペットを前方に検知すると天面に収納されます

  • 水拭きパッドを収納するようす

  • デモでは、充電コードなどの障害物を認識・回避していました

“賢さ”の強化は、ルンバのオペレーションシステムの最新版である「iRobot OS 7.0」によるもの。j9シリーズは新しく「Dirt Detective(ダートディテクティブ)」機能を搭載します。

この機能は、清掃する部屋の順序に自動で優先順位を付けるというもの。一定以上蓄積された清掃履歴に基づいて、「各部屋の汚れやすさ」「最近掃除していない部屋」「最も汚れていると思われる部屋」などをルンバが判断。優先的に掃除するエリアや清掃プランをアプリから提案します。モップが汚れやすいトイレの掃除は後回しにするといった判断も行えます。

  • Dirt Detective機能

  • アプリの設定画面。吸引力・水拭きの水分量・スマートスクラブのオンオフ・走行回数はエリア・部屋ごとに選べます

アイロボット初の空気清浄機「Klaara p7 Pro」

続いては、アイロボット初の空気清浄機となるKlaara p7 Proについて。Klaara p7 Proは、アイロボットが約5年間かけて開発した、「室内のウイルスや花粉に悩んでいる人」向けの空気清浄機。10月20日に発売し、アイロボット公式ストアにて169,800円で販売します。カラーはブラック、ウォームホワイト、グリーングレーの3色。

  • 本体サイズはW368×D386×H599mm、重さは16kgとかなり大型。適用床面積は約40畳です

アイロボットの会長兼最高経営責任者であるコリン・アングル氏は、「ユーザーがアイロボットに期待していることは、清潔なだけではなく、健康的な環境を作ってくれるということ。これまで着目してきた“快適で健康的な環境づくり”のためのステップとして、家族全員が安心して暮らせる空間作りを目指して開発した」と、空気清浄機市場へ参入した理由について語りました。

  • コリン・アングル氏によると、ユーザーは「清潔なだけではなく、健康的な環境を作ってくれるか」といった点も求めているといいます

Klaara p7 Pro最大の特徴は、「汚れた空気の漏れ」を防ぐ密閉構造。アイロボットによると一般的な空気清浄機は、パーツのつなぎ目やすき間から、フィルターを通っていない汚れた空気が漏れ出ることがあるといいます。

Klaara p7 Proによる空気清浄は、本体の下側にある4つの吸気口から空気を取り込み、内部のフィルターで空気をろ過して本体上面の排気口から空気を送り出す流れ。今回、吸気口より上側のボディを一つの部品で製作する「クローズド・キャプチャ技術」を用いたことで、取り込んだ有害物質とキレイな空気が製品内で混ざらないようにし、汚れた空気の漏れを防ぐ設計としました。

  • Klaara p7 Proの断面図。下側から吸引した空気をファンで上に送り込み、フィルターを通って上から排出されます

フィルターは3つのフィルターが一体となった「3段階フィルターシステム」。ホコリやペットのフケを除去する「プレフィルター」、臭いやホルムアルデヒドを除去する「カーボンフィルター」、煙の粒子やアレルゲン、花粉、ウイルス、カビを取り除く「HEPAフィルター」を通すことで汚染物質を99.98%除去します。

  • フィルターの交換目安は1年間。交換用の「4789727 p7 Proフィルター」の価格は29,800円です

  • カーボンフィルターは、一般的な空気清浄機のフィルターよりかなり多い活性炭を含んでいます

  • 空気の質を毎秒10回モニタリングすることで、空気の状態に合わせて風量を調整して効率的に空気を清浄。アイロボットのAI技術を活用し、室内の空気環境や生活習慣を学習して暮らしに合わせた稼働が可能になるといいます

アイロボットならではの機能として、ルンバとの連携機能である「リンク清掃」を備えます。これは、Klaara p7 Proを設置した部屋をルンバが掃除すると、Klaara p7 Proのパワーが自動で上がり、大風量で空気清浄するという機能。床に落ちたホコリやゴミ、花粉はルンバが吸引し、空気中に舞ったものはKlaara p7 Proが効率的に捕集します。

  • アプリの「リンク清掃」画面

  • 天面のディスプレイには、AQI(Air Quality Index:空気質指数)を表示し、周囲の空気の汚れ具合を示します

  • アプリ画面にも室内外のAQIを表示