8月上旬、アップル日本法人が設立40周年迎えた、というプレスリリースが出されました。その中で、2023年の「Swift Student Challenge」で同じ大学の同じ研究室から2人の入賞者が選ばれたことが紹介され、話題を呼びました。その2人を含む日本人受賞者5名が集まり、オンラインでのセッションを実施。アプリ開発やプログラミングに興味を持つ若者にエールを送りました。

  • 2023年の「Swift Student Challenge」で受賞をつかんだ5名の学生がApple 丸の内に集結!

アイデア豊かなアプリが受賞をつかんだ

8月19日、オンラインで開かれたのは「Exclusive:Swift Student Challengeの入賞者をお祝いしよう!」と銘打たれた特別セッション。Swift Student Challengeは、世界中の学生を対象にしたアプリ開発のコンテストで、毎年6月のWWDCに合わせて開かれます。今回、5名の日本人受賞者がApple 丸の内に集まり、オンラインでのセッションに臨みました。

熊本県立大学の秋岡菜々子さんが受賞したのは、クイズ形式で日本の伝統文様が学べるアプリ「Japattern Legacy」。文様を畳の並べ方で配置するなど、“和”や“日本らしさ”を積極的に取り入れた仕上げにしています。

  • 熊本県立大学の秋岡菜々子さん

  • 秋岡さんが受賞した「Japattern Legacy」のアプリ

同じく熊本県立大学の山田雄斗さんが受賞したのは、日本の伝統文様を正確に描くアプリ「Yui(結)」。色や線の太さを自由に変える機能を盛り込んでおり、伝統文様をベースに自分だけの文様を作れるのがポイントです。ちなみに、秋岡さんと山田さんは同じ飯村研究室(飯村伊智郎教授)の所属でもあります。

  • 熊本県立大学の山田雄斗さん

  • 山田さんが受賞した「Yui(結)」のアプリ

慶應義塾大学の山口響也さんが受賞したのは、重力や反射の法則など基本的な物理の法則がゲーム感覚で学べるアプリ「Newton’s Notebook」。上からリンゴが落ちてくるので、Apple Pencilを使って画面内に線を描き、リンゴを転がしたり反射させてゴールのカゴに入れるという内容です。

  • 慶應義塾大学の山口響也さん

  • 山口さんが受賞した「Newton’s Notebook」のアプリ

洛南高等学校の荒川陸さんが受賞したのは、古くから京都で遊ばれていた遊び「投扇興」をモチーフにしたゲームアプリ「Tosenkyo」。下から上にスワイプして扇子を投げ、ターゲットとなる目標に当てるという内容です。

  • 洛南高等学校の荒川陸さん。手にしているのは、Swift Student Challengeの受賞者だけが手にできる特製パーカーだ

  • 荒川さんが受賞した「Tosenkyo」のアプリ

早稲田大学の高橋直希さんが受賞したのは、ARを用いたユニークなゲームアプリ「KeePong」。画面に卓球のラケットとボールが現れ、サッカーのリフティングのようにピンポン球を落とさないようにiPhoneを動かすという内容です。

  • 早稲田大学の高橋直希さん

ちなみに、これらのアプリはまだApp Storeには登録されていないので、一般のiPhoneやiPadのユーザーは体験できません。正式リリースされるのを楽しみに待ちましょう。

アプリ開発は大学に入ってからでも遅くない

「プログラミングを始めたきっかけは?」という質問に対して、秋岡さんは「大学の研究室に所属したのがきっかけでプログラミングを勉強しました。大学2年生の6~7月ぐらいだったので、1年が過ぎた感じですね」と語ります。プログラミングを始めてから、わずか1年でSwift Student Challengeを受賞したことには驚かされました。

秋岡さんと同じ研究室に所属する山田さんは「自分でコードを書いて作成したアプリが実際にiPhoneやiPadで動くのを見るのが一番楽しいですね」と、アプリ開発の醍醐味を語ります。

山口さんは、中学2年生の時からアプリ開発を始めたそう。「最初の1年ぐらいは難しかったのですが、作りたいと考えたものを作れるようになってからは、毎日アプリのアイデアを考えるのが楽しくなりました。もちろん、大学生になった今も楽しいですね」と語ります。

荒川さんは「中1の時に、Apple BooksにあるSwiftのプログラミングガイドを読んでアプリ開発を学び始めました。iPhoneアプリ開発のゲーム編みたいな教材があるんですが、それで勉強しましたね。もちろん難しい箇所もあるんですが、すごい分かりやすくまとめられていて助けられました」と振り返ります。

オンラインセッションの終了後、5人はちょうどApple 丸の内で開かれていたセッション「サマーキャンプ:iPadで夢の発明品をデザインしよう」に参加。プログラマーやクリエイターの卵といえる子どもたちの作品にコメントをしつつ、思いもよらない独創的なアイデアに刺激を受けていたようです。

  • Today at Appleのセッションに飛び入りで参加した5名の受賞者。アップルが認めたアプリ開発者の登場に、会場の子どもたちや保護者も思わずびっくり

Swift Student Challengeは、毎年3月末あたりから募集が始まります。8月31日まで、アップルの「Today at Apple Appleとコーディングを楽しむ夏」がアップルストアの店頭とオンラインで開かれていますので、そちらに参加してプログラミングの第一歩を体験するのもよいでしょう。

9月以降も、Swiftのプログラミング言語がゲーム感覚で学べるアプリ「Swift Playgrounds」や、アップルのSwiftプログラミングガイドは無料で提供されているので、それらを参考に2024年のチャレンジに挑戦してみては?