TwitterやFacebook、LINEのような「SNS」による情報共有のスタイルをビジネスに持ち込む「企業内SNS」に対する関心が高まりつつある。企業内での情報共有ツールとしては、長い歴史を持つ「グループウェア」が広く使われているが、その中でなぜ「企業内SNS」が注目を集めているのだろうか。本稿では、ITサービスを通じて企業の業務改善を長年サポートしているサテライトオフィスの原口社長の解説をもとに、「企業内SNS」が必要とされる背景や導入する価値を紹介したい。

監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)

大手証券会社システム部に在籍後、1998年サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。G Suite(旧名:Google Apps)の導入・アドオン提供の実績はこれまで3万社以上。「サテライト・オフィス」ブランドでWorkplace by Facebookの普及に尽力。

提供:サテライトオフィス

「メール」や「グループスケジューラー」といった、仕事上のコミュニケーションや情報共有をサポートするツールが、「あって当たり前」のものとして根付いている企業も多いだろう。こうしたITツール群は「グループウェア」とも呼ばれ、20年以上の長い歴史の中で進化が続いている。

グループウェアは各時代におけるITアーキテクチャのトレンドや、市場環境の変化に敏感に反応しながら機能強化や改良が行われてきたソフトウェアでもある。例えば、1990年代後半に加速した「クライアント/サーバ」から「Webアーキテクチャ」への移行は、その分かりやすい例だ。グループウェアは、他の多くの業務用アプリケーションに先がけて、多様なデバイスに標準搭載された「Webブラウザ」からアクセスできるようになった。

グループウェアには、常に「企業内のあらゆる人が毎日利用するシステムとして、アクセスしやすく、使いやすい」ことが求められてきた。そして2000年代以降、さらにいくつかの大きな波が押し寄せ、企業内コミュニケーションに求められる要件は、一気に多様化することになる。

慣れ親しんだ「SNS」のスタイルを企業に持ち込むとどうなる?

インターネットやWebが人々の生活にとってなじみの深いものとなる中、2000年代中盤以降、「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」(SNS)と呼ばれるネットサービスが次々と立ち上がり、広く受け入れられた。インターネット上で「人と人」のつながりを構築し、情報を共有するSNSは、日本においては「GREE」や「mixi」などが先行。その後2000年代中盤に、米国発の「Twitter」「Facebook」「Google+」などが、次々と日本に上陸し、ユーザーを増やしていった。

また、この時期は「iPhone」「iPad」や「Androidデバイス」が急速に普及し、1990年代後半からモバイルコミュニケーションの主役であったフィーチャーフォン(多機能携帯電話)の座を奪っていった時期にも重なる。こうして、現在までの間に「スマートフォン(スマートデバイス)を通じてSNSで情報共有」という形が、多くの人のライフスタイルとして定着してきた。新しく知り合った人と「メアド」(メールアドレス)を交換する習慣が、TwitterやFacebook、そして「LINE」のアカウント名の交換に置き換わり、メールの代わりに「メッセンジャー」や「チャット」を使って連絡を取り合うようになったという人も多いのではないだろうか。

この、コンシューマー分野で先行して広がった「SNS」による情報共有のスタイルを企業に持ち込むことで、ビジネスコミュニケーションを活性化しようとする試みが多く行われてきた。その背景には、従来からの「グループウェア」では、十分にフォローできていなかった「横方向」の情報の流れを「企業内SNS」によって促進できるのではないかという期待があった。

特に日本でその傾向が強いとされているが、従来のグループウェアでは、企業の「縦割り」の組織構造に準じた形で、ユーザーや情報の流れを管理できることが重要とされてきた。組織構造に合わせてユーザー権限を設定できるディレクトリサービスや、承認ワークフローなどの機能が特長的だ。

一方で「SNS型」の情報共有スタイルは、「縦割り」よりも、「横方向」への情報の流れを加速させるのに向いている。部門内の各メンバー、さらには部門の壁を越えた現場に近いメンバー間でのカジュアルな情報発信、情報共有を活発にすることで、めまぐるしい市場変化に対応できる、現場レベルでのスピーディーな意思決定や、広範なナレッジの蓄積を促すことが可能になるのではないかというわけだ。

また、業務の中だけで利用するグループウェアとは異なり、普段の生活の中で慣れ親しんでいるSNS形式のユーザーインターフェースや、ユーザーエクスペリエンス(スマートフォンからのアクセスのしやすさ、反応のリアルタイム性など)も、情報共有を活性化する上で重要な要素になる。

グループウェアと補完的に使える各社の「企業向けSNS」

企業内で「SNS型」のコミュニケーションを実現するツールとしては、これまでにさまざまなものが市場に投入されている。例としては、セールスフォースドットコムの「Chatter」、マイクロソフトが買収し、同社のOfficeファミリーとして統合された「Yammer」、そして近年、日本のコンシューマー市場において圧倒的なシェアを持つ「LINE」の機能をビジネス向けにカスタマイズしたワークスモバイルジャパンの「LINE WORKS」といったサービスが挙げられる。

そして、全世界で20億人以上のユーザーを抱える「Facebook」も、2016年10月より「企業向けFacebook」である「Workplace by Facebook」をスタート。2017年5月より日本向けの正式サービスを開始している。


これらの「企業向けSNS」に共通するのは、PC上のWebブラウザだけでなく、スマートデバイス向けの専用アプリを通じて、コンシューマー向けSNSと同等の機能と「使いやすさ」を実現していること。それに加えて、企業内での利用に必須のセキュリティ機能、ユーザー管理機能、モニタリング機能などが付加されている点だ。

また、先ほど挙げたツールの中では後発となる「Workplace by Facebook」では、他のツールでも提供されているユーザー間の「テキストチャット」「ボイスチャット」機能に加えて、一般向けFacebookと同等の「グループ」機能を使った情報共有が可能な点もポイントになっている。Facebookユーザーであれば、Facebookの個人タイムラインやグループに対して、テキストだけでなく、スマートフォンで撮影した画像や動画を簡単にアップでき、それに対する反応を「いいね!」ボタンを通じて即座に得られることは知っていると思うが、「Workplace by Facebook」においても、これとまったく同じことが行える。また、アップロードする画像や動画、ファイルの容量が「無制限」となっているのも、特にマルチメディアデータを扱うことが多い業種、企業にとっては大きな魅力のひとつになっている。

「企業向けSNS」は、ビジネス上のコミュニケーションをサポートするという役割は従来の「グループウェア」と同じであるものの、必ずしも「グループウェア」を置き換えるものではない。先述のように、既存のグループウェアではフォローしにくかった、組織内の「横方向」でのコミュニケーションを活性化したり、情報共有の範囲をグループウェアの利用ユーザーではなかった現場の担当者、さらにはパートタイマーやアルバイトスタッフにまで広げたりすることで、より広範なコミュニケーション基盤、ナレッジ共有の基盤として補完的に活用できるツールととらえるべきだろう。

では「企業向けSNS」とコンシューマー向けのSNSとの間には、具体的にどのような違いがあるのだろうか。次回は「Workplace by Facebook」を例に取り、企業向けSNSとして用意されている具体的な機能について紹介する。

サテライトオフィス


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