今週は、文字を上下にずらして配置する書式の使い方を紹介する。頻繁に使用する書式ではないが、工夫次第でさまざまな場面に応用できるので、各自でも活用方法を研究してみるとよいだろう。

文字の上下位置の指定

前回ならびに前々回の連載で紹介した「フォント」の設定画面には、文字を上下にずらして配置する書式も用意されている。まずは、この書式の基本的な使い方から紹介していこう。

文字の上下位置を変更する時は、「フォント」の設定画面で「詳細設定」タブを選択し、「位置」の項目に「上げる」または「下げる」を指定する。続いて、その右隣にある「間隔」に「文字を上下に移動させる距離」を指定すると、選択していた文字を上下にずらして配置できる。例えば「位置」という文字を選択した状態で「上げる」「3pt」を指定すると、以下の図のように文字の配置を変更できる。

文字の上下位置の指定

文字の位置を3pt上へ移動した場合

ただし、この書式を通常の文字(本文)に対して指定するケースは極めて少ない。この書式を活用できるのは、ユニークな見出しを作成したい場合など、少し特殊な用途に限られる。例えば、以下の図のように文字の上下位置を1文字ずつ変化させて配置すると、動きのある見出しを作成することが可能となる。

各文字の上下位置を変化させた見出し

上下位置の書式を活用した例をもう一つ紹介しておこう。以下に示した例は、「上下位置」と「段落の背景色」を利用して作成したタイトル(見出し)となる。

「上下位置」と「段落の背景色」を指定したタイトル

この図だけでは少し分かりにくいと思うので、この例で指定している書式について順番に説明しておこう。タイトルとなる「祇園祭山鉾」の文字を入力したら、行揃えを「右揃え」に変更し、フォントや文字サイズなどの書式を指定する。

「右揃え」で配置して文字の書式を指定

続いて、「行間」と「段落の背景色」を指定する。今回の例では「行間」に90ptを指定し、「段落の背景色」には赤系統の色を指定した。なお、これらの書式を指定する手順は、本連載の第5回第10回で詳しく紹介している。よくわからない方は、あわせて参照しておくとよいだろう。ここまでの作業が済むと、タイトルのデザインは以下の図のようになる。

「行間」と「段落の背景色」を指定

続いて、文字の上下位置を調整する。「祇園祭山鉾」の文字を選択し、今回の連載で紹介した書式を使って文字の配置を下へずらすと、下端との間隔を調整できる。

文字の上下位置を下へ移動

最後に右端の間隔を調整する。この調整に「右インデント」を使用すると、「段落の背景色」も一緒に移動してしまい、うまくいかない。そこで少し強引ではあるが、空白文字(スペース)を使って間隔調整を行っている。「祇園祭山鉾」の文字の後にカーソルを移動し、スペースキーを押して空白文字を入力する。

行末に空白文字を入力

このままでは右端との間隔が広すぎるので、先ほどの入力した空白文字を選択し、空白文字の「文字サイズ」を変更すると右端との間隔を調整できる。

空白文字の「文字サイズ」を変更して右端との間隔を調整

以上で、見出しのデザインを作成する作業は完了となる。少し特殊な例となるが、上下位置の書式を応用したデザインとして参考にしていただければ幸いである。

サイズが異なる文字を上下中央にそろえるには?

文字の位置を上下にずらす書式は、サイズが異なる文字を整列させる場合にも活用できる。例えば、Wordで名刺を作成する時に、「株式会社」の文字だけを小さくし、社名を上下中央に配置したい場合もあるだろう。

サイズが異なる文字を上下中央に整列させた配置

このようなレイアウトは、「株式会社」の文字サイズを小さくし、文字を少し上へずらして配置すると実現できる。ただし、何pt上へ移動させるかは状況によって異なるため、ある程度の試行錯誤が必要になる。

そこで、文字を上下中央に簡単に揃える方法を紹介しておこう。この場合は「段落」の設定画面を利用する。「体裁」タブを選択し、「文字の配置」に「中央揃え」を指定すると、その段落内にあるすべての文字を上下中央に整列できるようになる。

「段落」の設定画面で「文字の配置」を指定

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上下位置の書式を指定することなく、サイズが異なる文字を上下中央に揃える方法として覚えておくとよい。いろいろな場面で活用できるはずだ。