Wordで文書を編集するときに、よくトラブルの原因となるのが行間の指定である。フォントや文字サイズなどの書式は問題なく指定できても、『行間を調整する方法はよくわからない…』という方は意外と多いようだ。そこで今回は、行間の考え方と、行間を好きな間隔に変更する方法を紹介しよう。
Wordにおける行間の考えた方
連載の2回目でも紹介しているが、ここでもう一度、行間の考え方について復習しておこう。Wordでは、基本的に「1行」の行間で文字が配置される仕組みになっている。ここでいう「1行」とは、「ページ設定」ダイアログの「行送り」に相当するものだ。つまり、
「1行」=「行送り」の値
となる。初期設定では「行送り」が18ptに設定されているので、「1行」の行間も18ptになる。設定を自分で変更した場合は、そのときの「行送り」の値が「1行」のサイズとなる。
ここでは、初期設定の場合(1行=18pt)を例に話を進めていこう。
文書に入力した文字は、基本的に「1行」の行間で配置される。10.5ptの文字(標準の文字サイズ)はもちろん、8pt、12ptなどの文字も1行(18pt)の行間で配置される。14pt以上の文字は、1行の行間に収まらなくなるため2行(36pt)の行間で配置される。
ちなみに、1行の行間に収まる文字サイズは、「1行」のサイズの3/4程度までとなる。1行=18ptの場合は13.5ptまでの文字が1行に収まり、それ以上の文字は文字サイズに応じて2行、3行…の行間が確保されることになる。
Wordには、行間を変更するためのコマンドとして「行と段落の間隔」が「ホーム」タブに用意されている。ここに並ぶ「1.0」「1.15」「1.5」「2.0」…などの数値は、選択している段落の行間を「○行」に変更するものとなる。「1.5」を選べば1.5行(27pt)の行間になるし、「2.0」を選べば2行(36pt)の行間になる仕組みだ。
たとえば、先ほどの例において、すべての段落の行間を「2.0」に変更すると以下の図のようになる。14pt以上の文字はもともと2行の行間で配置されているので何も変化はなく、それ以下の文字サイズだけが2行の行間に変更される結果となる。
このように、「ホーム」タブには行間を変更するためのコマンドも用意されているが、かなり大雑把なものであり、細かく行間を指定することはできない。よって、このコマンドを使う機会は少ないのが実情といえる。
グリッド線を無視した行間設定
では、どのようにして行間を設定すればよいのだろうか?
最も手軽に行間を調整できるのは「行送り」の設定を無視する方法である。この方法は、脚注のようにサイズが小さい文字の行間を調整する場合などに活用できる。
「行送り」の設定を無視するときは、以下のように操作を行えばよい。
1.行間を変更する段落を選択する
2.「ホーム」タブにある「行と段落の間隔」をクリックし、「行間のオプション」を選択する
3.「段落」ダイアログが表示されるので、「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」のチェックを外す
4.「OK」ボタンをクリックする
すると「行送り」の設定が無視され、文字サイズに応じて最適な行間が自動指定されるようになる。先ほどの例の脚注部分について「行送り」の設定を無視させると、以下の図のようになる。
行間を自由に指定するには?
文書によっては、行間を細かく数値で指定したい場合もあるだろう。この場合も「段落」ダイアログを利用して行間を変更する。行間を数値で指定する場合は、「行間」の指定方法に「固定値」を選択し、その右側にある「間隔」に数値(単位はpt)を入力して行間を指定すればよい。
これで各段落の行間を自由自在に変更できるようになる。他の書式に比べて、行間の設定は少し奥深いところに用意されている。このため、『行間の細かい指定方法がわからない…』という方が多いのであろう。少々不便であるが、行間を変更する機会は多いので設定方法必ずを覚えておこう。