Windows Server 2008ではさまざまな新機能を取り入れているが、その一方でひっそりと消えていった機能もある。過去2回で名称や位置付けが変化した機能について取り上げたが、今回は本当になくなった機能についてまとめておこう。

WebDAVサーバ (後日提供予定)

意外なことに、Windows Server 2008のIIS 7.0ではWebDAVサーバ機能が存在しない。ASP.NETやASP、CGIなど、Webアプリケーションの運用に必要な機能は役割サービスとして組み込むことができるが、選択肢にはWebDAVサーバ機能はない。といっても、マイクロソフトがIISのWebDAVサービス機能を見捨てたわけではなくて、WebDAVサーバ機能を実現するためのモジュールは、後日提供の予定となっている。マイクロソフト製品でもWebDAVを利用するものはいろいろあるので、仮想化機能のHyper-Vと同様、早期のリリースが期待されるところだ。

SFM (Services for Macintosh)

本連載の第10回目でRRASについて解説した際にも触れているが、Windows Server 2008では古いMacOSを対象としてファイル/プリンタ共有機能を実現するための、以下の機能についてサポートを打ち切っている。

・RRASのAppleTalkルータ機能
・SFM(Services for Macintosh)

MacOS 9.x以前はファイル/プリンタ共有のために、ネットワーク層/トランスポート層プロトコルとしてAppleTalkを使い、その上位で動作する共有プロトコルとしてAppleShareを利用していた。

WindowsサーバのSFMでは、RRASのAppleTalkルータ機能を使ってAppleTalkネットワークを構成した上で、AppleShareサーバ機能を動作させて、その上で古いMacOSを対象としてAppleShareベースのファイル/プリンタ共有機能を提供していた。しかし、当のMacintoshがAppleTalkを捨ててTCP/IPベースに移行しており、AppleShareすら使わなくなっている。したがって、SFMのサポート打ち切りは妥当な判断といえるだろう。どうしても必要であれば、Windows Server 2003を使って一般サーバを稼働させた上で、そこでRRASのAppleTalkルータ機能とSFMを動作させることになる。

Windows Server 2003では、SFMを導入することでMacintosh用にAppleTalk + AppleShareベースのファイル/プリンタ共有機能を実現できたが、Windows Server 2008はSFMのサポートを打ち切った。

その他の、消滅したネットワーク関連機能

このほか、Windows Server 2008で消滅したネットワーク関連機能として、以下のものがある。いずれも使用しているケースは少なかったと思われるが、念のために確認しておこう。

・BAP(Bandwidth Allocation Protocol, 帯域幅割り当てプロトコル)
・X.25公衆パケット網
・SLIP(Serial Line Internet Protocol, シリアル回線インターネットプロトコル)
・ATM(Asynchronous Transfer Mode, 非同期転送モード)
・IP over 1394
・NWLink IPX/SPX/NetBIOS 互換トランスポートプロトコル
・PPP接続における、SPAP、EAP-MD5-CHAP、MS-CHAPv1認証プロトコル

SPAP : Shiva Password Authentication Protocol
EAP : Extensible Authentication Protocol
MD5 : Message Digest Algorithm 5
CHAP : Challenge Handshake Authentication Protocol

POPサーバ

Windows 2000 ServerではIISのサブコンポーネントとしてSMTPサーバ機能を備えていたが、さらにWindows Server 2003でPOPサーバ機能が加わったため、Exchange Serverを用意しなくてもメールサーバを運用できるようになった。

ところがWindows Server 2008ではこれが逆戻りして、依然としてSMTPサーバ機能を残している一方で、POPサーバ機能がなくなっている。もちろん、サードパーティー製のPOPサーバ、あるいはExchange Serverを導入すれば、メールサーバの運用は可能だ。