【連載】

セカイ系ウェブツール考

61 いまこそ「オンラインファイル管理」と真剣に向き合うべし!

    中津川篤司  [2009/02/25]

    今週のテーマは「オンラインファイル管理」

    日本でも便利に使われている「Dropbox」。WindowsのエクスプローラやMac OS XのFinderと密接に連携し、起動しておけばファイルを所定フォルダに放り込んでおくだけで自動的にサーバへアップロードしてくれる。それだけでWindowsやMac OS Xなどと同期され、iPhoneからもデータを閲覧できるなど、データの授受が手軽に行なえるようになる。

    そのほかにも今、オンラインのストレージサービスが多数立ち上がっている。従来のWindowsファイル共有(SMB)とは異なる便利さがそこには存在する。もちろん個人であれば使いやすいが、企業内ではセキュリティ上利用できないこともあるだろう。その場合は独自にサービスを立ち上げるという手法もある。

    今回はそんな「オンラインファイル管理システム」をテーマにWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)をご紹介したい。複数台のコンピュータでの情報共有や遠隔地とのコラボレート、さらに自宅とオフィスでのファイルのやり取りなど様々な場面で役に立つはずだ。

    今回紹介するOSS・Webアプリ
    ZumoDrive』 Dropboxライクなオンラインストレージ
    Zoho Share』 オンラインでドキュメント閲覧、共有
    Boxroom』 Ruby on Rails製のオンラインファイル管理
    Mollify』 GWTを用いたAjaxファイルマネージャ



    Dropboxライクなオンラインストレージ

    名称 ZumoDrive
    URL http://www.zumodrive.com/

    ZumoDrive』はDropboxに似たWebサービスで、WindowsやMac OS X向けに専用のクライアントアプリケーションを配布している。それをインストールした状態で指定したフォルダ(Windows環境では「マイコンピュータ」内に専用ドライブが作成される)にファイルを置いたり、編集したりすると、自動的にファイルがZumoDrive(オンライン)上にアップロードされる。他のコンピュータからファイルを閲覧することも可能で、無料で1GBまでのストレージを利用できるようになっている(それ以上は有料)。

    設定画面。キャッシュサイズなどを設定できる。なお、ZumoDriveを利用する際は、クライアントアプリをダウンロード後、インストールし、サインアップ手続きを実行。最後にサインインすればよい

    特徴としてキャッシュを上手に利用している点が挙げられる。ファイルは表示されていても実体はZumoDrive上に存在し、ファイルを実際に利用する段階になってからデータをダウンロードするようになっている(キャッシュサイズは変更可能)。HDDの空き領域が気になるユーザーや、Dropboxのように全データを同期することに抵抗を感じるユーザーにはとくに有効な仕様だ。もちろんキャッシュを使っているので、ダウンロード済みのファイルであれば素早くアクセスすることができる。

    音楽/ ドキュメント/ 写真などファイルの種類によってキャッシュを自動生成するかどうかなどは変更可能。ZumoDrive上の音楽ファイルをiTunesにインポートする機能も用意されている。

    Web版のインタフェース。Flashを使ってエクスプローラライクにファイルを管理できる

    Dropboxとは異なり、ネイティブなiPhoneアプリケーション「Supersize Me - ZumoDrive」が提供されており、ログイン処理を行なえばオンラインのデータを閲覧したり、音楽データを再生したりすることもできる。複数のコンピュータでデータ共有や、出先でのファイルチェックに便利なWebサービスだ。




    オンラインでドキュメント閲覧、共有

    名称 Zoho Share
    URL https://share.zoho.com/

    社内などでもっとも利用されるドキュメントはやはりオフィス系の文書になるだろう。PDFやプレゼンテーション、表計算ファイルなどだ。そうしたドキュメントをアップロードし、共有できるサービスが『Zoho Share』。Zoho Shareでは自分の持っているオフィス文書ファイルをアップロードし、他のユーザと共有することができる。

    Zoho Shareのトップページ。現在はアップロードしたファイルは常に公開になる

    アップロードされたドキュメントは各種Webサービス向けにブックマークしたり、埋め込み用のタグを使ってブログやWebサイトに貼り付けることが可能。アップロード対象のファイル形式はDOC/ PDT/ ODS/ PDF/ PPT/ XLSなどになっている。なお、ファイルのアップロードは10MBまでとなっているので、多少大きめのプレゼンテーションではアップロードできないかもしれない。

    ドキュメントビュー。コメントや共有、Webサイトへの埋め込みなどが可能

    現状では他のユーザは閲覧のみとなっているが、Zohoではドキュメントや表計算、プレゼンテーションツールがすでに提供されているので、これらのWebアプリケーションと連動するようになるのは間違いないだろう。そうなればZoho Shareを中心にしたオンラインオフィス環境ができあがっていくはずだ。




    Ruby on Rails製のオンラインファイル管理

    名称 Boxroom
    URL http://boxroom.rubyforge.org/

    Boxroom』はRuby on Railsで開発されているWebベースのファイル管理システム。とくにファイル形式に限定されることなく利用できる。フォルダごとにパーミッションを設定でき、グループ単位での読み書き/ 更新/ 削除の権限を付与可能。ファイルの更新状況はRSSフィードで確認できるようになっている。

    Railsベースのシンプルなファイル管理ソフトウェア

    Ruby on Railsベースなので、柔軟にカスタマイズできるだろう。場合によってはWebDAV機能や一括アップロード機能をつけることも考えられる。インターネット上にサーバを立て、Webサイトと連動したファイル管理サービスとして構築するのもよさそうだ。

    フォルダごとにCRUD権限をつけられる

    機能はまだそれほど多くないため、現在のファイルサーバと入れ替えるというのは難しいと思うが、ピンポイントで使える場面はありそうなソフトウェアだ。




    GWTを用いたAjaxファイルマネージャ

    名称 Mollify
    URL http://www.jaervelae.com/mollify/

    Webベースのアプリケーションは、ローカルアプリケーションとのインタフェースデザインの差(通常ローカルアプリケーションのほうがリッチ)を指摘されやすい。実際、機能的には劣らなくともインタフェースの差でユーザの人気を得られるかどうかが変わってくる。

    Mollify』はPHPで作られたWebアプリケーションだが、GWT(Google Web Toolkit)を用いることで、まるでローカルアプリケーションのようなインタフェースを実現。さらにAjaxを組み合わせることで画面遷移のないスムーズな操作ができるようになっている。

    GWTベースでリッチなインタフェースを実現

    データベースは不要で、ファイルのアップロードやダウンロードができる。Mollify上でファイルの閲覧はできないようになっているほか、設定ファイルを通じてユーザの設定やアクセス権限の変更が行なえるようになっている。

    操作性の良さや、データベース不要という手軽さが便利だ。このインタフェースがあればユーザも受け入れてくれるかもしれない。

    ファイルをダウンロードしたり、削除やリネームすることが可能

    いかがでしたか?

    オンラインのファイル管理では常にセキュリティの問題が議論されることになる。この点においてはインターネット上にファイルを置く以上、リスクがないわけではない。しかし、ファイルの種類によっては決して外部には預けられないものもあるだろうが、すべてがその類とは限らないだろう。リスク管理ができるファイルであれば外部に置き、そのファイルを必要とする人たちと共有できるようにした途端に、様々な可能性が見えてくるはずだ。

    最近では外部の人的ネットワークを使って仕事をすることも少なくない。そうした人たちとのデータのやり取りに常にメールを使っているようでは効率が悪すぎる。その時こそファイルの共有や公開が可能なサービスを積極的に使っていくべきではないだろうか。

    今回紹介したWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェアはネットワーク自体のいまこそトライすべきソフトウェアだ。

    著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

    1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。
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