【連載】

セカイ系ウェブツール考

15 溢れる情報の共有と整理には「Wiki」がイチバン!

    中津川篤司  [2008/03/26]

    今回のテーマは「Wiki」

    世界中にはさまざまなWikiエンジンが存在している。恐らく最も有名なものはWikipediaを構築する「MediaWiki」だろう。日本では「Yukiwiki」や「Pukiwiki」などが有名どころだ。Wikiは誰でもその場ですぐに修正できる、素早いパブリッシングシステムであることが特徴で、WikiWikiWebがそのオリジナルだ。そして、その面白いコンセプトはさまざまなプログラム言語でWikiエンジンとして実現されている。

    オフィスでも部署の情報共有やプロジェクト情報の蓄積、グループウェア代わりに利用されていることもよくある。今回はそんな「Wiki」に注目してお届けしたい。最初のWikiWikiWebができたのが1994年ということなので、以来10年以上も経過するのだが、決して色あせることがないWikiの魅力はとても偉大だ。

    今回紹介するOSS・Webアプリ
    Wik.is』 Deki Wikiのホスティングサービス
    TiddlySpot』 見出し
    DokuWiki on a Stick』 ポータブルなDokuWiki
    WikklyText』 Webサーバ内蔵のPython製Wikiエンジン



    自分だけのDeki Wikiを使う

    名称 Wik.is
    URL http://wik.is/

    筆者が運営している「MOONGIFT」ではこれまで多数のWikiエンジンを紹介してきた。その中にあって、これ以上はないと思えるほど素晴らしかったWikiエンジンが「Deki Wiki」だ。汎用的なWikiエンジンで、機能、使い勝手がとてもよい。Deki Wiki自体がオープンソース・ソフトウェア(MediaWikiのソースを利用している)で提供されている点も魅力だ。

    「Wik.is」のトップページ。サブドメインをとればすぐに利用できる

    だが、インストールが多少面倒なのが難点だった。とくにMono(.NETのオープンソース実装)を利用しているところがあって、共有のホスティングサービスでは利用できない。また、技術的に難度が高めだ。そうした障壁のためにこの魅力的なWikiエンジンが試せなかった……という方にオススメしたいのがこの『Wik.is』だ。

    取得した「Wik.is」のWikiページ。ツールバーまたはアイコンから操作する

    Wik.isはDeki Wikiの開発元であるMindTouchが提供しているサービスで、Deki WikiをASPで提供している。サブドメインさえ決めればすぐに試すことが可能だ。

    WYSIWYGなページエディタ、多機能なコントロールパネル、FlickrやYahoo!、Googleを使ったマッシュアップ、GUIを使ったファイルアップロードなど魅力的な機能がたくさん揃っている。Deki Wikiのインストールが面倒に感じていた人はこちらを使ってみることをオススメしたい。

    編集中の画面。WYSIWYGなエディタでビジュアル的に編集できる




    TiddlyWikiを保存する

    名称 TiddlySpot
    URL http://tiddlyspot.com/

    「TiddlyWiki」はHTML+JavaScriptで作られたWikiエンジンで、ローカルでも動作させられるのが魅力だ。表示のエフェクトもわかりやすく、画面遷移がなく使えるので愛用している方も多いのではないだろうか。

    ただ、ローカルで使える点が便利な半面、ローカル上にあるファイルの書き換え時にアラートが表示されあり、拠点間でTiddlyWikiを共有したりするとなると面倒になってしまう。元の木阿弥な気もするが、TiddlyWikiをWebアプリケーションとして提供してくれるのが『TiddlySpot』だ。

    「TidlySpot」のトップページ。簡単なユーザ登録だけで利用可能

    TiddlySpotはTiddlyWikiの使い勝手はそのままに、オンライン上でデータが保存できるようになっている。ボタンひとつでデータが保持されるのが便利だ。また、全体公開にするか否かといった設定や、ダウンロードしてオフラインモードとして利用するといったこともできる。

    「TiddlyWiki」の画面。通常のTiddlyWikiと同様の操作ができる

    オフラインで利用できる手軽さがウケたTiddlyWikiではあるが、場合によってはオンラインのほうがよいこともあるだろう。その点、TiddlySpotを使えば使い分けができて便利だ。

    設定画面。デフォルトは公開だが、非公開設定にもできる




    DokuWikiを持ち歩く

    名称 DokuWiki on a Stick
    URL http://www.splitbrain.org/blog/2007-12/01-dokuwiki_on_a_stick

    Wikiは大抵、Webブラウザベースで動作する。そのため、サーバ側の環境設定が必要だ。たとえば、Apacheとスクリプト言語といった具合だ。そしてWikiエンジンのソースを配置して動くようにしなければならない。だが、このステップは非常に煩わしい。

    『DokuWiki on a Stick』はまさにそうした面倒さから解放されるソフトウェアだ。ポータブルでの持ち歩きを前提としているだけあって、ダウンロードしてmapache.exeを起動するだけですぐにDokuWikiを使い始められる。

    ファイルの一覧。フォルダはトップディレクトリになくともよい

    DokuWikiは、前述のDeki Wikiほど高機能というわけではないかもしれないが、PHPのみで作られており、機能も十分で便利なWikiエンジンだ。データベースを必要としない点も魅力といえるだろう。DokuWiki on a Stickであれば、ローカル環境はもちろん、部署内のサーバなど少人数で情報共有をしたいときに手軽に始められて便利だ。

    ブラウザで表示した画面。DokuWikiがすぐに楽しめる




    Webサーバ内蔵のWikiエンジン

    名称 WikklyText
    URL http://wikklytext.com/wiki/

    ローカルでWebサーバを立てるのが面倒、という人がいるかもしれない。そうした人は『WikklyText』を使ってみるとよいだろう。このWikiエンジンはPython製だが、Webサーバを内蔵した実行ファイルが提供されている。

    「WikklyText」の画面。内容に日本語を利用することは可能

    これを使えば立ち上げるだけでWebサーバも一緒に実行される。保存形式はテキストファイルやSQLiteが指定できるようになっている。起動したらhttp://localhost:8000にアクセスすれば利用することが可能だ。

    コマンドプロンプトで起動するほか、初回の起動時には設定も行う

    決して多機能ではないが、記法が多数用意されており、簡易的にメモとして使うなら十分と思われる。なお、日本語文章は大丈夫だが、日本語をタイトルにしたページを作成すると問題が発生するのでご注意いただきたい。

    いかがでしたか?

    ひとくちにWikiエンジンと言ってもその機能はさまざまだ。クライアントもWebだけでなく、GUIで動作するものもある。社内での利用であればオープンソースなどの独自で立てられるものがよいだろうが、個人で使うのであればWebサービスとして提供されるもののほうが手軽でよい。

    情報を蓄積していると、後々に役立つことはたくさんある。とくに何人かで情報共有をしようと思った場合はWikiエンジンが便利だ。ぜひ自分に合ったWikiエンジンを見つけて使ってみてほしい。

    著者プロフィール
    MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
    1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。
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