JRグループの旅客6社はこのほど、「青春18きっぷ」の冬季用と春季用の販売を発表した。1日2,300円で乗り放題が5回分というおトクなきっぷだ。快速・普通列車限定とはいえ、日本中のJR線に好きなだけ乗れる。では、実際に青春18きっぷを使い、快速・普通列車に乗り続けたら、いったいどこまで行けるのだろう? 東京出発と大阪出発の場合を調べてみた。
東京から山口県、秋田県、福井県まで行ける!
東京駅から西へ向かう場合は、東海道本線と山陽本線を乗り継いでいくと、山口県の厚狭駅まで行けた。東京駅の発車時刻は5時20分。厚狭駅の到着時刻は0時1分。日付が変わってしまうけれど、「青春18きっぷ」は0時を過ぎた最初の駅まで有効だからOK。
東京から北へ向かってみよう。上野駅5時10分発の東北本線(宇都宮線)の電車で出発すると、仙台駅に12時16分着。さらに乗り継いで、北上駅から北上線に入り、横手駅から奥羽本線で秋田駅に19時0分着。当日ギリギリまで乗ろうと思えば、21時59分着の大館駅がゴールとなる。田沢湖線経由だと少し手前の東能代駅まで。北上線経由のほうが遠くまで行ける。
盛岡経由でまっすぐ青森へ行きたいところだけど、盛岡駅から先はIGRいわて銀河鉄道で、「青春18きっぷ」を使えない。青い森鉄道も八戸・野辺地・青森以外の駅を通過する場合に限り、八戸~青森間で利用できるのみ。
ちなみに、別途料金を支払ってIGRいわて銀河鉄道に乗り、青い森鉄道を経由すると、津軽線の蟹田駅まで行ける。もう少しで北海道というところで、惜しい。「青春18きっぷ」は蟹田駅から木古内駅までなら特急に乗れる特例があるけれど、もうこの時間帯は走っていない。青森~札幌間の急行「はまなす」も蟹田駅に停車しない。残念。
東京から日本海側をめざしたらどうか。中央本線で松本駅へ、さらに大糸線で糸魚川駅に出て、北陸本線を西へと進むと、福井県の小浜駅まで行ける。到着時刻は22時12分だ。高崎線と上越線を行き、新潟駅から北へ向かうと、秋田駅を経由して東能代駅まで行ける。到着時刻は22時15分だ。もうちょっと乗りたいけれど、これが終列車。
大阪からは熊本県、大分県、宮城県へ
では、大阪駅を始発列車で出発した場合はどうか? 西へ向かうと九州に上陸できる。小倉駅からは鹿児島本線と日豊本線の選択だ。鹿児島本線の場合は熊本駅を過ぎて八代駅に21時33分着。その先は肥薩おれんじ鉄道となり、「青春18きっぷ」は使えない。肥薩線も終列車が出てしまった後だ。日豊本線の場合は大分駅を通って佐伯駅に21時10分着となった。残念ながらここから先の列車は翌朝までない。
大阪駅から東京方面を経由すると、仙台駅へ行ける。東海道本線と東北本線を経由して乗り継いでいくと、仙台駅の少し先、鹿島台駅が0時を過ぎた最初の駅。到着時刻は0時5分となる。
定番テク「ムーンライト」を使うとどうなる?
東京から出発する場合は、臨時の夜行快速列車「ムーンライトながら」「ムーンライトえちご」でスタートする方法もある。あらかじめ、「0時を過ぎた最初の駅までのきっぷ」を買っておき、0時を過ぎて最初に停車する駅から「青春18きっぷ」を使う。定番テクニックのひとつだ。
東京駅から「ムーンライトながら」に乗ると、0時を過ぎて最初に停まる駅は小田原駅。ここまで乗車券を買っておき、小田原から青春18きっぷを使う。終点の大垣駅まで乗り、さらに西へ進むと、九州に上陸できる。鹿児島本線なら八代駅まで。日豊本線なら大分駅を過ぎて、津久見駅が0時を超えた最初の駅となる。24時間、「青春18きっぷ」をフルに使った旅となる。
新宿駅出発の「ムーンライトえちご」は、高崎駅が0時を過ぎて最初に停まる駅。新潟駅には4時51分着で、すぐに白新線、羽越本線方面の普通列車に接続する。乗り継いでいくと、なんと津軽海峡を越えて、「いかめし」で有名な函館本線の森駅に0時5分着だ。「青春18きっぷ」で東京から北海道に行くなら、新潟経由がより遠くへ行けるといえそうだ。
「青春18きっぷ」5回分で日本縦断できる!?
快速・普通列車だけでも、1日で行ける距離は意外と長い。それなら、「青春18きっぷ」を5回分すべて使えば、九州から北海道まで縦断できそうだ。そこで、JR最南端の西大山駅を始発列車で出発して、JR最北端の稚内駅をめざしてみたところ、4日目で札幌を超えて滝川に到達。5日目の夕方に稚内に到着することが明らかに。
これで鹿児島中央~札幌間も、快速・普通列車で5日間で行けるとわかった。まとまった休みができたらチャレンジしてみたい。青春18きっぷは夢がいっぱいだ!
(※「ムーンライトながら」「ムーンライトえちご」以外の列車の時刻は「JTB時刻表2013年12月号」の平日運行列車を参考にしています)