東京メトロ有楽町線豊洲駅の現在のホームはかなり広い。このホーム、かつては2つのホームだった。中央には線路2本分のスペースがあったけれど、使われないままふさがれてしまった。しかし、ここを起点に新しい路線を作る動きがある。江東区が第3セクターを設立し、半蔵門線住吉駅までの新路線を建設しようとしている。

豊洲駅では出入口増設など改良が進められている(写真はイメージ)

豊洲駅にあった幻の線路は、営団地下鉄(当時)有楽町線の支線を建設するために準備されていた。この支線は豊洲駅と半蔵門線住吉駅を結ぶ計画だった。

江東区が構想する新路線(赤い線)

だが、政府が公共事業の民営化を推進し、帝都高速度交通営団は東京地下鉄(東京メトロ)へと変わった。同社は費用対効果を重視し、独自の新規路線建設に対して慎重になっていく。そして副都心線開業以降の新線建設はしない方針を決定した。

有楽町線支線の誘致活動を実施していた江東区は、東京メトロの方針に落胆するものの、独自に豊洲駅から東陽町駅を経由して住吉駅に至る路線を整備する方針を固めた。

その後、具体的な調査を実施。今年7月には調査概要も発表されている。線路施設は江東区を中心に設立した第3セクターが建設・保有し、列車の運行は東京メトロが実施するという素案もまとまったようだ。この区間は70円の加算運賃が設定されるものの、他の鉄道路線で遠回りするより早く着き、結果的に運賃も安くなるという。

江東区の構想によると、新路線はかつての有楽町線支線計画を踏襲するようだ。新駅は豊洲駅と東陽町駅との間、東陽町駅と住吉駅との間に1つずつ設置する。

新路線については江東区のほかに墨田区、葛飾区、千葉県松戸市とも連携して動いており、順調に進めば錦糸町、押上、四ツ木を経て亀有または松戸方面へ延伸する構想だという。実現すれば、東京23区の東側において、南北方向の交通が便利になりそうである。