数年で爆発的に広まったSNS

SNS(ソーシャル ネットワーキング サービス)の社内版である社内SNSが流行している。多くの企業が導入し、次々と実例として報道されているが、まだ使い方が定まっているわけではない。企業によっては新しい使い方を試みて成功しているところも多いと聞く。

ところで、社内SNSの元となる"SNS"とはどんなものなのだろうか。SNSとは、会員制のネットサービスで、友人や趣味、情報などを通じて会員同士が交流を図るネット上の社交場と言われている。友人とつながる仕組み(リンク)を持ち、日記などのコンテンツを公開したり、公開範囲を制限したりすることができる。

SNSの起源は、2002年に米国で始まったFriendsterだと言われている。トップページに友人のリンクが張られるだけのシンプルなものだったが、たった3カ月でユーザー数は100万人に上った。その後、2003年ごろからGoogleの社員が作ったOrkutなどが誕生し、SNSは世界中で爆発的に広まっていった。現在、米国では、1億人以上が利用しているというMySpaceやFacebookなどのほか、写真共有SNSのFlickrや、動画共有SNSであるYouTubeなどの特定の機能に特化したコンテンツ系SNSや、目的特化型のビジネスSNSLinkedInなどが出てきている。そのほかにも、韓国のCyworldなど、世界中からSNSは誕生し続けている。

一方日本では、2003年12月にSFC Incubation Village(SIV)にてビートコミュニケーションによる期間限定のマッチング実験「SIV Connect」が始まった。2004年2月21日には、当時楽天の社員だった田中良和氏によりGREEが、3月3日にはイー・マーキュリー (現・ミクシィ)によりmixiが開始された。当初はGREEが会員数などで先行していたが、2004年秋ごろよりmixiがそれを上回るようになり、現在会員数は1,100万人にまで増えている。2006年9月には、mixiを運営する会社であるミクシィが上場を果たした。その後も、コンテンツ系SNSや目的特化型SNSなど多くのSNSが誕生し続けている。一方、2006年2月に始まったDeNAが運営する携帯SNSモバゲータウンは、10代20代の若者を中心に順調に会員数を伸ばし、新たな潮流を生み出している。

総務省の発表によると、2006年3月末現在の日本でのSNS利用者数は、716万人に達している。これは前年度(2005年3月末)の111万人の約6.5倍の数字で、その後も順調にユーザー数は増え続けており、2007年10月の時点でSNS利用者数は1000万人を大きく超えている。

日本における社内SNSの導入効果

これらの動きと合わせて、国内において、会社の中に導入する社内SNSというものが登場してきた。SNSの、人とつながり情報を共有するという特徴が、ビジネスに活用できるらしいということが分かってきたのである。2004年頃より大手企業各社において、社内でのコミュニケーションの活性化や内定者囲い込み、情報の地域間格差を解消するために導入されている。最近では、SOX法対策としても注目を浴びている。

それに合わせて、社内SNSをソリューションとして企業に提供する会社も増えてきている。大手からベンチャーまで多くの企業が参加しており、代表的な企業に、ビートコミュニケーション(ビートオフィス)、手嶋屋(OpenPNE)などのほか、社内ブログという形で提供するドリコム(ブログオフィス)、サイボウズ(サイボウズブログ)などがある。

では、なぜ今"社内SNS"が流行っているのだろうか。それは、日本企業がこれまで抱えてきた問題を解消する新しい"経営ツール"として期待されているからだ。ビートコミュニケーションの調査によると、社内SNSを500人以上で利用しているという企業は全体の65%以上であり、そのうち42%では1,000人以上が利用しているという。そのような大企業においては、人数や距離の問題などによりコミュニケーションが希薄になり、ナレッジマネジメントや、違う部署間でのやりとりなどに多く支障が出ていた。また、社内SNSは、内定者囲い込みなどの特定のケースにおいても機能を果たすことが注目され、新たな使い方が模索されているところである。

同社アンケートによると、導入後の効果としては、「知識や情報の共有に役立った」や「社内のコミュニケーションが活性化した」を挙げる企業が約90%に達している。ほかにも「風通しが良くなった」(約70%以上)、「情報の地域間格差がなくなった」(約40%以上)、「SOX法対策になった」(30%以上)、「業務の効率化が進んだ」「時間が短縮されることになった」「人間関係の再構築に役立った」(10%以上)などが挙げられた。では、そのような効果を上げるためのノウハウとはどういうものなのか。また、社内SNSの新たな活用法としてはどんなものがあるのか。

そこで、次回から社内SNSの今をテーマに、社内SNSを導入した企業に、具体的な使い方や成功事例をインタビューし、成功する秘訣と、新たな活用の可能性を探ってみたい。今後導入することを検討中の会社や興味を持たれている会社には参考となる内容が多いはずなので、続けて読んでいただければ幸いだ。

ビートコミュニケーションの「Beat Office」は大企業を中心に多くの導入実績をもつ社内SNSパッケージ。Q&A機能や動画配信機能も備えている

ログイン直後の画面はmixiなど一般のSNSとそれほど雰囲気は変わらない

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