ITコストを抑制しつつ、より質の高いサーバリソースを調達する手段として、今「リユースサーバ」が注目されている。環境問題における3R(リデュース/リユース/リサイクル)で耳にしたことはあっても、ITではあまり聞き慣れないリユースとはどのようなものなのかを紹介しよう。

中古品とはどう違うのか?

リユースとは、「使えるものは何回も繰り返して使う」ことを指す。IT関係でもこれまで中古品はよく利用されており、一定の市場が存在する。しかし、中古品には保証が無いこともあり、その場合、故障したときは自力で故障したパーツを交換するか、丸ごと買い替えざるを得なかった。この問題を解決するのが、リユースだ。

リユースサーバでは検品や品質チェックを実施し、問題のある部品は交換した上で出荷する。また一定の保証期間を設けており、もしもの際には部品単位や製品単位での交換にも応じており、無保証が原則の中古品とはこの点が大きく異なる。

サーバなどIT製品のリユースにいち早く着目し、積極的に事業を展開しているのがデータライブだ。同社は、創業当初から携わってきたシステム開発を通じて蓄積した技術やノウハウを活かして、質の高いリユースサーバのサービスを提供している。この連載では、データライブを例にリユースサーバの現状を紹介しよう。

リユースサーバのメリット

新品ではなくリユースサーバを使用する最大のメリットは、コスト抑制にある。性能がほぼ同等の1Uサーバを例に取ると、リユース品は新品に対して20~25%にまでコストを削減できるという。

サーバ/ネットワーク機器における新品とリユースの価格差

コストを大幅に抑制できるため、新品ではコスト的に難しかった用途にも導入が容易になる。例えば開発環境において、納品用の本番環境と同等の構成をより低コストで構築でき、開発費の低減が可能になる。新品であれば本番用と開発用くらいしか調達できない場合でも、リユースサーバを用いることで開発の各段階にテスト機を用意できる。

これまでコスト的に難しかった検証用環境も構築できる

レガシーシステムの延命にも、リユースサーバは有効だ。最新の機種では、Windows NTなどの古いOSやその上で稼働するシステムを動作させるためにはカスタマイズが必要になる場合があり、そのためのコストがかさんでしまう。リユースサーバであれば、古いOSの動作が検証済みサーバを、低コストで調達できるのだ。

新品のサーバでは動作しないレガシーアプリを稼働させるのにも有効

この他、サーバ増設による冗長構成や負荷分散の実現、新規事業の開始などに伴うシステムの低予算での構築、イベント時の一時的なサーバ設置、クラウドコンピューティングなど、これまではコスト面から新品サーバの導入が困難だった用途でも、リユースサーバであれば実現可能となるのだ。

受け入れから販売までのプロセス

ではリユースサーバは、どのようなプロセスで販売されるのか。データライブのサービスをもとに見てみよう。

まずサーバは中古として製品を受け入れる。この際、製品の外観および各パーツの損傷状況を確認し、標準構成に分解した上で、磁気や湿気、ホコリの影響を受けないよう厳重に保管する。

続いて、正常に動作するかを最新の動作環境で確認し、問題があるパーツは交換する。あわせて、HDD内のデータを消去し、製品および各パーツをクリーニングする。そして、OS/ドライバ/ソフトをインストールして動作をチェックし、OSのアップデートや診断テストを実施する。

出荷前にはそれまで実施した作業を全て再確認し、付属品を確認する。起動チェックや最新動作環境での正常動作と起動を改めて確認し、ネットワークへの接続テストも実施するという。

受け入れから販売まで流れ

このようなプロセスを経ることにより、中古品が信頼性の高いリユースサーバとして生まれ変わるのだ。

また、出荷にあたってはオリジナルのスペックに留まらず、プロセッサやメモリ、HDDの容量のカスタマイズにも対応する。有償サービスになるが、アプリケーションのインストールやミドルウェアのバージョン変更なども可能だ。

サポート体制

中古品とリユースサーバの最大の違いは、サポートの体制にある。データライブの場合は1週間の無料返品保証期間に加えて、サーバなどの製品については1カ月間、パーツでは2週間、初期不良や物理的な故障に対する無料修理を受け付けている。さらにオプションのサポートメニューにより、オンサイト保守を含むサービス体制を充実させている。

なお、サポートについては、次回で詳しく取り上げる予定だ。

豊富な在庫

データライブでは、各メーカーのさまざまなサーバを豊富な品揃え在庫として保有している。また、メーカーで生産中止になった製品の調達サービス「システム延命プロジェクト」も行っている。これは、国内外のパートナーの協力により、可能となっている。

新品のサーバでは通常、納品まで数週間を要する場合もあるが、同社のサービスでは原則として受注から3営業日以内に出荷しており、最短では受注した翌日の納品にも対応するという。また、特別に急ぐ場合は、同社の作業ヤードにおける現金払いでの引き渡しも可能だ。

またサーバの他、PCやネットワーク機器などのリユース品も多数取りそろえており、例えば人気のノートPCやワークステーション、液晶モニタなどの周辺機器、新品ではコスト的に購入が難しい有名メーカーのスイッチなどを、格安で購入できるのだ。これらはいずれも、同社Webサイトからの注文も可能であり、口座振り込みの他にクレジットカード払いも利用できる。

次回は、リユースサーバの利用にあたって最も気になる品質面やサポート体制について、さらに掘り下げて紹介する予定だ。