IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の人気が高まり、インターネットに接続されるデバイスがますます増えるにつれて、さらなる作業負荷を支えるために新たなデータセンター(DC)が急ピッチで建設されています。同時に、確かなアプリケーション配信とアップタイムを維持するため、電力消費を効率的に管理することが依然としてデータセンター事業者にとって主要な課題となっています。ここでは、DC業界において事業者とユーザーに影響を与えている2017年の3つのトレンドをご紹介します。

1. 高密度データセンターの台頭

電力に関して、最も注目に値する最近のトレンドの1つは、高密度DC建設へのシフトです。これらの施設では、ラックあたりの電力キャパシティが約4-5 kWであったこれまでのDCと比較して、わずか半分のスペースで同数の機器をサポートできます。

2020年までに米国のDCは、ニューヨーク市全体の6倍の電力を必要とすると予想される時代において、これは受け入れる価値のあるトレンドです。高密度DCは運用効率を向上させるだけでなく、設備投資と運用コストの削減にも有効であることが証明されています。

エンドユーザーがラック内で、より高い電力に対応できる弾力性と汎用性を備えたパワーチェーンを必要とすることは事実ですが、アウトレットレベルでの電力測定を実現することが、これらのアイディアをうまく実装するために必要不可欠な第一のステップとして有効となり得ます。

2. エッジデータセンター

エッジDCは、すべてのデータを必ずしも同じ場所で処理する必要はないという考え方に基づいて構築されています。特定のデータをエンドユーザーやアプリケーションに、より近いところで処理することで、新しいレベルのスピード、効率性、データ品質の確保を同時に実現します。これは高度に分散化したコンピューティング環境と同様の状況を作り出します。各サイトは、おおむね自律していますが、プライマリDCとの接続性は維持されています。

したがって、最高のハードウェアを選択することに焦点を当てるのではなく、最小のコストで最良の情報を作り出すために、状況を考慮して情報を処理する最善の方法に重点を置きます。

エッジDCがエンドユーザーにもたらす最大のメリットはおそらく、バックボーントランスポートの短縮による回線容量コストの低減でしょう。もはや、1つの普遍的なルールは存在せず、管理者が個々の状況ごとにニーズを評価し、そこから措置を講じることで、リモートサイトやブランチオフィスのストレージやバックアップなどの状況も簡素化されます。

3. スマートテクノロジーとIoT

最後に、2017年に注目すべきDCのもう1つのトレンドは、ここ数年で人気が高まっているスマートテクノロジーです。ますます多くのDCがIoTによって可能となる「スマート」なテクノロジーを取り込むことで、その構成要素や環境測定値をリアルタイムで正確に把握できるようになります。

「スマート」な環境センサは、温度、湿度、消費電力量といった値を測定します。ネットワーク機器の監視により、問題が大きく、緊急を要する前に関係者にアラートを通知することで、高いレベルのアップタイムに貢献できます。これらはすべて、設備投資と運用コストの削減につながっていくことになります。

そのために、IoTはそれ自体が自己成就的予言となるでしょう。IoT、そして同様のテクノロジーは要求を満たすようにDCを進化させるため、DCをシンプルな方向に変化させることに貢献するでしょう。一方で、IoTはチャレンジにもチャンスにもなります。今後もIoTの動向から目が離せません。

Raritan Blog

米国ラリタン本社が運営しているブログ。データセンターに関わる最新動向や分析情報などをお伝えしています。