ビジネスにスピードがますます求められている。個々の社員の業務効率化や、それによる企業全体の収益力向上を実現するために、昨今叫ばれているキーワードが「モバイルワーク」や「テレワーク」だ。ただし、モバイルワークやテレワークを社内に根付かせ、真の効果を発揮するためには、導入するセキュリティ対策やソリューションの特性など、必ず抑えるべきポイントがある。

そこで本連載では、「モバイルワーク&テレワーク」の効果や注意点とともに、「VDI」、「ディスク暗号化」、「データレスPC」という3つの主要ソリューションのメリット、デメリットについて、「エンドユーザー」、「情報システム部門」、「経営層」のそれぞれの立場から3回にわたってお届けする。第三回は、経営層についてだ。

企業の競争力向上に欠かせないモバイルワーク&テレワーク

モバイルワーク&テレワークの導入で恩恵を受けるのは、現場で働く社員だけではない。むしろ経営者にこそ最大のメリットがもたらされると言っても過言ではない。なぜならば、正しくモバイルワーク&テレワークを実践することにより、会社に競争優位をもたらし、結果として持続的な成長へとつながるからである。

その理由はいくつかあるが、まず挙げられるのがビジネスのスピードが大幅に向上することだ。テクノロジーの進展によりビジネスの変化は速度を増す一方にあり、それとともに競争も激化しつつある。そうしたビジネス環境にあって競合他社との競争に勝ち抜き続けるためには、いかに最新のITを駆使してスピード感あるビジネスを展開できるか否かがカギを握ることになる。

生産性が向上すれば、自ずと企業の競争力も高まっていく

そのために欠かせないのが、モバイルワークだ。たとえば営業マンの働き方を想像するとわかりやすいだろう。営業マンは言うまでもなく顧客との接点となる“会社の顔”だ。日中は常に社外を飛び回っている彼らだけに、顧客からメールで問い合わせがあると、少し前までは夕方帰社した後に社内で返事を送るのが普通だった。

それがSNSやネット通販等の普及により速やかなレスポンスが可能になった今では、顧客側もすぐに返事が来るのを当たり前と考えるようになってきているのだ。たとえば、競合他社の営業マンは同じようなシチュエーションですぐに返信をしていたとすれば、その返事が遅れるだけでビジネスチャンスを逸するリスクが生じてしまうことになる。

しかしモバイルワークを導入していれば、営業マンは出先のカフェや電車内などで資料を参考にしつつ、その場で顧客に返信メールを送ることができるわけだ。

また、テレワークの導入は、昨今注目されているワークライフバランスの実現にも大きく貢献する。政府も2020年までの目標として、「テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」といった目標を掲げており、国家的な取り組みの様相を呈している。少子高齢化がますます進むなか、子育てや介護を抱えた社員も無理なく働くことができるテレワークを導入している企業は、社内外の人々にとっても魅力的に感じられることだろう。

実際、テレワークを導入したことで、離職率を大幅に低下させた企業や、新入社員の応募が一気に増えた企業の事例も既にある。つまりテレワークによって働きやすい環境を整えることは、優秀な人材を集め、そうした人材がずっと自社で働いてくれることにつながるのである。人材難に苦しむ多くの経営者にとって、このことがいかに強みとなるかはおわかりいただけることだろう。

企業の存続にも関わる情報漏えい

情報漏えいや情報消失は企業にとって最重要課題と言える

このように、企業の成長の切り札ともなり得るモバイルワーク&テレワークだが、前回、前々回にも述べた通りそこには甚大なリスクも潜んでいる。もしも社員が社外でモバイル端末を紛失してしまったとしたら、情報漏えいが生じる恐れがあるからだ。顧客情報や取引先情報、機密情報などが一度漏えいしてしまえば、被るダメージは金銭だけでは補えない。社会的な信用失墜というコストでは計ることのできない深刻な事態を招いてしまうのだ。一度失墜した信用は取り戻すのが難しく、場合によっては企業の存続すら危ぶまれる状況にも陥りかねない。

主要なモバイルワーク&テレワークソリューションのメリットとデメリットとは
(経営層編)

こうした事態は経営者として絶対に避けねばならず、そのためには、モバイルワーク&テレワークの適切なソリューションを導入することが欠かせない。その主要な方式としては、「VDI」、「ディスク暗号化」、「データレスPC」の3種類が挙げられる。経営者は、これらの特徴について学び、自社の情報システム担当者とともに自社に最適なソリューションを検討すべきだろう。

ディスク暗号化

3つの方式の中でも最も安価で手軽なのがディスク暗号化だ。もしも社外でモバイル端末を紛失してしまった場合、情報漏えいが生じたかどうかに関係なく、何らかの情報漏えい対策を施していたか否かで社会からの評価は大きく変わってくる。導入のハードルが低いディスク暗号化は、そのような事態に備えたとりあえずの“保険”としても有効かもしれない。

ただし、他の方式と比べて情報漏えいリスクは大きい。データを端末内に持っているため、モバイル端末にログインできてしまえばすべてのデータが丸見えになってしまうからだ。また、セキュリティとは直接関係ないが、暗号化されたディスクを持ち込めない国も意外と多いので、海外出張のある企業では要注意だ。

VDI

VDIであれば、社外でモバイル端末を紛失した際の情報漏えいリスクを大きく低減することができる。ただし、非常にコストがかかるため、経営者には果たして本当にそれだけの投資を行うべきなのか慎重な判断が問われることになる。

また、VDIは複雑なシステムであるため、導入と運用管理にはかなりの手間を要し、情報システム部門の負担増となりやすい。ただでさえ1人で多くの仕事をこなす情報システム担当者にとって、VDIの管理に新たな時間を要するとなれば、どうしても他の仕事の質は落ちてしまうことになる。さらに、煩雑な作業に追われることで、モチベーションの低下も招きやすい。これらは、自社のITシステムの運用管理上の深刻なリスクとなるため、人員増など何らかの対処が求められるだろう。

データレスPC

モバイルワーク&テレワークにおける情報漏えいリスクの軽減と現場で無理のない安定した運用を可能にする方式がデータレスPCだ。モバイル端末側にデータを残さず、データをサーバー側に置くデータレスPCであれば、万が一社外でモバイル端末を紛失・盗難されたとしても、所持者のアカウントを停止してしまえばデータへのアクセスは一切できなくなる。

端末にデータを残さないデータレスPC

またデータレスPCはコストも極めて低く、VDIと比べた場合10分の1程度のコストで済んでしまうため、経営者としても導入の決断がしやすいと言える。さらに、導入から運用管理まで手間がかからないことから、情報システム部門の負担増はほとんど生じない。

そんなデータレスPC環境を実現するソリューションが、横河レンタ・リースが提供する「Flex Work Place」である。同ソリューションは、ユーザーが使うPCに専用アプリケーションを導入するだけで、ファイルサーバー上のファイルを自分のデスクトップ上にあるものと同様に使うことができるため、すぐにでもモバイルワーク&テレワークを実践することが可能だ。またネットワークに常時接続できない環境や回線品質が高くない場所でも安全かつ安定して使うことが可能なことから、社員のモバイルワークに安心して活用することができるだろう。

社員の生活を預かり、企業を成長させ続けなければいけない経営者にとって、働きやすい職場づくりと企業の競争力強化を図ることができるモバイルワーク&テレワークは、まさに一石二鳥の施策だと言えるだろう。ここで紹介したそれぞれの方式のメリットとデメリットを踏まえて、将来に向けた大きな一歩をぜひ踏み出していただきたい。

ディスク暗号化、VDI、データレスPCとの比較

ディスク暗号化 VDI データレスPC
データ漏えい
端末紛失時のデータ漏えいを防ぐ
オフライン利用
ネットワーク接続がない状態での利用
×
パフォーマンス
安定した動作速度
システム導入
システム導入のしやすさ
運用性
初期導入時と障害対応
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データ損失
HDD故障時のユーザーデータ保護
×
管理性
クライアント環境の集中管理
×
トータルコスト
導入・運用・管理コスト
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(マイナビニュース広告企画:提供 横河レンタ・リース)

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