Web上にSaaS/クラウドサービスの発注・導入が可能な日立システムズのオープンクラウドマーケットプレース「MINONARUKI(みのなるき)」。これまで「MINONARUKI」の特長・機能や開発経緯などを紹介してきたが、今回は、「『MINONARUKI』のユーザーからはどのような声が聞こえるのか」や「実際にユーザーはどうやって『MINONARUKI』を導入したのか」について紹介したい。

インターネットと対面の両方を大切にする「MINONARUKI」

株式会社 日立システムズ ネットワークサービス事業部 ネットワークセキュリティサービス基盤本部 新事業推進センタ 担当部長 和田博氏

「MINONARUKI」の大きな特長の1つが、ワンストップで提供される70種類超のSaaSサービスをWebサイト上で気軽に選んで試すことができる点だ。例えば、ある食品加工業の企業は、中小企業向けクラウドサービス「Dougubako(どうぐばこ)」の弥生会計サービスのトライアルをWebから申請。1カ月間試用した後に正式契約を行った。

ちなみに「Dougubako」は、高額のアプリケーションを安価な月額料金で利用できるサービスとして、「MINONARUKI」の数あるメニューの中でも人気のあるメニューの1つだ。

ネットワークサービス事業部 ネットワークセキュリティサービス基盤本部 新事業推進センタ 担当部長の和田博氏はこう語る。「クラウドの普及により、中小規模企業のお客さまもIT化に対し積極的になって来ました。しかしながら、どのアプリケーションをどうやって導入すればいいのか戸惑っている企業も少なくありません。導入実績のあるアプリケーションサービスを豊富に揃えていながらも、対面の煩わしさを気にすることなく気軽に試すことができる『MINONARUKI』は、そうしたお客さまとサービスの出会いの場になっていると思います」

もちろん、海外のパブリッククラウドサービスでも対面することなく導入することはできる。しかし「MINONARUKI」の場合、日本の企業にとって役立つコンテンツが充実しているのに加えて、対面型のコミュニケーションも必要であれば行えるのが、ほかにはないメリットである。

「実際、営業スタッフがお客さまの元に伺うケースも多いですね。当社は『MINONARUKI』をお客さまが最適なクラウドサービスに出会うためのコンシェルジュとなることを目指しています。よって、これからもインターネットと対面の両方の接点を大事にしていきたいですね」

ユーザーからの声をコンテンツに反映

株式会社 日立システムズ 第一マーケティング本部 シニアチーフセールスマネージャ 阿部佐富氏

実のところ、「MINONARUKI」を訪れたユーザーから問い合わせを受けることも多いという。例えば、「ファイル共有サービスとスケジュール管理サービスを同時に導入したいが、どのサービスが一番良いのか?」といった内容である。第一マーケティング本部 シニアチーフセールスマネージャ 阿部佐富氏は、こうした質問について「大歓迎です。わからないことや希望があれば何でも問い合わせをしていただきたいですね」と笑顔を見せる。

問い合わせ内容として目立つのが、料金についての質問だという。「Webサイト内に料金体系を表示させているものの、やはり念のため確認したかったり、わかりづらかったりするのだと思います」と阿部氏。そうした反省も踏まえて、日立システムズは今後「MINONARUKI」のコンテンツを改善・充実させていく構えだ。

第一マーケティング本部 ダイレクトビジネス推進センタ センタ長の堀口真氏は、コンテンツの改善点について、次のように述べる。「Webでサービスを購入することにまだ慣れていないお客さまも多いと思いますので、サービスを検索する際に現状の機能検索に加えて、従業員数や業種など、より詳細な条件で検索できるよう改善していきたいですね」

株式会社日立システムズ 第一マーケティング本部 ダイレクトビジネス推進センタ センタ長 堀口真氏

また、阿部氏は「日立システムズ以外のISV(Independent Software Vendor)が提供するクラウドサービスも、これまで以上に積極的に『MINONARUKI』に取り込んでいきたい」と述べる。

「ISVからは『自分たちの商品を売るための場所がない』といったご相談もよくいただきます。良い商品であれば、他のISVにも場をどんどん提供していきたいですね。『MINONARUKI』のサービスバリエーションが増えるということは、それだけお客さまにとっての選択肢が広がるということですから」と阿部氏。

他社のサービスを提供することで、日立システムズのサービスが選ばれなくなるというリスクも当然のことながら生じるはずだ。だが、阿部氏は「もし、『MINONARUKI』に他社のサービスを入れたことで当社のサービスが売れなくなったとしたら、それは当社のサービスに足りない部分があるということです。ならば、その不足した部分を改善してより良いものにするためのチャンスにすればいいだけの話ではないでしょうか。クラウドマーケットプレースとして『MINONARUKI』をフラットな目で見るべきだと考えています」と語る。

このように日立システムズは、自社、他社にとらわれず、良いサービスを「MINONARUKI」に増やしていくことで、ユーザーにとって最適な組み合わせを提案できるようにしていくことを目指している。そのためにも、ユーザー自身が課題を見つけてその解決のための糸口を探し出せるように、コンテンツの充実は必須なのである。

「たとえ購入に結びつかなくても、『MINONARUKI』を訪れて『便利だ』『役に立った』とお客さまに言っていただけるようにすることが第一の目標です」と堀口氏は言う。

玉石混交の昨今のクラウド市場において、中小企業が安心して使うことのできるサービスを見つける上で、ユーザーとの接点を大切にする「MINONARUKI」は頼もしい存在となることだろう。