引きこもりからグラビアアイドルへ。13歳のデビューから10年以上の月日を経て今やトップグラビアアイドルにまで上り詰めた倉持由香。チャンスを掴む力、セルフプロデュースの方法論からビジネスパーソンに役立つお話を伺います。

倉持由香(グラビアアイドル)
1991年11月6日、千葉県船橋市生まれ。13歳で芸能界デビュー、18歳から現在のGPRに所属し、グラビアアイドルとして本格的に活動を開始。「グラドル自画撮り部」の部長としても知られる。

「尻職人」誕生のきっかけ

――今や「尻職人」としてツイッターを中心に注目を集めている倉持さんですが、そのきっかけについてお聞かせいただけますか?

「アイドルの穴」(※1)というオーディション番組に出させていただいたんですけど、その候補生が99人もいたんです。

みんな可愛いし、絶世の美女でもない限り普通にやってたら埋もれちゃうぞ! と。顔だけで勝てるとは思ってなかったので、何かしなきゃいけないぞ! と思って、番組ウェブサイトに候補生のツイッターが流れるサイドバーがあったんですけど、そこに私の尻を5分に1度、ひたすら流していこう! と思ったのが、最初のきっかけですね。

続けているうちに「私はみんなのタイムラインに尻を届ける職人なんじゃないか」と思うようになって、「尻職人」を名乗り始めました。「尻職人の朝は早い……」とつぶやいてみたり(笑)。そしたら、だんだんと知っていただけるようになりました。

※1 アイドルの穴:日本テレビの番組。正式名称は「アイドルの穴~日テレジェニックを探せ!~」。日テレのイメージガールである「日テレジェニック」の選考が視聴者投票制になった2009年から放送開始。小池唯、今野杏南などを輩出している。倉持由香が出演したのは2013年に放送された第5シーズン。

コンプレックスを武器に

――残念ながら日テレジェニックからは漏れてしまわれましたが、「尻職人」としてかなり有名になりましたよね。そもそも、尻押しを始めたきっかけは何だったんでしょう?

実は、もともとお尻が大きいのはコンプレックスだったんですよね。90センチのお尻を87センチに逆サバ読んでたくらいで。

でも、あるカメラマンさんが、「もっちーはその大きな尻を武器にした方がいい」「無駄尻(むだじり)になるぞ!」って(笑)。ああなるほど、これが私の武器だったんだ! って発見でしたね。

それから、うしじまいい肉さん(※2)の自撮りを参考にしながら、どう尻を撮るか研究して「尻職人」になったんです。

※2 うしじまいい肉:2007年頃から注目を集め、カリスマコスプレイヤーとも呼ばれている人物。年齢非公開。露出が多い衣装を着ることが多く、見えそうで見えない絶妙なポージングが魅力。現在はグラビアアイドルプロデューサー、アパレルブランド経営の経営者としても活躍している。

グラビアにチームプレイを

――そして、翌年のグラドル自画撮り部の立ち上げに繋がるわけですが、そこに至る思いなどはあったのでしょうか?

尻職人として注目していただけたのは本当に嬉しかったんですけど、私という作物はやっぱりグラドル業界という畑がないと育たないわけですよ。「いっちょ耕してみっか!」という気持ちでしたね(笑)。

でもそれ以上に、グラビアアイドルって個人プレイが多いのも良くないなと思っていたので、何かみんなで集まれるような場所があれば……とは思っていました。それで、Twitterで呼びかけてみたのがはじまりです。みんなで有名になりたいなと思ったんです。

――業界全体を盛り上げたいという思いで、2014年1月に「グラドル自画撮り部」を立ち上げられたんですよね。その経緯をもう少し詳しくお聞かせいただいていいですか?

「アイドルの穴」でプロデューサーを務めてらっしゃる毛利さん(※3)が、収録後に「バラエティというのはサッカーだ。全員がシュートを決めようとしても上手くいかない。誰かがパスを回して、誰かがシュートする。チームワークで作り上げるからこそいいものができるんだよ」と、お話をしてくださったことがあったんです。

これって、グラビア業界にもあてはまるんじゃないかなって思ったんですよね。熊田曜子さん、ほしのあきさん、イエローキャブの皆さんが作り上げたグラビア黄金時代のあと、グラビア業界が冷えてしまって、たとえば雑誌の巻頭グラビアがグループアイドルさん(※3)になってしまったのも、個人プレイだからじゃないかって。だから、何かまとまれる方法はないかな……と思ったのがきっかけですね。

※3 毛利さん:日本テレビの毛利忍プロデューサー。代表的な担当番組は「進ぬ!電波少年」(ディレクター)、「HaKaTa百貨店」(プロデューサー)、「AKB48旅少女」(コンテンツプロデューサー)、「AKBINGO!」(コンテンツプロデューサー)など。

――そして、「グラドル自画撮り部」を立ち上げられたわけですね。周囲の反応はいかがでしたか?

最初にすっごく増えたんですよ。3日くらいで100人になって、Twitterにいるグラビアアイドルがだいたいやってくれたんじゃないかなってくらい。

時代も時代で、グラビアアイドルが仕事もなく、何やったらいいか分からない状態だったんですよね。集まれば「うちのマネージャーが売ってくれなくてさぁ」「え~ そこ移籍しようかな~」とか、そんな話にばっかりになっていたと思うんですけど(笑)、そうじゃなくて、「私こんなグラビアできますよ」ってPRして仕事いただけるようになろうよっていう呼びかけに応えてもらえたのかな~って思いますね。

※次回は1月9日(土)更新予定です

ギャラリー

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(撮影:廣田達也)