TOP500にランキングされたスーパーコンピュータ(スパコン)を性能/消費電力の順にランキングするのが「Green500」である。1MWの消費電力のシステムは、年間の電気代が100万ドル程度かかるため、5年間のスパコンの寿命を考えると総コストの内のかなりの部分を電気代が占めることになる。また、MWクラスになると電気の供給が受けられるかということも問題になってくる。このため、性能だけでランキングするTOP500と並んで、性能/電力でランキングするGreen500が重視されてきている。

TOP500は、測定プログラムであるHPLを走らせて、その結果のログを見れば性能が分かるのであるが、Green500の場合は、消費電力の測定が正しく行われているかということを確認する必要がある。このため、Green500は、TOP500の発表より時期が遅くなる。この記事を書いている時点(2016年7月1日時点)では、正式のGreen500のリストはまだ、公表されていないのであるが、6月20日のTOP500の発表と同時に暫定リストが公開された。

このリストに見られるように、上位の3システムは6000MFlops/Wを超えているが、4位は5000MFlops/Wに届かず、5位以下は3000MFlops/W台である。したがって、上位3システムの結果だけ詳細にチェックすれば、上位3システムは確定できるという判断で、Green500の上位3システムが発表された。

1位は理研のShoubu(菖蒲)で6,674MFlops/W、2位も理研のSatsuki(皐月)で6,195MFlops/W、そして3位が中国の無錫国立スーパーコンピュータセンターのSunway TaihuLight(神威 太湖之光)システムである。

ISC 2016で発表されたエネルギー効率順の暫定リスト

システムとしての高いMFlops/Wを実現するためには、主要な電力消費コンポーネントであるプロセサの性能/電力が高いことが必要である。この点で、1位の菖蒲と2位の皐月は「PEZY-SCnp」というPEZYが開発した独自アーキテクチャの1024コアのメニーコアプロセサを使っている。そして、太湖之光は「SW 26010」という、これも独自アーキテクチャの260コアのメニーコアプロセサを使っている。つまり、今回のGreen500では、上位3システムともにメニーコアのプロセサを使っているスパコンが独占し、MIMDメニーコアで高い性能/電力が実現できることを実証した。