情報整理をするときには、インプットされた情報をただ整理するだけで良いのでしょうか。今回は原点に戻って、情報整理と生産性について考えてみましょう。

何のための情報整理?

いささか「そもそも論」に立ち戻る印象だと思いますが、この連載も50回を超えてきましたので、「いったい情報整理とは、何のためにしているのか?」というテーマについて、少しだけ考えてみたいと思います。

私自身、「整理魔」的な人間で、人が何と言おうととにかく整理しているだけで喜ばしくなる、というところがあります。20歳そこそこの時には、「それで何になるのか?」「それをしてどうなるのか?」というようなことに対して反応過剰で、「手段と目的を取り違えるな」というような格言を、自らはき散らかすようなところが多々ありました。

しかし30代になるとさすがにもう少し落ち着いてくるもので、無駄なことをしていても必ずしも気にならなくなってきます。掃除や整理の「やり過ぎ」は、無駄かもしれないが、別にかまわないだろう、好きなんだから、と開き直ることができるようにもなったわけです。

しかしそのこととは別に、情報を整理し、適切な形でアウトプットした方が、少なくとも生産的だとは思ってもらえる。自分に対しても、他人に対しても、立派な理由づけにはなる、という思いは持っていました。つまり、整理魔であるにせよ、整理だけで終わるよりは、整理したものをアウトプットした方が、全体としてみればいいことだろう、という意味です。

問題は、「情報のアウトプット」がやりやすくなったとは言え、理想的な形でアウトプットしようとすると、なかなか思うようにいかない、という困難が、アウトプットにつきまとうことです。

ここから先は、「読書ノート」のアウトプットを例にとり、それに話を絞ります。

たとえば「読書ノート」をアウトプットするにしても、殴り書きのメモでは、読む方は読んでいられない。しかし、これをきちんと読みやすい形で出そうとすると、いささか面倒です。また、Amazonのレビューにつけるようなやり方ですと、意図してもいないのに、著者や著者のファンの人に嫌な思いをさせることにもなりかねません。 たとえば「読書ノート」の適切な形とは私にとって、「書評」には届かない、「読書のミニブログ」のようなものでした。こういうものにあまり手間暇はかけられないし、しかし、あとで自分の「メモ」を探そうとしたときには、すぐに見つけられる程度のものではあって欲しい。簡単にまとめれば、

・デジタルノートとしての整理機能はばっちり
・望めばミニブログのようにも使える
・評価が主体ではない

という条件を満たすツールが欲しかったわけです。

もちろん、読書ノートに限らず、ノート一般について同じような欲求があるわけですが、やはり「情報整理」といえば、読書ノートは外せません。ここからインプットする情報量は多いからです。そして、上手にまとめられた読書ノートであれば、アウトプットする価値も高そうです。

ライフハック:メディアマーカー

少なくとも、書籍、およびAmazonで入手できる「メディア」に関するレビューに絞れば、今では理想的なツールがあります。メディアマーカーがそれです。

このコラムでも、メディアマーカーについて紹介したことがありました。しかしその時には、私もこのサービスを、単なる「書籍管理ツール」として認識していました。その目的で利用するだけでも十分に便利だったのですが、現在の機能は明らかにそれ以上のものを目指しています。

メディアマーカーは単なる書籍管理ツールではなく、「本を読む人のためのミニブログ」なのです。そのようにとらえ直すことで、読書家がブログを作る際には、もっとも利用しやすいサービスの1つとして、活用することができるはずです。

書籍管理に優れるメディアマーカーに書評を書き込むことで、読書とアウトプットを結びつけることができる

実際、私はそのような目的で利用していますが、この目的で使ってみると、書評ブログを1つ立ち上げずに済む、ということがよく分かります。かなりの知識がないと、簡単に設定できるデザインには限りがありますが、およそ「書籍管理」と「ブックレビューに関する管理」についていえば、このサービスで相当のことができます。これ以上のことを実現するにしても、手間がかかりすぎて現実的ではありません。

メディアマーカーはもともと書籍管理サービスです。このサービスでは、登録した書籍が1000近くになろうと、十分管理できるようなデータベースの構築が目的でした。一般のブログサービスを書評ブログにするよりも、メディアマーカーをミニブログとして使うことのメリットは、ここにあります。

一般的に言って、ブログのエントリが1000を超える頃には、エントリの一貫した整理は厳しくなってしまいます。もともと、どちらかと言えばエントリが「流れて」行くことを許容するスタイルになっているからです。

しかし、大量の本を「扱う」ことが主眼のメディアマーカーならば、これをブログ化しても、依然としてその「登録書籍」と一体化しているエントリの管理が、スマートにできるわけです。登録書籍数が多くなればなるほど、そのメリットがはっきりします。

それに、ブログだとまず「書く」。そして「書き続ける」というスタイルになりがちですが、メディアマーカーのようなサービスならば、まず「整理する」。それから気が向いたら「書き始める」。というスタイルをとることができます。このほうが、アウトプットのプレッシャーを感じることなく、アウトプットに向かいやすいし、整理の意義もあわせて実感できるでしょう。