今年も新しい戦力を求めて、企業が新入社員を募集する時期がやってきた。そこで今回は、内定者に対して入社前研修やコミュニケーション強化を行うための情報共有サイトを構築してみよう。

内定者のモチベーションアップにもつながる情報共有サイト

近年は学生にとって就職難の時代が続いているが、企業側でも内定を出したからといって安心できない。有能な人材ほど複数の企業から内定を受け、内定辞退となる可能性が高いからだ。例えば、給与面などの待遇が同レベルの企業から同時に内定をもらった場合、大半は自分に対してより大きな期待が感じられる方を選ぶだろう。こうした点で、早期から内定者とのコミュニケーションが深められる情報共有サイトは非常に有効だ。

入社前からアカウントを用意しているという積極的な姿勢で企業側の期待度を伝え、内定者のモチベーション向上を促すことができる。また、事前に知っておいてもらいたい情報や知識を提供する入社前教育の場にも利用可能なほか、入社後に日々の業務でGoogle Appsを使う際のトレーニングにも最適というわけだ。

企業ロゴの追加などデザイン面をカスタマイズ

今までの連載で紹介したサイトは実用性重視の社内向けだったので、特にデザイン面のカスタマイズには触れてこなかった。しかし、新入社員向けの情報共有サイトでは、内定者に対して「自分はこの企業の一員なんだ」と実感させる作りが望ましい。このような観点から企業ロゴを入れたり、極端に堅苦しいイメージを与えないような背景を選択するなど、デザイン面にも気を配った方が良いだろう。そこで今回は、デザインのカスタマイズから始めてみよう。

サイトのデザインをカスタマイズするには、右上にある「その他の操作」から「サイトを管理」をクリック

左側のメニューにある「テーマ」で、52種類(2010年1月現在)の豊富なテンプレートからデザインが選択できる。「プレビュー」をクリックすると別窓で完成予想図が見られるのも便利だ。良いデザインが見つかったらチェックボックスにチェックを入れ、上部の「変更を保存」をクリックしよう

企業ロゴを入れるには「サイトのレイアウト」を選び、「ヘッダー」部分にある「ロゴを変更」をクリックする

「カスタムロゴ」を選んでから作成したロゴを添付し「OK」をクリック。元の画面に戻ったら「変更を保存」を忘れずクリックしよう

企業ロゴとサイト名表示がダブって格好悪い場合は、「全般」にある「ページの上部にサイト名を表示する」のチェックを外しておくと良い

デザインを変更する前の画面。トップページに最新のお知らせおよび社長からのメッセージ動画を挿入してみたが、初期設定のままではどうしても見た目が寂しい

こちらがデザインをカスタマイズしたトップページ。企業ロゴを追加するだけでかなり印象が引き締まる。テーマについては控えめなものを選んだが、企業ロゴとの相性を見ながらもっと派手にすることも可能だ

スケジュールはGoogleカレンダーで一覧化

内定後は説明会や研修、懇親会といった数多くのイベントがあり、内定者にとってもスケジュールが気になるはずだ。そこでいつでも確認ができるよう、各イベントをGoogleカレンダーにまとめておくと分かりやすい。予定が少ないうちは「予定リスト」、多くなってきたら「月」や「週」など、必要に応じてカレンダーの表示形式を変えてあげるのも内定者にとって嬉しい配慮といえる。

内定後のスケジュールはGoogleカレンダーで作成する

サイトにスケジュール確認用のページを作成。予定が少ないうちは表示形式を「予定リスト」にしておく方が見やすいだろう

簡単な手順で内定後のスケジュールページが完成した。予定が近付いたらサイトやメールで通知するといった工夫もコミュニケーション強化につながる

なお、Googleカレンダーでは各予定の詳細画面に用意された「通知を追加する」から、メールやポップアップでスケジュールを通知することもできる

Googleカレンダーについては、ベイテックシステムズが提供している「グループ共有のカレンダー機能」なども活用するといいだろう。

チャット機能でリアルタイムなコミュニケーションを実現

内定辞退の危険性を抑えるには、企業および内定者同士の協調性をアップさせる懇親会などのイベント開催に加えて、日々のコミュニケーションも重要なポイントだ。しかし、内定者にとって些細なことで電話をするのは敷居が高いといえるだろう。また、メールの場合はリアルタイム性に欠ける部分もある。その点、Google Appsではチャット機能を使って採用担当者とリアルタイムなコミュニケーションが可能。悩み相談など精神面での支えとなるメンタリング的な使い方もできるので、企業と内定者をつなぐ強い味方となってくれるはずだ。

Googleのサービスとしてはクライアントアプリケーション型のメッセンジャー「Googleトーク」も提供されているが、Google Appsを利用しているのであればもっとも簡単な手段がGmail上から使えるチャット機能だ。設定は左下の「チャット」部分にある空欄に相手のメールアドレスを入力するだけでOK。オンラインやオフライン、カスタムメッセージなど状態表示も容易に変更できる

必要に応じてコンテンツを追加

デザインのカスタマイズやスケジュールページが完成したら、あとは今までの連載で紹介した方法を使って企業紹介やQ&A、先輩からのメッセージ、アンケート、各種申請書類などを追加していこう。入社前トレーニングについては単純にテキストを掲載するだけでなく、フォーム機能を使った簡易テストも実施できる。また、採用者が少ないようであれば個別にサイトを設けた方が細かいフォローへと結び付けられるが、多い場合は逆に各内定者の自己紹介ページを設けて、内定者同士のコミュニケーションを促進するという方法も面白いだろう。

これが完成した内定者向け情報共有サイトの画面。イベント情報など、必要に応じてコンテンツを追加していくと良いだろう

今回は内定者向けの情報共有サイトを構築したが、ポイントとなるのはいかに内定者の興味を惹き、同時に必要な情報を見やすく提示できるかという部分になる。優秀な新戦力を手に入れるためにも、企業の特徴や職場の雰囲気が掴みやすいサイトに仕上げていただきたい。