『デスノート』『デスノート the Last name』(06年)、スピンオフ作『L change the WorLd』(08年)で大成功を収めた実写『デスノート』シリーズ。誕生から10年の時を経て、映画『デスノート Light up the NEW world』(10月29日公開)で、まさかの続編として復活を遂げる。果たして、その"最終ページ"には一体何が書き込まれたのか。
マイナビニュースでは「独占スクープ 映画『デスノート』の最終ページ」と銘打ち、すべての作品を企画・プロデュースしてきた日本テレビ・佐藤貴博プロデューサーの「今だから語れる」証言を中心に、全20回にわたってその歴史を掘り下げていく。インタビューは合計約5時間、4万字近くにも及んだ。第7回は「なぜ海外大物アーティストを射止めることができたのか?」。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズは主題歌として、『デスノート』に「ダニー・カリフォルニア」を、『デスノート the Last name』に「スノー」を提供 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2006「DEATH NOTE」FILM PARTNERS 監督:金子修介 |
「ロスまで来れば聴かせてやる」
――シリーズの特徴として挙げられるのが、主題歌を担当したのが海外の大物アーティストだったということ。まずはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。映画タイアップは当時はじめてだったわけですが、どのように口説き落としたのでしょうか。
少年ジャンプの作品の映像化は、当時アニメが主流となっていました。『デスノート』は今でこそ認知度のある作品ですが、幅広い年代には知られていませんでした。そして、今回は実写映画から始まるというチャレンジでもあり、センセーショナルな打ち出しをしたかったので、その当時のアニメ主題歌の流れとは一線を画したかった。
そのために選択したのが「洋楽」でした。僕自身が洋楽好きだったからというのもモチロンありますが(笑)。いろんなレコード会社に、昨今のテレビやアニメ、日本映画のタイアップとは違う提案を求めていたら、ワーナーミュージックの方から「イメージ違うかもしれませんが、レッチリは興味ありますか?」と話がありました。僕は大ファンなので、二つ返事で「興味あります!」と(笑)。確かにイメージは違うとは思いましたが、求めていた意外性はある。そして間違いなく「本物」だということ。しかし、どんな楽曲なのか聴いてみないと決められない。そしたら、ロスまで来れば聴かせてやると(笑)。
前編の福岡ロケ直前の2月にロスまで飛び、そこでメンバー全員にも会うことができて、直接「デスノート」の説明をすることもできました。しかし、楽曲は持ち帰ることもできず、そこで聴くだけ。世界各国のその国を代表するメジャー音楽媒体が集められた取材会のようなタイミングでした。
――「ダニー・カリフォルニア」「スノー」の両方を聴いたんですか?
その場で決めたのは、「ダニー・カリフォルニア」のみでした。レッチリサイドも「ダニー・カリフォルニア」をシングルにしようと思っていたそうです。後編はアルバムが全部出来上がったところで、あらためて考えることになり、「スノー」に決定しました。本当にタイミングがよかったですね。初めての映画タイアップですが、ボーカルのアンソニー・キーディスが日本の漫画が好きで、『デスノート』の存在は知りませんでしたが、英語版を読んでもらったところ「これはクールだね」と。ベースのフリーは日本が大好きらしく、「日本の文化はすばらしい」「俺はいつも京都に行くんだ」みたいなことを言っていました。
そういうメンバーの思いも重なり、幸運にもタイアップが成立したのです。帰国して、福岡ロケのスタッフが宿泊していたホテルで行われた「中打ち上げ」に合流できたので、そこで発表しました。その時点で契約は成立していませんでしたが、メンバーからはOKが出ていたので、まぁいいだろうと(笑)。まあ、(藤原)竜也くんをはじめレッチリのことを知らなかったので凄さが全く伝わらず(笑)、唯一、音楽好きな香椎由宇ちゃんだけが驚きすごく喜んでくれたのが救いでした(笑)。
デスノ世界観でエンドロールに字幕
――レニー・クラヴィッツとは、どのような巡り合わせがあったのでしょうか。
レッチリでかなりの反響があったので、スピンオフでもやっぱり洋楽でいこうと。またまた幸運にもレニーが協力してくれることになり、しかもレニーの頭文字はちょうど”L”というのも縁起がいい。幸い、この時は音源がありました(笑)。
ちなみに、エンドロールで楽曲が流れる時に対訳の字幕を付けているんですが、『デスノート』の世界観に寄せて訳した内容になっています。映画の余韻により浸ってもらいたくて。僕はそんなに英語ができる訳では無いのですが、何度も聴いているうちに、これは月とLのことを歌っているようにも思えるなあと。そこで、英語が堪能な金子監督に僕の感じた思いを伝えて意訳してもらいました。『L change the WorLd』では、Lの思いを表した詞。中田秀夫監督はハリウッドでの経験もあるので、安心して同じことを頼むことができました。
■プロフィール
佐藤貴博(さとう・たかひろ)
1970年4月26日生まれ。山梨県出身。1994年、日本テレビに入社。営業職を経て、2003年に念願の映画事業部に異動する。映画プロデューサーとして、『デスノート』シリーズ、『GANTZ』シリーズ、『桐島、部活やめるってよ』などヒット作話題作を数多く手がける。今年公開作品は、『デスノート Light up the NEW world』(10月29日公開)、『海賊とよばれた男』(12月10日公開)。