コンテンツマーケティングにおいての"基本"は「ビジネスブログ」となりますが、コンテンツマーケティングにおける"コンテンツ"とは、なにもビジネスブログだけではありません。

今回も、前回に引き続き、ビジネスブログ以外のコンテンツの種類を紹介していきます。

ソーシャルメディア(SNS)

FacebookやTwitterに代表されるソーシャルメディアは、ユーザーとの長期的なつながり関係を構築するのに適したツールです。

まれに、複数のソーシャルメディアに対して同じ文面・メッセージで情報発信をしている例が見受けられますが、各ソーシャルメディアはメディアごとに特性が異なります。ユーザー属性や使われ方を把握して、それぞれに合った使い方をすることが重要です。今回は代表的な2つだけ取り上げてみましょう。

Facebook

Facebookは14億人以上が利用する世界最大のソーシャルメディアです。 

ビジネスでの情報発信で利用できる「Facebookページ」機能は、そのページに「いいね!」をしたユーザーのニュースフィードに情報を届けることができます。また、Facebookページは複数人による管理が可能なこと、投稿がユーザーにどれだけ届いたかなどを分析する「インサイト」機能が用意されているなど、ビジネス利用に向いていると言えます。

「Facebookページ」公式Webサイトイメージ

加えて、Facebookページ運用初期の集客には、Webサイトへの「いいね!ボックス」の設置や少額のFacebook広告の配信といった施策が有効です。Facebookでは、ユーザーと関連性の高い投稿や興味対象に近い投稿ほど、多くそのユーザーに対して表示される傾向がありますので、想定したペルソナがどんな投稿に興味を示すかを考えながら、よりエンゲージメントを深められるよう継続的に改善していくことが必要です。

Twitter

Twitterは、140文字以内の文章を投稿するソーシャルメディアです。Facebookが実名を前提としているのに対し、Twitterは実名でも匿名でも自由にアカウントを作成することが可能のほか、「一般ユーザー用」「ビジネス用」といったアカウントの区別も存在しません。

Twitterは、リアルタイムで短文の投稿が配信されていくのが最大の特徴です。その特性を活かし、例えば時間帯に合わせた挨拶や開催中のイベントの話題など、リアルタイム性が高くユーザーが身近に感じやすい内容を提供してみるのも良いでしょう。

また、Twitter上では見知らぬユーザー同士がリプライやリツイート機能で気軽にコミュニケーションを取っています。自社のことを話題にしているツイートを見つけたらリツイートするなど、ユーザーと直に対話することにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

なお、ブログや動画などで新しいコンテンツを公開した時の告知手段としても、是非Twitterを活用してみてください。

動画

ブロードバンド環境の浸透やモバイル通信の高速化、スマートフォン・タブレットといった動画視聴に適したデバイスの普及によって、Webマーケティングのいち手法としての動画の存在感が増してきました。

近年、Facebookではニュースフィードに動画が現れると自動的に表示するようになるなど、文書や写真といった静的コンテンツと同じように自然と動画を視聴するスタイルが生活者に浸透してきています。また、これまでよりも安価に動画コンテンツを発信するための環境も整ってきましたので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

冒頭で続きを見たくなる動画に

動画は、再生されたからといって最後まで視聴されるわけではありませんし、飛ばして見られることもあります。最後まで視聴してもらうには、最初の15秒が特に重要だと言われています。例えば、「冒頭で疑問を投げかける」や「印象的なシーンを持ってくる」「動画のポイントを伝える」といった工夫で、続きを見たくなるよう訴えかけましょう。

アップロードはYouTubeに

動画の配信には、外部の動画プラットフォームサービスの利用がおすすめです。今であれば、世界中で利用されているYouTubeがよいでしょう。

動画本体はYouTube上に置いておき、自社のビジネスブログにはリンクを埋め込むことで、誰でも簡単にブログ記事に動画を取り入れることができます。また、YouTubeでは"チャンネル"という自分のページを作成でき、公開した動画をまとめて表示することが可能です。

さらに、無料で使える編集機能や動画に利用できる音楽なども用意されており、簡単な動画であればYouTube上で作成することも不可能ではありません。

Vine / Instagramビデオ

「Vine」は6秒の動画、「Instagramビデオ」は15秒の動画を投稿できるサービスです。

時間が短く、スマートフォン等で気軽に撮影可能ですが、その分マーケティング目的での利用にはアイデアと構成力の勝負となります。海外では特に多くの企業がプロモーションに利用しはじめていますので、参考にしてみてください。今後さらに拡大していく領域と言えそうです。

「Vine」公式Webサイト イメージ

「Instagram」公式Webサイト イメージ

いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介したもの以外にも、コンテンツマーケティングを行う上で活用できるコンテンツにはさまざまなものがあり、それぞれに異なった特性があります。

対象と目的にあわせてこれらを組み合わせることで、よりよい顧客コミュニケーション作りに役立てていただければ幸いです。

執筆者紹介

イノーバ 代表取締役社長 宗像淳

福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。
2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。

書籍紹介

商品を売るな

著者 : 宗像淳
発行 : 日経BP 2014年12月8日

生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。

この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。