最大の問題は導入コスト

ペーパーレス化を実現する電子帳票システムの導入で最大の問題はコストです。結局のところ、現在の状態の維持運営コストと、新システムの導入・運用コストを天秤にかける必要があります。

ただし、金額として計測できる経済的なコスト以外に、地球資源の削減や省エネルギーなどの社会的使命も企業は果たしていく必要があることを忘れてはなりません。

なお、電子帳票化を推進する際は、既存のレガシーシステムをオープン化するなど、システム全体の見直しも検討してみてください。規模によっては一筋縄でいかない場合が多いと思いますが、システム全体を見直すいい機会ととらえるべきでしょう。

ワークフローの変化も考慮

帳票を電子化すると、必要な帳票を検索して表示・印刷するために、PCなどの端末が不可欠になります。また、帳票にアクセス制限を設けることで、今まで使えた帳票データにアクセスできないユーザーが出てくるといった問題が発生することが想定されます。

帳票の電子化はワークフローの変化を伴うケースが多いので、利用者が導入の意義を理解し、新しいシステムをスムーズに使えるようになるまでのトレーニング期間といった時間的要件も考える必要があります。

スキャンした紙文書の保存

e-文書法の施行によって、受領した請求書などの帳票をスキャンして保存することも法的に認められるようになりました。システムから出力する帳票開発には関係ありませんが、電子帳票システムを導入するのであれば、受領した紙文書の電子化も含めて、全体的に考える必要があります。

将来はECMへの統合も

オフィス内で作成されるワープロソフトや表計算ソフトの各種文書なども、電子帳票システムと同じようにデータベース化し、再利用を促進しようという動きが増えてきています。これは電子帳票に限らず、企業内のあらゆるコンテンツを管理することからECM(Enterprise Content Management)=企業向けコンテンツ管理システムと呼ばれています。

社員のPCに分散して保管されている企画書などのデータを一元管理して検索可能な状態にすれば、社員全体が情報を共有できることになります。近い将来、電子帳票システムはECMの一部として統合されていくことになるかもしれません。

商品名

販売元

動作環境

FiBridgeII

JFEシステムズ

Linux、UNIX

FileVolante

JFEシステムズ

Windows Server+Java

Pandra AX

NTTデータビジネスブレインズ

Windows

Interstage ListWorks

富士通

Windows、Solaris、Linux for Itanium

Rakuform ReportFiling

NECソフト

Windows Server+Java

Report Viewer II

キヤノンマーケティングジャパン

Solaris 10、AIX 5.3+Java

Trinitat 7

中央コンピュータシステム

Windows 2000 Server、
Windows Server 2003、 2003 R2

NEOSS

インフォコム

HP-UX 11、Solaris 8,9、AIX 5.1,5.2、Windows2000、2003、Red Hat Enterprise Linux

e-COOD

日商エレクトロニクス

Windows Server

OPRO X Server

日本オプロ

Windows、Linux、UNIXなど

Printview

NECソフト

Windows Server

活文ReportMission

日立ソフトウェアエンジニアリング

Windows Server 2003

e-image

三菱電機ビジネスシステム

ユニシスおよび三菱のオフィスサーバ、i5/iSeries/400、Windows

APLLOCS

松下システムソフト

Windows Server 2003

ILF2007

野村総合研究所

Windows Server 2003

主な電子帳票システム

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。