開発コスト削減のための帳票開発ツール

このように、多岐に渡るユーザーからの帳票に対する要望に応えるために、すべてをコーディングしていたのでは工数がかかりすぎるのはもちろんのこと、人的資源がコスト的に割に合わないものとなります。そこで利用されるのが帳票開発ツール、または帳票設計ツールです。帳票開発ツールは、基本的にはプリンタからの帳票出力を支援するソフトウェアですが、最近はそのほとんどがPDFやCSV出力などに対応しています。

電子帳票とは

先述のように、この数年は帳票を紙で出力せずに電子化して保存するケースが増えてきています。

システムの規模にもよりますが、ホストシステムから集中的に出力していた旧来型の帳票のバッチ出力では、膨大な用紙が必要となります。また、出力した帳票を保管するために必要な、物理的な場所を確保するためのコストも無視できません。これらのことから、ホストから大量に出力される帳票を電子化して保管し、コスト削減を図る企業はどんどん増えてきています。

電子帳票システム

帳票ツールは、「帳票ツール」「電子帳票ツール」「帳票システム」など、様々な呼び方があります。特に、多くの帳票開発ツールが電子文書であるPDF出力に対応しているため、PDF出力=電子帳票化と考える人も多いようです。確かにWebシステムにおけるクライアント側での出力のためのPDFは電子帳票ですが、それだけで「電子帳票システム」にはなりません(図1)。

電子帳票管理システムとは、ペーパーレス化を目標に、ホスト系の帳票データを電子化してデータベース化し、それを管理するシステムのことを言います。

図1 帳票と帳票開発ツール、電子帳票システムの関係

帳票開発ツールと電子帳票システム

帳票開発システムは、少ない工数でユーザーの欲する紙の帳票出力を実現するためのツールです。つまり、「開発者のための」ツールです。

対して電子帳票システムは、大量に出力される法定保存帳票を電子化して、用紙代やプリンタの保守などの印刷コスト、さらに帳票のデリバリーや保管にかかるコストを下げることを目的としています。したがってこれは、ユーザー企業のためのシステムと言えます。

しかし、この2つを切り離して考えることはできません。これからの帳票開発は、「紙で出力が求められるところは出力し、保管義務はあるが、それほど紙出力の必要性のない帳票は電子化を進める」といった現実的なニーズに応えていく必要があるからです。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。