2013年5月13日に開催された京コンピュータシンポジウムにおいて、京コンピュータをどのように使って行くのかについての発表が行われた。

京は、Top500では3位となったものの、1位のTitanは受け入れ試験に通らず仮運用の状態、2位のSequoiaは一般の科学者に使わせる初期の運用を終わり、現在は核兵器の管理関係のマル秘の研究専用になっているので、京コンピュータは、平和利用ができるスーパーコンピュータ(スパコン)としては現在でも世界最高性能のスパコンである。

スパコンという道具はできたのであるが、1100億円あまりの税金を投じた価値があるかどうかは、どのように使い、我々の生活やわが国の国際競争力を高め、科学技術のフロンティアを切り開いていくかに掛かっている。

2012年9月末の正式運用開始から、まだ、半年あまりしか経っていないので、まだ、京コンピュータを使って目覚しい成果が出るという段階にはなっていないが、京コンピュータシンポジウムでは重点の6課題の研究者が、研究の方向と京コンピュータを使うことで達成を目指す成果について発表を行った。また、京コンピュータは産業界にも開放されており、利用企業の1つである住友ゴム工業からの発表が行われた。

京コンピュータの計算能力の50%程度は、以下の5つの戦略分野の課題に割り当てられる。

  • 予測する生命科学・医療および創薬基盤
  • 新物質・エネルギー創成
  • 防災・減災に資する地球変動予測
  • 次世代ものづくり
  • 物質と宇宙の起源と構造

そして、30%程度が公募で選ばれた一般利用の課題に当てられ、その中の5%程度は企業の利用枠となっている。残る20%の内の15%は京コンピュータのセンダー側が利用環境の高度化などに使用し、5%が成果創出・加速枠となっている。

次回以降、そうしたさまざまな分野で、どのように京が活用されているのかを紹介していきたい。

京コンピュータの50%程度は戦略プログラムに割り当てられるが、30%程度は公募による一般利用に割り当てられる。そして、15%が利用環境の高度化などに割り当てられる。(出展:京コンピュータシンポジウムでの菱山豊 文部科学省・大臣官房審議官の発表スライド)