Office 365はOfficeではなくWindows Server

Office 365の本質はWindows Serverです。Windows Serverのクラウド版であるWindows Azureに、Exchange Server、SharePoint Server、Lync Serverのクラウド版であるExchange Online、SharePoint Online、Lync Onlineなどを組み合わせたシステムです。

そのため、最小限の管理はOffice 365の管理センターで操作できるものの、より本格的な管理には、Windows Azureと同様、PowerShellでOffice 365に接続して「サーバのリモート管理」をします。加えてWindows ServerやActive Directoryに関する知識も必要となります。

PowerShellを活用することで、多数のユーザーの一括処理や、条件に当てはまるユーザーの洗い出しなど、Webページからマウスをクリックして操作している様では効率の上がらない多くの作業が可能になります。

Office 365管理センター。比較的簡単に使えますが、より本格的な管理をするには不十分です

PowerShellにOffice 365コンポーネントをインストール

PowerShellでOffice 365を管理する環境を作には、以下の4つのインストールが必要です。

.NET Framework 3.5やPowerShellについては、Windows 7以降のWindowsでは標準搭載しています。標準搭載していないWindowsでは、それぞれ、マイクロソフトのダウンロードライブラリから、OSのバージョンに応じたモジュールをダウンロードインストールしてください。

(1).NET Framework 3.5の用意

.NET Framework 4.0/4.5で代用できませんので、Windows Vista以降のWindowsでは、コントロールパネルの「プログラムと機能」で.NET Framework 3.5を有効化します。

コントロールパネルから「プログラムと機能」を開きます。

コントロールパネルから「プログラムと機能」を開く

そして、「プログラムと機能」で.NET Framework 3.5を有効化します。

「プログラムと機能」で.NET Framework 3.5を有効化

(2)PowerShellの用意

Windows PowerShellについても、コントロールパネルの「プログラムと機能」で有効化します。

PowerShellについても、コントロールパネルの「プログラムと機能」で有効化

(3)Microsoft Online Servicesサインインアシスタントのインストール

以下のURLからダウンロード、インストールします。

http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=39267

上記ページではBETA版と表示されますが、当記事執筆時点で、正式版には不具合があって正常に動作しません。このBETA版が必要です。

Microsoft Online Servicesサインインアシスタントのダウンロードページ

(4)PowerShell用Windows Azure Active Directoryモジュールのインストール

以下のサイトからダウンロードしてインストールします。

http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj151805.aspx

Windows Azure Active Directoryモジュールのダウンロードとインストール

インストール後に作成されるデスクトップのアイコン

PowerShellで管理

PowerShellでOffice 365を管理するには、デスクトップに作成されたアイコンをダブルクリックして開きます(または、PowerShellでImport-Moduleコマンドレットで、MSOnlineコマンドレットモジュールをインポートします)。

Import-Module  MSOnline

次に、Connect-MsolServiceコマンドレットでOffice 365サーバに接続します。Windowsの認証ダイアログ(ユーザー名とパスワードの入力)を表示しますので、管理するOffice 365の管理者のユーザー名(サインイン名)とパスワードを入力してください。

Connect-MsolServiceでOffice 365(Windows Azure)に接続

以下に、よく使うコマンドレットの例を紹介します。

新規ユーザーアカウントの作成

New-MsolUser -DisplayName 表示名 -UserPrincipalName ユーザー名

PowerShellでユーザーアカウントを作成する場合、最小限必要なのは表示名とユーザー名です。ライセンスの割り当て等、他の設定項目も、New-MsolUserのオプションで設定できます。

画像左のキャプションはここ

ユーザーパスワードのリセット

Set-MsolUserPassword -UserPrincipalName  ユーザー名

ユーザーパスワードをリセットし、新しいパスワードを表示します。

画像左のキャプションはここ

また、-ForceChangePasswordオプションを使用すると、次回のユーザーサインイン時にパスワード変更を求めます。

ユーザー情報の取得

Get-MsolUser

Get-MsolUserの出力をフィルターにかけることで、特定条件のユーザーを絞り込んだり、必要な情報だけをリストアップすることができます。

ユーザーアカウントの削除

Remove-MsolUser -UserPrincipalName ユーザー名

※当記事では、「Office 365を管理するためのコマンドレット」として紹介していますが、厳密には「Office 365専用」コマンドレットというものは存在せず、Windows Azureのためのコマンドレットです。

PowerShellでOffice 365を管理するための資料

PowerShellでOffice 365を管理するに当たって、参考となるWebページを紹介します。

PowerShell コマンドレット一覧

Office 365用PowerShellコマンドレット

なお、当記事ではPowerShellについては説明していません。PowerShellについては、オンラインドキュメント等を検索して頂くか、また、入門記事として拙著、GUIユーザーのためのPowerShell入門をご覧下さい。