Office 365のサービスのうち、Lync Onlineによって提供されるコミュニケーションサービスがLyncです。過去のマイクロソフト製品、MSN Messengerを引き継ぐIM(インスタントメッセージング)サービスで、Googleのハングアウト(旧Googleトーク)に競合するサービスです。Lync Onlineにサインインしておくことで、以下の様な機能サービスを利用できます。

(1) 在席確認(プレゼンス情報)
相手が通話できる状態にあるかどうか、あるいは相手がどこにいるか、スケジュールが空いているかを確認できる。

(2) チャット、通話(IM)
インスタントメッセージを送信したり(文字ベースのチャット)、音声通話、TV電話としても利用できる。スマートフォンにLyncアプリをインストールしてサインインしておくと、スマートフォンでLyncによる通話(カメラを有効にすればTV電話も)が可能になる。

(3) 電子会議
複数のユーザーによる同時チャットで、電子会議を実現する。TV電話機能や、後述の画面ホワイトボード共有機能と組み合わせると効果的。また、Googleハングアウトとは異なりWeb App LyncではOffice 365アカウントを持っていなくても参加できることが特徴となっている。

(4) 画面共有・ホワイトボード機能
あるユーザーのデスクトップやアプリケーションを、他のユーザーに表示し、共有する。また、遠隔操作もできる。

(5) ファイル転送
Lyncの相手先にファイルをドラッグ&ドロップするだけで、ファイルを転送できる。

(6) 外部通話
管理者が外部との通信を許可する設定しにしている場合、外部テナントのLyncユーザーと通話したり、Skypeユーザーとの通話も可能。Skypeユーザーは、マイクロソフトIDでSkypeにサインインする。

(7)その他
Office 365のサービスの一つなので、Office 365のPeople(連絡先)を活用できる。また、電子会議の開催にはOffice 365の予定表機能と連携できる。

在席確認やチャットなどの基本機能に関しては、Lyncをインストールしていなくても、Web Appでも利用可能です。Windows Phone、Android、iOSなどの携帯端末用のLyncアプリも用意されています。

Lyncクライアントソフトの機能比較一覧

Microsoft Lync 2013

Office 2013 Professionalに含まれているLync 2013をインストールすると、MSN MessnegerのようなLyncクライアントアプリケーションが起動します。Office 365のサインイン名とパスワードを入力して、サインインしてください。

Lync 2013の画面

自分のアイコンの[連絡可能]をクリックして、自分のプレゼンス情報を変更できます。

自分のプレゼンス情報の変更

相手と連絡を取りたい場合は、通話相手のアイコンをクリックして、どのような連絡を取るか、選択実行します。

連絡方法の選択

通話相手を右クリックすると、ポップアップメニューを表示します。

ポップアップメニュー

チャット中の画面は以下のようになります。

チャット中の画面の例

一方、Windows 8/8.1では、WindowsストアからWindows 8アプリ版をダウンロードして利用できます。

インストールは、Windowsストアの[アプリの検索]で、Lyncを検索して[インストール」をクリックします。

Lyncをインストール

Windowsストア版は、タブレットでも使いやすいデザインになっていますが、Lync 2013に比べると若干の機能制限があります。画面を右クリック(スワイプ)すると、メニューボタンを表示します。

Windowsストア版

ファイルの転送

ファイルの転送は一見して地味な機能ですが、筆者が評価したいのはこの機能です。

ファイルの転送はは、転送したい相手先とチャット・通話し、そこにファイルをドラッグ&ドロップするだけで、簡単にファイルを転送できます。いちいち共有フォルダに保存して通知したり、ファイル転送サービスを利用したりする必要がないのは便利です。

利用するには、まず、チャットウインドウに転送するファイルをドラッグ&ドロップします。

転送するファイルをドラッグ&ドロップ

すると受信者側のLyncウインドウにファイルのアイコンが表示されます。そして、直接「開く」か「保存」します。保存すると、ファイルは受信者のPCに転送され、Lyncには残りません。

「開く」か「保存」を選択

アプリケーションまたはデスクトップの共有

もう1つの便利な機能が、アプリケーションのウインドウまたはデスクトップあるいはホワイトボードを共有する機能です。通話相手のプレゼンテーションボタンをクリックし、アプリケーションウインドウを共有するなら、[プログラム]をクリックします。

アプリケーションを共有する場合は、[プログラム]をクリック

次に、共有するアプリケーションをクリックして選択します。

共有するアプリケーションをクリック

受信側では、[会議コンテンツを承諾する]ボタンをクリックします。

[会議コンテンツを承諾する]ボタンをクリック

すると、送信側のアプリケーションウインドウを、受信側がリアルタイムで見ることができます。また、[制御を要求する]をクリックして送信側から制御権を受け取ると、受信側がアプリケーションを操作できます。

制御を要求する]をクリックして送信側から制御権を受け取ると、受信側がアプリケーションを操作できる

離れた席や遠隔地の相手に、プレゼンテーションをしたり、ヘルプデスクを行ったりするには、とても便利な機能です。

以上の様に、Lyncは単なるチャットを超えた便利な機能を持っていますので、双方Lyncの機能を積極的に活用することで、共同作業を効率化できます。