マイナビニュースマイナビ マイナビニュースマイナビ
Index
( Life )
4 受け身・他律な部下は変えられる『プロアクティブ人材』論

5分で分かる実践術~プロアクティブなチームの築き方~

JUN. 27, 2025 10:00
Share
Contents

第3回では、年齢帯別のプロアクティブスコアを参照しながら、ビジネスリーダーの皆様に必要な「マインドセット」について説明しました。今回は、チームのプロアクティブ度の向上に向けて、ビジネスリーダーの皆様が実行するべき内容について解説します。

チームのプロアクティブ度を向上させる方法をご紹介するに当たって、まず、チームのプロアクティブ度が形成される4つの段階について解説します。

チープのプロアクティブ度が形成される4つの段階

  • <図表1>チームのプロアクティブ度の形成段階

最初の段階は、チームのプロアクティブスコアの平均値が低く、かつ個人のプロアクティブスコアの分散(ばらつき)が低い「不活性」です。この段階は、個々人のプロアクティブ行動度合が一様に低く、チーム全体としてのプアクティブ度が低い状態であると言えます。

2つ目の段階は、チームのプロアクティブスコアの平均値が低いものの、個人のプロアクティブスコアの分散が高い「兆し」です。この段階は、チーム全体としてのプロアクティブ度は低い一方で、一部のメンバーがプロアクティブ行動を始めている段階であると言えます。

3つ目の段階は、チームのプロアクティブスコアの平均値は高いものの、個人のプロアクティブ度の分散が高い「変革期」です。この段階では、一部のプロアクティブ度の高いメンバーが他のメンバーを引っ張り、チーム全体のプロアクティブ度を引き上げている状態であると言えます。

最後の段階は、チームのプロアクティブスコアの平均値が高く、個人のプロアクティブスコアの分散が低い「協創状態」です。この段階では、メンバー同士で協力してプロアクティブ行動を実践し、自律的に協創している状態であると言えます。

チームのプロアクティブ度を高めていくためには、チームの現状に適したマネジメントを行う必要があり、そのためには、まず現在のチームがどの状態に位置しているのか把握することが重要となります。

チームのプロアクティブ度を測る簡易的な方法

もし読者の皆様の会社で、第1回でご紹介したような以下のアンケート調査を全社・自組織の単位で実施して、個人とチームのプロアクティブスコアについてデータを取得できるのであれば、それが一番です。(図表2)

  • <図表2>4つのプロアクティブ行動とプロアクティブスコアを測定するための12の設問項目

しかし、会社によっては、そのようなアンケート調査を実施することが容易ではないケースもあるでしょう。そこで今回は、皆様自身で実践できる、チームのプロアクティブ度を測る簡易的な方法をご紹介します。

まずは、皆様の部下の方々を思い浮かべながら、3を中間の評価として以下の質問に5段階で回答してみてください(1.全くそう思わない、2.あまりそう思わない、3.どちらでもない、4.そう思う、5.とてもそう思う)。その後、4つの質問の回答の平均値を算出しましょう。(図表3)

  • <図表3>チームのプロアクティブスコアの平均値を可視化するための質問

 次にチーム内のばらつき度合を可視化するために、以下の4つの質問にも、3を中間の評価として5段階で回答してみてください(1.全くばらつきがない、2.あまりばらつきがない、3.どちらでもない、4.まあまあばらつきがある、5.かなりばらつきがある)。その後、4つの質問の回答の平均値を算出しましょう。(図表4)

  • <図表4>メンバーのプロアクティブスコアの分散を可視化するための質問

以上の結果を基に、中間点である3を基準として、図表1で示した4つのチームのプロアクティブ状態の中で、ご自身のチームがどの状態に位置するのか判断してみましょう(例えばプロアクティブスコアの平均が3.5、分散が2.0なら協創状態になります)。

チームの現状に応じた対策は?

以下に、各チームの現状に応じてビジネスリーダーが取り組むべき行動の概要とその具体例を整理しました。(図表5)

  • <図表5>チームの現状に対してビジネスリーダーが取りくむべき行動の概要とその具体例

もし仮に、皆様のチームが「不活性」であった場合、チーム内の個々人の「内面」へ働き掛ける必要があります。

例えば、部下の方々がこなした業務に対して褒めるといった自己効力感を高める行動が挙げられます。第2回でも軽くご紹介しましたが、日本総研が実施した20,400人の企業勤務者に対する大規模アンケート調査から、個人のプロアクティブ行動に最も影響を与える先行要因は「自己効力感」であることが分かっています。自己効力感が高い状態とは、平たく言えばある業務・タスクについて自分なら遂行できると感じている状態のことです。

以下に、自己効力感の形成に必要な4つの要素とそれらの要素に対してビジネスリーダーが取り組めることを整理しています。(図表6)

  • <図表6>自己効力感を高めるために必要な要素とビジネスリーダーができることの行動例

例えば、制御体験とは、容易く得られる成功ではなく、忍耐強い努力によって障害に打ち勝つ成功体験のことです。ビジネスリーダーができることとして、部下の能力の形成段階に沿ったタスク計画を設計し、意図的に小さな成功体験を部下に積ませることが考えられます。

部下の方の自己効力感の形成において重要なのは、成功体験を通して部下の方に「自分はできるんだ」と自信を持たせることです。そのためには、環境や機会を整えることが必要です。表の内容を確認しながら、是非実践してみてください。

続いてチームが「兆し」であった場合、チームとしての機能的側面を整える必要があります。例えば、プロジェクトの取組機会に対して、メンバーから公募を募り、プロアクティブ行動に積極的な人材にチャンスを与えるなどです。一部のメンバーが組織内の機能を利用してプロアクティブ行動を行うことで、チーム全体にプロアクティブ度が高まる機運を醸成します。

最後に、チームが「変革期」であった場合、チームとしての「創造力」を喚起する必要があります。例えば、ワークアウト等を開催してメンバー間のプロアクティブ行動のコラボレーションが起こるようにする、などです。メンバー間で連携させて、チーム全員のプロアクティブ度が高い状態になるようにマネジメントしていく必要があります。

以上のように、チームのプロアクティブ度を高めていくためには、チームの現状に応じた行動をビジネスリーダーの方々が取る必要があります。そのためには、まずは自身が所管するチームの現状を把握することが非常に重要です。アンケート調査や先ほどご紹介した簡易な質問を用いて、まずはご自身のチームのプロアクティブ度の現状を捉え、チームの状態に応じた打ち手を考えるところから始めてみてください。

今回は、チームのプロアクティブ度を高めていくための手法について解説しました。第5回では、プロアクティブ人材の育成するに当たってビジネスリーダーの方々に必要な心構えについて解説していきます。


Share

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

Pick Up
Iapp
PR
未経験でも年収1,000万以上! 日本住宅ローンが“おもてなし採用”で求める人材とは?
  • PR
    Index.large
    【PR】黒一色で引き締まる洗練のスタイル - 超軽量ノートPC「FMV Zero」
Weekly Ranking
  • 1

    Large
    朝のコーヒー「飲んではいけない」時間帯が判明、意外すぎる"最高のタイミング"とは
  • 2

    Large
    メンタル不調がピークに達する、意外な年齢
  • 3

    Large
    メンタル不調に効く、最低限取りたい3つの栄養素
  • 4

    Large
    メンタル不調を感じたら、休めるべきは脳の"ある部分"
  • 5

    Large
    ホステスの「大好き」をお世辞ではなく"モテ"にカウントしてしまうおじさん